出張管理システム(BTM)開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

出張管理システム(BTM:Business Travel Management)は、企業の出張申請・承認・旅程管理・経費精算を一元化するシステムです。従業員の出張が頻繁に発生する企業では、出張コストの可視化やコンプライアンス遵守、DX化の観点から、BTMの整備が急務となっています。手作業による申請書の回覧や、Excelでの経費管理は業務効率を低下させるだけでなく、不正リスクや規程違反の温床にもなりかねません。

本記事では、出張管理システム(BTM)の開発を検討している企業向けに、開発の全体工程・流れ・進め方・手法を詳しく解説します。要件定義から設計・開発・テスト・本番稼働まで、各フェーズで押さえるべきポイントをまとめています。

本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・出張管理システム(BTM)開発の完全ガイド

出張管理システム(BTM)の全体像と種類

出張管理システム(BTM)の全体像と種類

主な機能(出張申請・承認ワークフロー・旅程管理・経費精算・レポーティング)

BTMの主要機能は大きく5つに分類されます。①出張申請機能では、従業員が出張目的・期間・訪問先・概算費用を入力し、上長へ申請を行います。②承認ワークフロー機能では、申請内容に応じた承認ルートを自動設定し、多段階の承認を管理します。③旅程管理機能では、交通手段・宿泊施設の予約情報を一元管理します。④経費精算機能では、出張後の領収書提出・費用集計・支払い処理を担います。⑤レポーティング機能では、部門別・プロジェクト別の出張コストを可視化し、経営判断を支援します。これらの機能が連携することで、出張管理の全プロセスをシームレスに処理できます。

クラウド型とオンプレミスの違い、パッケージ vs スクラッチ

BTMの導入形態は大きく「クラウド型」と「オンプレミス型」に分かれます。クラウド型はSaaS形式で提供されるため、初期投資を抑えつつ短期間で導入できる点が特長です。一方、オンプレミス型は自社サーバーへの導入となり、高度なカスタマイズや厳格なセキュリティ要件に対応できます。また、既存の出張管理パッケージを活用する方法と、自社業務に完全特化したスクラッチ開発の選択肢もあります。パッケージ活用は導入コストと期間を削減できますが、業務フローをシステムに合わせる必要があります。スクラッチ開発は自社の独自ルールに完全対応できる反面、開発コストと期間が増大します。自社の要件・予算・将来の拡張性を総合的に検討して選択することが重要です。

出張管理システム(BTM)開発の工程と流れ

出張管理システム(BTM)開発の工程と流れ

要件定義フェーズ(申請ルール・承認フロー・連携システムの整理)

要件定義フェーズは、BTM開発の成否を左右する最も重要な工程です。まず現状の出張管理業務を可視化し、「誰が・何を・どのように」申請・承認しているかを詳細にヒアリングします。具体的には、出張申請の入力項目・承認ルートの段階数・承認権限の設定ロジック・差し戻し時のフローなどを文書化します。次に、会計システム・人事システム・旅行予約サービスとのデータ連携要件を整理します。既存システムのAPIや連携インターフェースの仕様確認も必須です。また、将来的な制度変更や組織変更に対応できる柔軟性を、この段階で設計に織り込むことが重要です。要件定義の精度がシステムの品質と開発コストに直結するため、現場担当者・管理部門・IT部門の三者が連携してドキュメント化することを推奨します。

設計・開発フェーズ(ワークフローエンジン・外部サービス連携設計)

設計フェーズでは、要件定義で整理した内容をもとにシステムアーキテクチャを設計します。BTMの中核となるワークフローエンジンは、承認ルートの動的生成・通知メール送信・ステータス管理を担う重要コンポーネントです。承認ルールが複雑な場合は、ルールエンジンの導入も検討します。外部サービスとの連携設計では、旅行予約APIや会計システムとのデータ連携仕様を詳細に定義します。開発フェーズでは、バックエンドAPI・フロントエンドUI・データベース設計を並行して進めます。モバイル対応が求められる場合は、レスポンシブデザインまたはネイティブアプリの開発も視野に入れます。開発中は定期的にレビューを実施し、要件からの乖離を早期に発見・修正することが品質確保の鍵となります。

