図面管理(EDM)の必要機能や標準機能の一覧について

図面管理(EDM)システムの導入を検討するとき、多くの設計・製造の担当者がつまずくのが「結局、どんな機能が標準で備わっていて、自社にはどこまで必要なのか」という機能の見極めです。ベンダーのパンフレットには検索・版管理・ワークフローといった言葉が並びますが、それぞれが実際に何をしてくれるのか、自社の図面運用のどの困りごとを解決するのかが分からないまま比較すると、必要な機能を見落としたり、逆に使わない機能に費用を払ったりすることになります。だからこそ、機能を「自社の業務にどう効くか」という視点で整理することが大切です。

本記事は、図面管理(EDM)の必要機能・標準機能を、発注企業が要件を見極められるように体系的に整理する「機能特化」の解説です。図面の登録・検索・属性管理といった基本機能、版管理(リビジョン管理)とチェックイン・チェックアウト、出図・設計変更(ECN)のワークフロー、CADビューアや関連図面・BOMとの連携といった発展機能まで、それぞれが何を解決するのかを具体的に解説します。読み終えるころには、自社が「最低限どの機能を必須とし、どこから先は段階的に足すか」を判断できるようになるはずです。なお、図面管理(EDM)の全体像をまだ把握していない方は、まず図面管理(EDM)の完全ガイドから読むことをおすすめします。

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・図面管理(EDM)の完全ガイド

図面の登録・検索・属性管理の基本機能

図面の登録・検索・属性管理の基本機能のイメージ

図面管理(EDM)の土台となるのが、図面を登録し、属性を付与し、その属性で検索できる基本機能です。共有フォルダとExcel台帳の運用が抱える「探せない」「最新が分からない」という根本課題を解決するのは、この基本機能の作り込みにかかっています。ここが弱いと、どれだけ高度なワークフローを載せても現場では使われません。EDMの機能を見極める第一歩は、この基本部分の充実度を確認することです。

属性検索・全文検索による図面の即時検索

EDMの中核機能が、図面に付与した属性での検索です。図番・品名・客先・材質・図面種別・改訂日・設計者といった属性をメタ情報として持たせ、これらを組み合わせて目的の図面を一発で絞り込めます。共有フォルダで命名規則を頼りにフォルダを掘る運用とは比較にならない速度で、必要な図面にたどり着けます。さらに、図面表題欄のテキストや関連文書の中身まで検索する全文検索を備えた製品もあり、「図番は忘れたが客先名と部品名は覚えている」といった曖昧な記憶からでも探せます。

属性検索を機能として評価するときは、「どの属性で検索できるか」だけでなく「属性をどれだけ楽に登録できるか」も見るべきです。CADの表題欄から図番・品名を自動で読み取って属性に取り込めれば、登録の手間が激減します。逆に、すべての属性を手入力させる仕組みだと、現場が入力をサボって検索精度が落ち、結局使われなくなります。検索機能の良し悪しは、登録の手間とセットで判断するのが鉄則です。

さらに実務で効くのが、検索条件の保存や、よく使う条件の絞り込みをワンクリックで呼び出せる機能です。「自分の担当客先の今期の図面」「材質がステンレスの部品図」といった頻出の検索条件を保存できれば、毎回条件を組み立てる手間が省けます。サムネイル表示で図面の中身を一覧で見渡せる機能も、図番だけでは判別しにくい類似図面を見分けるのに役立ちます。検索機能は「ヒットするか」だけでなく「目的の一枚に最短でたどり着けるか」という体験の質まで含めて評価してください。

多様なCAD形式・紙図面スキャンの一元登録

製造現場の図面は、2DのDWG・DXF、3DのSTEP・各種ネイティブCADデータ、PDF、さらに過去の紙図面をスキャンしたTIFF・JPEGまで、形式が混在しているのが普通です。EDMの基本機能として、これら多様な形式を区別なく一元登録でき、形式を問わず横断検索できることが求められます。過去の紙図面を「サクっとスキャン」のような取り込みツールで電子化し、属性を付けてEDMに格納すれば、紙とデジタルの二重管理が解消されます。

