奉行クラウド導入のパッケージ/クラウド製品一覧

奉行クラウド導入を検討すると、会計を担う勘定奉行iクラウドだけでなく、給与奉行iクラウド、商蔵奉行iクラウド、総務・人事奉行iクラウド、上位ブランドの奉行V ERPクラウドまで、業務領域ごとに分かれた複数の製品が候補に挙がります。名称が似ているため違いが分かりにくく、料金の安さだけで選ぶと、必要な業務範囲や既存システムとの連携に対応できず、後から手作業が残ることもあります。

本記事では、パッケージ型(オンプレミス)とクラウド型の違いを整理したうえで、2026年7月時点で現行の公式情報を確認できた奉行クラウドの主要7製品を紹介します。各製品の対象業務、課題別の絞り方、料金・契約条件、デモやPoCで確認すべきポイントまで解説しますので、候補モジュールを比較する際の基準としてご活用ください。

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・奉行クラウド導入の完全ガイド

パッケージ型(奉行11)とクラウド型(奉行クラウド)の違い

パッケージ型とクラウド型の奉行製品を比較する担当者

パッケージ型は自社サーバーに導入して運用する従来型のオンプレミス製品を指し、クラウド型はベンダーが運用するサービスをインターネット経由で利用する方式です。奉行シリーズでは、オンプレミス型の最新モデル「奉行11」が2025年2月末で販売を終了しており、現在新規に比較・検討できる具体的な製品はクラウド型の「奉行クラウド」が中心になっています。

奉行11(パッケージ型)は既に販売終了しています

オンプレミス型の奉行11は、自社サーバーへの導入によって閉域網での運用や独自カスタマイズに対応しやすい反面、サーバー、監視、バックアップ、バージョンアップを自社側で担う範囲が大きい製品でした。2025年2月末で販売が終了し、保守サポートも2027年4月末で終了予定のため、新規導入や増設の検討対象としては扱えません。既存ユーザーは、保守期限までにクラウド版への移行を検討する必要があります。

奉行クラウド(SaaS型)は法改正対応とモジュール連携が特徴です

奉行クラウドはMicrosoft Azureを基盤とするSaaS型のサービスで、サーバー調達をせずに利用を始められ、法改正への対応や機能追加もベンダー側で自動的に適用されます。会計・人事給与・販売仕入在庫といった業務領域ごとにモジュールが分かれており、DX Suiteという仕組みを通じてモジュール間のデータ連携を強化できる点も、単体の会計ソフトとは異なる特徴です。以下では、2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた主要7製品を紹介します。

製品を比較するときの共通軸

奉行クラウド製品の比較項目を整理する会議

製品紹介ページの機能一覧だけでは、自社の業務にどこまで適合するか判断できません。候補を同じ条件で比べるため、対象業務の範囲、他モジュールとの連携、データ移行の可否、料金体系を共通の質問に置き換えることが重要です。

対象業務の範囲とモジュール間連携をそろえて比べます

最初に、会計、人事給与、販売・仕入在庫、固定資産のうち、どこまでを一つのモジュールでカバーするかを確認します。「連携できる」という説明でも、DX Suiteのように標準機能として連携する場合と、CSV出力を介して手動で連携する場合では、担当者の作業量が異なります。自社が現在オンプレミス版で運用している業務範囲を洗い出し、実際の画面で連携の流れをデモしてもらうと判断しやすくなります。

データ移行可否とセキュリティも比較対象にします

クラウド版は機能面だけでなくデータ互換性の面でもオンプレミス版とは別製品と捉えるのが適切で、移行前にデータコンバート事前確認ツールでの確認が必要になる場合があります。あわせて、Azure基盤上でのデータ管理体制、責任分界点の考え方、外部システムとのAPI連携の範囲についても、各製品で確認しておくことが大切です。詳しい評価手順は、奉行クラウド導入の選定ポイント・選び方・種類で整理していますので、7つの評価軸に沿って比較する際の参考にしてください。

奉行クラウドの主要7製品

奉行クラウドの主要製品を一覧で検討する様子

ここでは、2026年7月時点で現行の公式ページと料金情報を確認できた7製品を紹介します。掲載順は優劣を示すランキングではありません。製品ごとに対象業務や料金体系が異なるため、自社が移行したいモジュールに合わせて比較することが重要です。