テスト・移行・本番稼働

テストフェーズでは、単体テスト・結合テスト・システムテスト・ユーザー受入テスト(UAT)の順で品質検証を行います。特に承認ワークフローの分岐条件や、外部API連携の異常系テストは重点的に確認します。移行フェーズでは、既存の出張申請データや承認者マスタを新システムへ移行する手順を慎重に設計します。本番稼働前には、社内向けの操作研修や利用マニュアルの整備も欠かせません。本番稼働後は、ヘルプデスク対応・バグ修正・パフォーマンス監視を継続的に行い、システムの安定稼働を維持します。段階的な展開(パイロット部門からの順次展開)を採用することで、リリースリスクを低減できます。

出張管理システム(BTM)開発の重要ポイント

出張管理システム(BTM)開発の重要ポイント

航空・ホテル予約システムとの連携(楽天トラベル・じゃらん・航空会社API)

BTM開発において、旅行予約サービスとの連携は利便性向上の重要な要素です。楽天トラベルBusinessやじゃらんコーポレートなどの法人向け旅行サービスのAPIを活用することで、承認済みの出張申請に基づいてシステム内から直接交通・宿泊を手配できます。航空会社APIとの連携では、運賃比較・座席予約・変更・キャンセルを自動処理できるため、総務担当者の業務負担を大幅に削減できます。ただし、各サービスのAPI仕様は随時変更されるため、連携仕様書の管理とバージョン対応の体制を構築することが不可欠です。また、インバウンド出張が多い企業では、海外OTA(Online Travel Agency)との連携も検討する必要があります。

経費精算システム・会計システムとの連携

出張管理システムが真に機能するためには、経費精算システムや会計システムとのシームレスな連携が欠かせません。出張後の経費精算データをBTMから会計システムへ自動連携することで、二重入力の排除と仕訳ミスの防止を実現できます。freee・弥生・SAP・Oracle Financialsなど各種会計システムとのAPI連携、またはCSVインポートによるデータ連携方法を選択します。また、交通系ICカードの履歴取り込みやレシートOCR機能と連携することで、経費精算の申請工数を大幅に削減できます。連携設計の段階で、勘定科目マスタの整合性・消費税区分の処理ルール・承認済み仕訳データの会計システムへの反映タイミングを詳細に定義しておくことが重要です。

開発手法の選び方

開発手法の選び方

ウォーターフォール vs アジャイル

BTM開発における開発手法の選択は、プロジェクトの規模・要件の確定度・組織の開発文化によって異なります。ウォーターフォール型は、要件定義・設計・開発・テストを順次進める手法で、要件が明確に定まっている大規模開発に適しています。特に基幹システムとの連携が多い場合は、上流工程での設計精度が重要となるため、ウォーターフォールが選ばれやすいです。一方、アジャイル型はスプリントを単位として機能を段階的にリリースするため、ユーザーフィードバックを早期に取り込みながら開発を進められます。承認フローなど要件が変動しやすい機能はアジャイルで開発し、会計連携など仕様が固まった機能はウォーターフォールで進めるというハイブリッド型の採用も有効です。

パッケージ活用 vs スクラッチ開発

BTM開発における「パッケージ活用」と「スクラッチ開発」のどちらを選ぶかは、費用・期間・自由度のバランスで判断します。Concur TravelやSAP Concur、マネーフォワード経費などのパッケージを活用する場合、初期開発コストを抑えつつ実績ある機能を素早く導入できます。ただし、独自の承認ルールや業界固有の要件には対応しきれないケースもあります。スクラッチ開発は初期コストと期間は増大しますが、自社の業務プロセスを完全に反映したシステムを構築できます。将来の機能追加・拡張も柔軟に対応できる点も強みです。まずは既存パッケージの機能をリストアップし、自社要件とのギャップを分析した上で、追加開発の範囲を見極めることが合理的な判断につながります。

出張管理システム(BTM)の開発は、要件定義の精度・適切な開発手法の選択・外部システムとの連携設計がプロジェクト成功の鍵を握ります。専門的な知見を持つ開発パートナーの支援を受けることで、スムーズな開発推進と高品質なシステム構築が実現できます。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

 

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