ここで機能として確認したいのが、CADのネイティブ形式をそのまま管理できるか、それとも中間形式への変換が必要かという点です。設計者は使い慣れたCADで作図を続けたいため、ネイティブ形式のまま版管理できることが現場の納得感に直結します。また、既存のExcel管理台帳をCSVでダイレクトに取り込めるかも重要で、変換時の文字化けや列ズレが起きると移行作業がかえって増えます。登録機能は「自社が今持っている図面資産をそのまま受け入れられるか」で評価してください。

登録の入り口をどう設計するかも、機能評価の盲点になりがちです。設計者がCADから保存する流れの中で自然に登録できるのか、それとも別画面で改めてアップロード操作が必要なのか。手間が一手でも増えると、現場は登録を後回しにし、最新版がEDM外に滞留します。CADと連携して保存と同時に版が登録される仕組みがあれば、現場の運用に溶け込みます。登録機能は「できるか」ではなく「日々の作業の流れを止めずにできるか」という、運用への馴染みやすさで判断するのが実務的です。

版管理とチェックイン・チェックアウト機能

版管理とチェックイン・チェックアウト機能のイメージ

図面管理(EDM)を単なるファイル置き場と分ける決定的な機能が、版管理(リビジョン管理)です。製造業で起きる「旧版で加工してしまった」という致命的なトラブルを構造的に防ぐのが、この機能の役割です。誰がいつどの版を作り、承認された最新版はどれで、旧版はどう無効化されるのか。これを自動で管理できるかどうかが、EDMを導入する最大の動機になります。

チェックイン・チェックアウトによる同時編集の防止

チェックアウトとは、図面を編集する際にその図面をロックし、他の人が同時に編集できないようにする機能です。共有フォルダで起きがちな「二人が同じファイルを別々に直して、片方の変更が消えた」という事故を防ぎます。編集が終わってチェックインすると、変更内容が新しい版として登録され、ロックが解除されます。この一連の仕組みにより、図面の編集が常に直列で管理され、変更の取りこぼしがなくなります。

機能として評価するときは、チェックアウト中の図面を他者が「参照」だけはできるか、誰がチェックアウトしているかが一覧で見えるか、を確認してください。チェックアウトしたまま放置されると他の人が編集できなくなるため、管理者が強制的にチェックインを解除できる機能も実務では重宝します。チェックイン・チェックアウトは、複数人で図面を扱う現場では必須の基本機能だと考えてください。

改訂履歴とトレーサビリティの自動記録

版管理のもう一つの機能が、改訂履歴の自動記録です。図面が更新されるたびに、「いつ、誰が、どの版を、なぜ変更したか」が自動的に履歴として残り、過去のどの版にも遡って参照できます。これにより、設計変更の経緯を後から追えるようになり、不具合が起きたときに「どの版の図面で作った部品か」を特定できます。このトレーサビリティは、品質トラブルの原因究明やリコール対応で決定的な力を発揮します。

この機能は、品質マネジメント(ISO 9001)の文書管理要求とも直結します。承認された最新版だけが現場で使われ、旧版は識別されて誤使用が防がれている、という状態を監査時に証明できることは、認証維持の負荷を大きく下げます。仕入先品質管理のデジタル化実態の調査では、品質保証協定書が紙23件・PDFやPC保存12件とアナログ管理が多数を占めるという結果もあり、図面を含む技術文書の電子的なトレーサビリティ確保は、品質ガバナンス全体の底上げにつながります。

