出張管理システム(BTM)の必要機能や標準機能の一覧について

出張管理システム(BTM:Business Travel Management)の導入を検討するとき、最初に整理しておきたいのが「このシステムは具体的にどんな機能を備えているのか」「自社に必要な機能はどこまでで、過剰な機能は何か」という機能の全体像です。出張管理は、申請・承認・手配・精算・集計という複数の業務が連なっており、それぞれに対応する機能があります。機能の意味と役割を理解しないまま製品比較を始めると、見た目の機能数に惑わされて自社に合わないツールを選んでしまいがちです。

本記事は、出張管理システム(BTM)の必要機能・標準機能を、発注企業の視点から体系的に整理する「機能特化」の解説です。出張申請・承認ワークフロー、航空券・ホテルの手配機能、立替経費の精算と電帳法・インボイス対応、会計・給与システムとの連携、そして出張費用の可視化・分析まで、それぞれの機能が「どんな業務をどう楽にするのか」を、一次データとあわせて具体的に解説します。読み終えるころには、自社の要件に照らして「必須機能」と「あれば便利な機能」を切り分けられるはずです。なお、出張管理システムの全体像をまだ把握していない方は、まず出張管理システム(BTM)の完全ガイドから読むことをおすすめします。

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出張申請・承認ワークフロー機能

出張申請・承認ワークフロー機能のイメージ

出張管理システムの中核を担うのが、出張申請と承認のワークフロー機能です。出張は「申請して承認を得る」ことから始まるため、この入口の機能が使いにくいと、システム全体が現場に定着しません。申請者がスマートフォンやPCから出張の目的・行先・期間・概算費用を入力し、上長へ自動でルーティングされ、承認・差し戻し・条件付き承認といったアクションが記録される。この一連の流れを電子化するのが、ワークフロー機能の役割です。

多段階承認ルートと出張規程チェック機能

承認ワークフロー機能で重要なのは、自社の組織に合わせた承認ルートを柔軟に設定できることです。金額や行先(国内・海外)によって承認者を変える、一定額を超えたら役員承認を挟む、といった条件分岐に対応できると、組織の実態に沿った統制が効きます。多くの企業では、出張の種類や金額に応じて承認段階が変わるため、この承認ルートの柔軟さが製品選定の評価軸になります。

あわせて欠かせないのが、出張規程との自動チェック機能です。役職別の宿泊費上限や日当、利用可能な交通クラスといった社内ルールをシステムに登録しておけば、規程を超えた申請には自動で警告を出したり、入力自体を制限したりできます。これにより、承認者が一件ずつ規程と照合する負担が減り、ルールの逸脱を入口で防げます。申請・承認ワークフローは、単なる電子化ではなく「社内ルールを徹底させる仕組み」として機能する点に価値があります。規程チェックの機能は、承認者の判断のばらつきをなくし、誰が承認しても同じ基準が適用される公平性も担保します。

モバイル申請とプッシュ通知による滞留防止機能

出張は社外で発生することが多いため、スマートフォンから申請・承認できるモバイル対応が標準機能として求められます。外出先の上長が移動中にスマートフォンで承認できれば、出張直前の申請でも手配が間に合います。逆にPCからしか操作できないと、承認が滞り、航空券の予約が後手に回るといった問題が起きます。モバイル申請機能は、出張という業務の性質に直結する必須機能だと言えます。

あわせて、承認待ちの申請が放置されないよう、メールやプッシュ通知でリマインドする機能も重要です。承認者に「あなたの承認待ちが3件あります」と通知が届けば、申請が滞留しにくくなります。出張管理システムの定着を阻む大きな要因の一つが「承認の遅さ」であるため、滞留を防ぐ通知機能は、使われるシステムにするための地味だが効果的な機能です。申請・承認ワークフローは、これら細部の作り込みで使い勝手が大きく変わります。

申請の入力負担を下げる工夫も、定着を左右する要素です。よく使う出張先や宿泊先をテンプレートとして保存しておき、次回はワンタップで呼び出せる、過去の申請を複製して再利用できる、といった機能があると、申請者の手間が大きく減ります。出張は同じ行先を繰り返すことが多いため、こうした入力支援が現場の満足度を高めます。使われるシステムにするには、機能の有無だけでなく、入力のしやすさという細部にこだわることが重要です。

航空券・ホテルの手配・予約機能

航空券・ホテルの手配・予約機能のイメージ

出張管理システム(BTM)が汎用の経費精算ツールと一線を画すのが、出張の「手配・予約」に関わる機能です。出張は申請・承認の後に交通機関や宿泊を実際に手配する工程があり、ここをシステム上で扱えるかどうかが、出張に特化したBTMかどうかの分かれ目になります。手配機能をどこまで自社で持つか、外部のサービスと連携するかは、企業の出張規模によって選択が分かれます。

予約サービス連携と規程内オプションの提示機能

手配機能では、航空券・新幹線・ホテルなどの予約を、申請の延長線上で行えることが理想です。出張先と日程が確定したら、規程の範囲内で選べる交通手段や宿泊先の候補を提示し、その場で予約手続きにつなげる。こうした機能があれば、申請者は別サイトで予約して領収書を集める手間が省け、会社側も規程内の選択を促せます。法人契約や提携プランがあれば、それを優先的に表示することで単価の抑制にもつながります。