勘定奉行iクラウド(会計)

勘定奉行iクラウドは、会計業務の効率化を主眼とするクラウド会計ソフトで、奉行クラウド導入において最も基本となるモジュールです。2026年7月時点の公式サイトには、Eシステムで月額7,750円〜(年額93,000円〜・初期費用0円)、上位のJ・A・B・Sシステムでは月額11,750円〜28,000円程度(初期費用50,000円〜70,000円)というプラン構成が掲載されています。契約は法人単位の年間契約となっており、仕訳伝票の明細数などはオプションで拡張できます。料金は構成やライセンス数によって変わるため、最新の条件は公式サイトまたは問い合わせ窓口で確認してください。

給与奉行iクラウド(人事給与)

給与奉行iクラウドは、給与計算、明細のペーパーレス配付、社会保険手続の電子申請、年末調整などを担う人事給与モジュールです。2026年7月時点の公式サイトには月額5,500円〜(年額66,000円〜)という料金が掲載されており、システム構成によっては月額9,000円台からとなる場合もあるため、自社の従業員数と必要な機能を伝えたうえで見積りを取得することをおすすめします。会計を担う勘定奉行iクラウドと連携させることで、人件費データを会計側の帳票へ取り込みやすくなる点も特徴です。

商蔵奉行iクラウド(販売・仕入在庫管理)

商蔵奉行iクラウドは、見積・受注・売上・請求・債権入金までの販売管理と、発注・仕入・在庫・棚卸・支払までの仕入在庫管理を1製品でカバーするモジュールです。2026年7月時点の公式サイトには月額13,000円〜(年額156,000円〜・初期費用0円〜)という料金が掲載されており、構成例として1ライセンス・1年契約で年額330,000円(税抜)という記載も確認できます。販売と在庫の情報を会計側と連携させたい企業にとって、比較の中心になりやすいモジュールです。

総務・人事奉行iクラウド(人事労務管理)

総務・人事奉行iクラウドは、50種類・1100項目以上の管理項目により、従業員の基本情報から給与・賞与、労働契約、健康診断まで一元管理し、名簿作成や組織改編、証明書発行を自動化するモジュールです。2026年7月時点の公式サイトには月額7,000円〜(年額84,000円〜・初期費用0円〜)という料金が掲載されています。給与奉行iクラウドと連携させることで、人事情報と給与計算の二重入力を減らせる可能性がある点も、比較時の確認ポイントになります。

固定資産奉行iクラウド(固定資産管理)

固定資産奉行iクラウドは、固定資産・リース資産の取得から除却までを一元管理し、税法・会計基準に沿った減価償却の自動計算や、税理士とのリアルタイムデータ共有、電子申告に対応するモジュールです。2026年7月時点の公式サイトには月額4,750円〜(年額57,000円〜・初期費用0円〜)という料金が掲載されています。会計モジュールと切り離して単体でも導入できるため、資産管理だけを先行してクラウド化したい企業の候補にもなります。

奉行V ERPクラウド(中堅・成長企業向け上位ERP)

奉行V ERPクラウドは、中堅・成長企業やグループ企業、グローバル企業向けの上位ERPブランドで、会計、人事労務、販売管理を統合的にカバーし、業務アプリケーションからインフラまでオールインワンで提供されます。日経コンピュータ2025年9月4号の顧客満足度調査でERP部門第1位を獲得しており、IFRS対応やグループ会社の一元管理が必要になった企業の移行先として検討されます。料金は業務要件によって異なるため公式サイトに具体額の記載はなく、個別の見積りが前提です。

奉行Smartマルチクラウド(IaaS型、既存システムと併存させたい企業向け)

奉行Smartマルチクラウドは、SaaS版の奉行クラウドとは異なるIaaS型のサービスで、Microsoft Azure、AWS、FJcloud-V(旧ニフクラ)など25以上のパートナークラウドの中から選んだ基盤上に、奉行システムと既存のカスタマイズシステムを同時に展開できます。自社構築した独自システムをそのまま維持しながらクラウド化したい企業向けの選択肢で、中堅・成長企業向けと中小・小規模企業向けの2系統が用意されています。料金は公式サイトに価格表がなく、資料ダウンロードやクラウド化の相談を通じた個別見積りが前提です。