版管理機能を評価するときは、版の表現方法が自社のルールに合うかも確認してください。リビジョン記号をA・B・Cと振るのか、数字で1・2・3とするのか、メジャー版とマイナー版を区別するのか。製品によって流儀が異なり、自社の図番ルールと噛み合わないと現場が混乱します。あわせて、二つの版を画面上で並べて差分を見比べる比較機能があると、何が変わったかを一目で把握でき、レビューや変更確認が格段に楽になります。版管理は「ただ履歴が残る」だけでなく、「変更点を分かりやすく追える」ことまで含めて、機能の充実度を見極めるのが実務的です。

出図・設計変更(ECN)のワークフロー機能

出図・設計変更ECNのワークフロー機能のイメージ

図面管理(EDM)を業務プロセスの基盤へ引き上げるのが、ワークフロー機能です。図面の作成から承認、出図、設計変更の周知までを、紙の回覧やハンコではなくシステム上で電子的に回します。誰の承認待ちで止まっているか、いつ出図されたか、変更がどの関係者に通知されたかが見える化され、プロセス全体のリードタイムが短縮されます。基本機能の上にこのワークフローが載って、はじめてEDMは設計部門の仕事の流れそのものを支える存在になります。

出図承認ワークフローと電子承認

出図ワークフローは、設計者の申請、上長や品質部門のレビュー、最終承認、現場へのリリースという多段階のプロセスを、システム上のステータスとして管理する機能です。申請・レビュー中・承認済み・差し戻しといった状態が可視化され、承認者には通知が飛びます。承認者が外出していても端末から承認でき、ハンコをもらうために出社を待つ必要がなくなります。これにより出図のリードタイムが短縮され、設計変更の反映スピードが上がります。

機能として見極めるべきは、承認ルートを部門や図面種別ごとに柔軟に設定できるか、代理承認や条件分岐に対応できるかです。自社の承認規程をすべて作り込もうとするとカスタマイズ費が膨らむため、標準のワークフロー機能でどこまで表現できるかを見極めることが、費用を抑える鍵になります。ワークフロー機能は「自社の承認プロセスを標準機能の範囲でどれだけ再現できるか」で評価してください。

設計変更(ECN)の通知と影響範囲の波及

設計変更(ECN:Engineering Change Notice)の管理機能は、図面を変更したときに、その影響が及ぶ関係者へ確実に変更を周知する仕組みです。図面が改訂されると、その図面を使う調達・製造・品質の担当者へ自動的に通知が飛び、「旧版で作業していた」という事故を防ぎます。変更内容、変更理由、適用日を記録し、関係者が確認したかどうかまで追跡できる製品もあります。

さらに高度な製品では、図面と部品表(BOM)がひも付いているため、設計変更が関連する部品表へ自動的に波及します。図面が変わればBOMの変更点も可視化され、調達担当が古い仕様で発注するミスを防げます。このECN管理は、設計変更が多い受注生産や個別仕様の製造現場ほど価値が高く、変更の取りこぼしによる手戻りコストを構造的に削減します。ワークフロー機能の中でも、ECN管理は投資対効果がもっとも見えやすい領域だと言えます。

CADビューア・BOM連携などの発展機能

CADビューア・BOM連携などの発展機能のイメージ

基本機能・版管理・ワークフローを土台に、図面管理(EDM)の価値をさらに高めるのが、CADビューアや他システム連携といった発展機能です。これらは必須ではないものの、図面を設計部門だけでなく全社で活用したり、製品データ基盤として使ったりするときに効いてきます。自社のフェーズに応じて、どこまでを初期に入れ、どこから段階的に足すかを判断する材料にしてください。

CADビューアと権限管理で全社活用

CADビューア機能は、CADソフトを持たない製造・調達・営業の担当者でも、ブラウザや専用ビューアで図面を閲覧できる仕組みです。図面を見るためだけに高価なCADライセンスを配る必要がなくなり、図面の閲覧者が全社に広がります。寸法計測や赤入れ(マークアップ)ができるビューアなら、レビューや製造現場での確認もシステム上で完結します。図面を「設計部門だけのもの」から「全社で使う情報資産」へと広げる、実用性の高い機能です。