手配を自社システムで完結させるか、外部の旅行手配サービスや予約サイトとAPIで連携させるかは、出張の頻度と規模で判断します。出張がそれほど多くない企業では、手配自体は既存の予約サイトを使い、システムでは申請・承認・精算を管理する構成でも十分です。逆に出張が多い企業では、手配から精算までを一気通貫で扱える機能が工数削減に直結します。自社の出張ボリュームに照らして、必要な手配機能の範囲を見極めることが大切です。

出張者の所在管理・渡航情報の集約機能

手配情報を集約することで生まれるのが、出張者の所在管理機能です。誰がいつ・どこへ出張しているかを一覧で把握できれば、緊急時の連絡や危機管理に役立ちます。特に海外出張では、渡航先・滞在期間・宿泊先を集約しておくことが、有事の際の安否確認の前提になります。出張管理システムは、コスト管理だけでなく、社員の所在を把握する危機管理インフラとしての機能も担えるのです。

所在管理は、安否確認システムとの連携でさらに強化できます。出張申請データを基に渡航者リストを自動生成し、災害や事件が起きた地域に滞在中の社員へ一斉に安否確認を送る、という運用が可能になります。出張という業務は社員を社外・海外に送り出すものであるため、「誰がどこにいるか」を機能として持つことは、企業の安全配慮義務の観点からも重要です。手配・所在管理機能は、出張管理の安全面を支える土台になります。

立替精算・電帳法・インボイス対応機能

立替精算・電帳法・インボイス対応機能のイメージ

出張のあとに必ず発生するのが、立替経費の精算です。交通費・宿泊費・日当・現地での諸経費を精算する機能は、出張管理システムの利用頻度がもっとも高い部分であり、使い勝手が現場の満足度を左右します。あわせて、領収書をめぐる法対応(電子帳簿保存法・インボイス制度)に標準で対応していることが、近年の必須要件になっています。

領収書撮影・OCR入力と交通費自動計算機能

精算機能で利便性を大きく高めるのが、領収書の撮影とOCR(文字認識)による自動入力です。スマートフォンで領収書を撮影すると、日付・金額・店名などが自動で読み取られ、入力の手間が減ります。出張中に発生したその場で領収書をデータ化できれば、帰社後にまとめて入力する負担がなくなり、領収書の紛失も防げます。一次データでは、紙の入力作業を時給3,000円換算・1人月約30分(約1,500円相当)と見積もるケースがあり、この入力工数を削れる効果は無視できません。

交通費については、出発地と到着地を入力すると経路と運賃を自動計算する機能が便利です。電車やバスの細かな運賃を一件ずつ調べて入力する手間がなくなり、金額の誤りも減ります。ICカードの利用履歴を取り込んで精算する機能も普及しています。こうした自動入力・自動計算の機能は、申請者の負担を下げると同時に、経理が金額を再計算・確認する工数も削減します。精算機能の使い勝手は、入力をどれだけ自動化できるかで決まります。

電帳法の保存要件・インボイス記載チェック機能

電子帳簿保存法に対応するには、領収書を電子データのまま、改ざん防止やタイムスタンプ、検索性といった保存要件を満たして保管する機能が必要です。出張管理システムでは、領収書を撮影した時点で要件を満たす形でデータ化し、日付・取引先・金額で検索できるよう記録します。これにより、紙の領収書を糊付け保管する運用から脱却でき、税務調査時にも必要な書類をすぐ取り出せます。

インボイス制度への対応では、適格請求書の記載要件(登録番号・適用税率・税額など)を満たしているかを自動でチェックする機能が役立ちます。要件を満たさない領収書は仕入税額控除の対象外になる可能性があるため、入力段階で不備を検知して差し戻せると、後工程の混乱を防げます。出張の経費は件数が多く扱う人も多いため、こうした法対応を一件ずつ人が確認するのは現実的ではありません。電帳法・インボイス対応機能は、法令順守と業務効率を両立させる必須機能だと言えます。

会計・給与システム連携と費用分析機能

会計・給与システム連携と費用分析機能のイメージ

出張管理システムの価値を最大化するのが、他システムとの連携機能と、蓄積データを活かす分析機能です。出張で発生した費用は、最終的に会計や給与の処理につながります。ここを連携できるかどうかで、間接部門の工数が大きく変わります。さらに、出張データを分析できれば、コスト削減や経営判断の材料になります。

会計仕訳・立替金の自動連携機能

会計連携機能は、承認済みの精算データを会計仕訳の形に変換し、会計システムへ取り込めるようにするものです。勘定科目・部門・プロジェクトといったコードを自動で割り当てられれば、経理が同じ数字を会計システムに打ち直す二重入力がなくなります。立替金の振込データを作成して銀行振込につなげる機能まで備えると、精算から支払までが一気通貫になります。出張精算は件数が多く転記ミスが起きやすい領域のため、この自動連携の効果は大きいと言えます。