全社に図面を開放する以上、セットで重要になるのが権限管理(アクセス制御)です。客先や案件ごとに閲覧できる図面を制限したり、ダウンロードや印刷を役職で制御したりする機能は、機密性の高い図面を扱う現場では必須です。誰がいつどの図面を閲覧・ダウンロードしたかのログを残せれば、情報漏えいの抑止にもなります。ビューアと権限管理はセットで、全社活用とセキュリティを両立させる発展機能だと考えてください。

PLM・BOM・生産管理との連携機能

EDMの発展形として、PLM(製品ライフサイクル管理)やBOM、生産管理システムとの連携機能があります。図面と部品表をひも付け、設計変更が部品表や生産計画へ波及するようにすれば、設計から調達・製造までデータが一貫します。Siemensの「Teamcenter」のように、PLM基盤がEDM機能と一体で図面・BOMを統合管理する考え方は、この連携の発展形と言えます。製造実行を担うMESや、ISA-95の階層モデルで言う実行層とのデータ受け渡しまで視野に入れると、図面は全社の製品データの起点になります。

ただし、連携機能は導入のハードルとコストが一気に上がる領域でもあります。最初から全社連携を目指すと要件が複雑になり、カスタマイズ費が膨らみます。現実的には、まず図面の登録・検索・版管理という基本機能を固め、運用が定着してから連携を足すのが堅実です。riplaはフルスクラッチ受託の立場から、自社の図面運用を起点に、本当に必要な機能から段階的に組み上げる進め方を支援しています。発展機能は「いつか必要になる」を理由に最初から盛り込むのではなく、必要になったときに足せる拡張性があるかで評価してください。

関連図面のひも付けと帳票出力の機能

もう一つの実用的な発展機能が、関連図面のひも付けです。一つの製品は、組立図・部品図・配管図・電気図といった複数の図面で構成されます。これらを親子関係や相互参照でひも付けておけば、一枚の図面から関連する図面群へワンクリックでたどれます。組立図を開けば構成部品の図面が一覧で見られる、といった状態を作れると、設計レビューや製造準備の効率が大きく上がります。図面が単独で散在している状態と、関連がつながった状態とでは、現場の使い勝手がまるで違います。

帳票出力機能も、地味ながら現場で重宝します。図面一覧表、出図履歴、改訂履歴、保有図面の棚卸しリストといった帳票を、EDMから直接出力できれば、監査や報告のための資料作成が省力化されます。ここで確認したいのが、帳票をExcel形式でダイレクトに出力できるかです。CSV変換を挟むと文字化けや列ズレが起きやすく、かえって手間が増えます。既存のExcel帳票のレイアウトをそのまま出せれば、現場は慣れた様式で運用を続けられます。関連図面のひも付けと帳票出力は、EDMを日常業務に溶け込ませる発展機能だと言えます。

まとめ

図面管理EDMの機能まとめイメージ

図面管理(EDM)の機能を整理すると、土台となる「登録・属性検索・多様な形式の一元管理」、中核となる「版管理・チェックイン/チェックアウト・トレーサビリティ」、業務を支える「出図承認・設計変更(ECN)のワークフロー」、そして全社活用と製品データ基盤化を担う「CADビューア・権限管理・PLM/BOM連携」という四層に分けて捉えられます。下の層ほど必須度が高く、上の層は自社のフェーズに応じて段階的に足すべき発展機能です。機能の良し悪しは、検索の速さだけでなく、登録の手間や標準機能での再現範囲とセットで判断するのが鉄則です。

機能を選ぶときに大切なのは、「多機能だから良い」ではなく「自社の図面運用の困りごとを、どの機能がどう解決するか」という視点です。まずは図面検索と版管理という基本機能を固め、現場が使える状態を作ってから、ワークフローや連携へと広げてください。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、自社の運用に必要な機能を見極めた要件整理と、段階的に拡張できるシステムづくりを一貫して支援します。機能の全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、弊社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

 

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