給与計算システムとの連携も、立替精算を給与とあわせて支払う運用では重要です。連携を成功させる鍵は、両システムのマスタ(科目・部門・社員コード)を整合させることです。連携機能があっても、コード体系が合っていなければ結局手修正が発生します。製品を選ぶ際は「連携できる」という言葉だけでなく、自社の会計・給与システムと実際にどのコードまで連携できるかを確認することが大切です。

出張費用の可視化・分析・レポート機能

出張管理システムにデータが集約されると、出張費用を部門別・案件別・行先別・個人別に集計・分析する機能が活きてきます。これまで月次の締めまで分からなかった出張コストを、ほぼリアルタイムで可視化できれば、予算管理の精度が上がります。経営層が「今月の出張費は予算に対してどうか」をダッシュボードで把握できる体制は、コスト管理の質を高めます。

分析機能は、コスト削減の打ち手にもつながります。同じ路線を多くの社員が使っているなら法人契約や早期予約を検討する、特定の出張先への移動が増えているなら拠点配置を見直す、といった判断材料が得られます。出張データの可視化は、単なる精算記録の集計ではなく、出張のあり方そのものを見直す経営の道具になるのです。連携・分析機能まで含めて評価することで、出張管理システムの投資効果を最大限に引き出せます。

分析機能を評価する際は、自社が見たい切り口でデータを出せるかを確認することが大切です。標準のレポートだけでなく、必要な軸で自由に集計・出力できる柔軟性があると、活用の幅が広がります。出張費用のデータは、予算管理や拠点戦略だけでなく、社員の働き方の見直しにもつながります。出張が特定の社員に偏っていないか、移動時間が業務を圧迫していないかといった視点でデータを読み解けば、出張のあり方を健全化する材料になります。連携・分析機能は、出張管理を「コスト管理」から「経営の意思決定支援」へと引き上げる鍵だと言えます。

運用を支える管理者機能とセキュリティ機能

運用を支える管理者機能とセキュリティ機能のイメージ

申請者が使う機能だけでなく、システムを運用する管理者側の機能も、出張管理システムの使い勝手を大きく左右します。マスタの設定や権限の管理、データの保存といった裏方の機能が充実しているかどうかが、長く安定して使えるシステムかどうかを決めます。管理者機能とセキュリティ機能は、地味ですが見逃せない評価ポイントです。

規程・マスタ設定と権限管理の機能

管理者機能の中核が、出張規程やマスタの設定機能です。役職別の宿泊費上限、日当、利用可能な交通クラスといったルールを、管理者が画面から設定・変更できることが望ましい姿です。規程が変わったときに、ベンダーに依頼しなくても自社で設定を更新できれば、運用の自由度が高まります。組織変更に応じて承認ルートを組み替える機能も、長く使ううえで重要です。

権限管理の機能も欠かせません。申請者・承認者・経理・管理者といった役割ごとに、閲覧・編集できる範囲を細かく設定できると、内部統制と情報保護を両立できます。複数法人を管理する場合は、法人をまたいだ権限の設計が必要になります。出張データには個人情報や機微な経費情報が含まれるため、誰が何を見られるかを制御する権限管理は、セキュリティの観点からも必須の機能です。

データ保存・ログ管理と法定保存対応の機能

出張・精算データには法定の保存義務があるため、データを必要な期間、確実に保存する機能が求められます。退職した社員のデータも保存対象になるため、退職者のデータをどう保持するかは重要な機能上の論点です。SaaSでは退職者アカウントの保持で課金が続くジレンマがあり、無料系ではデータ保存期間が数か月〜1年と短い場合があります。法定期間の保存を、追加コストを抑えながら実現できる仕組みかどうかを、機能として確認すべきです。

あわせて、操作ログの記録機能も内部統制の観点から重要です。誰がいつ、どの申請を承認・修正したかが記録されていれば、監査や不正調査の際に追跡できます。データのバックアップやエクスポート機能も、システム移行や万一の障害に備えて欠かせません。管理者機能・セキュリティ機能は、申請者向けの機能ほど目立ちませんが、システムを安全に長く運用するための土台です。製品選定では、この裏方の機能まで含めて評価することが大切です。

まとめ

出張管理システム機能のまとめイメージ

出張管理システム(BTM)の機能を整理すると、(1)出張規程チェックと多段階承認を備えた申請・承認ワークフロー、(2)予約連携と出張者の所在管理を含む手配機能、(3)領収書OCR・交通費自動計算と電帳法・インボイス対応の精算機能、(4)会計・給与連携と費用可視化・分析機能、という四つの柱に集約されます。それぞれの機能が「申請・手配・精算・集計」という出張業務の各段階を支え、工数削減と法令順守、ガバナンス強化を同時に実現します。

機能を検討するときに大切なのは、機能の多さに惑わされず、自社の出張業務に「本当に必要な機能」と「あれば便利な機能」を切り分けることです。出張の頻度・海外比率・既存システムとの連携要件を整理したうえで、過不足のない機能を選んでください。riplaはフルスクラッチ受託とノーコード受託の両面から、自社の出張業務に必要な機能だけを過不足なく備えたシステムづくりを支援します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、弊社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

 

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