自社の課題別に候補を絞る方法

自社課題から奉行クラウド製品を絞るチーム

7製品を一斉に細部まで比較するより、最も優先度の高い業務を一つ決め、必須要件で候補を減らす方が効率的です。会計、人事給与、販売在庫、グループ管理では、対象となるモジュールが異なります。

会計・人事給与の保守期限対応を優先したい場合

奉行11の保守終了を控え、まず会計と人事給与のクラウド化を急ぐ場合は、勘定奉行iクラウドと給与奉行iクラウドを中心に検討します。両モジュールを同時に移行するのか、会計を先行させるのかによって、移行期間中の連携方式が変わる可能性があるため、DX Suiteによる連携範囲もあわせて確認します。総務・人事奉行iクラウドを含めるかどうかは、人事労務の管理項目をどこまでシステム化したいかで判断します。

事業規模の拡大や独自カスタマイズを重視したい場合

グループ会社管理やIFRS対応が必要な企業は奉行V ERPクラウドを、独自にカスタマイズしたシステムを既存のまま維持しつつクラウド化したい企業は奉行Smartマルチクラウドを候補にします。販売・在庫管理まで含めて標準機能でまかないたい企業は商蔵奉行iクラウドを、固定資産管理を単体で強化したい企業は固定資産奉行iクラウドを個別に検討すると、比較の範囲を絞り込みやすくなります。

料金・契約前に確認すべきこと

奉行クラウドの料金と契約条件を確認する担当者

公開価格の月額表示だけで安価な構成を選ぶと、ライセンス数の追加や連携オプションで想定外の費用が生じることがあります。料金表に載る基本料金だけでなく、初期費用、データコンバート、教育、将来の解約時のデータ持ち出しまで含めた総保有コストで判断します。

何に対して課金されるかを確認します

奉行クラウドの料金は、システムのグレード(仕訳明細数やライセンス数などの規模区分)によってプランが分かれており、モジュールごとに初期費用と月額または年額の利用料が設定されています。現在の利用状況だけでなく、1〜3年後に想定される事業規模の変化も伝えたうえで、必要なプランと拡張オプションの費用を同じ条件で見積もることが重要です。奉行V ERPクラウドや奉行Smartマルチクラウドのように料金が非公開の製品については、確認できない具体額を比較表へ推測で入れないようにします。

データ移行条件と契約単位を契約書で確認します

クラウド版は1契約につき1社のみの管理となり、データ領域も1つに限られるなど、オンプレミス版とは異なる制約があります。移行前にはデータコンバート事前確認ツールでの検証が必要になる場合があり、OBCインストラクターによる代行サービスは1領域あたり55,000円程度から利用できますが、対象モジュールによって事前指導の要否が異なる点も契約前に確認しておく必要があります。

デモとPoCで製品一覧を最終候補へ絞る

奉行クラウドのデモとPoCを実施するチーム

資料比較で1〜2製品まで絞ったら、実際の自社データに近い条件でデモまたは無料体験を行います。経理・人事・情報システムの担当者だけでなく、実際に日々入力する現場の担当者にも参加してもらうと、導入後の行き違いを減らせます。

30日間無料体験で実際の入力・連携を試します

勘定奉行クラウド、給与奉行クラウド、商奉行クラウドなど主要モジュールには、サンプルデータや専用ガイドブック付きの30日間無料体験が用意されています。自社で実際に使う伝票入力、給与計算、在庫確認などの操作を試し、想定していた業務フローとの差異や、他モジュールとの連携で欠落する項目がないかを確認します。

移行前後の作業時間を実測して稟議に使います

移行前に、月次の締め作業や年末調整、棚卸しなど定型業務にかかっている時間を記録し、無料体験や見積り段階で想定される変化と比較します。クラウド化によってサーバー保守は不要になりますが、アカウント管理や法改正時の設定確認といった運用は残るため、その工数も差し引いたうえで投資対効果を判断することが重要です。

奉行クラウドの製品比較で押さえておきたいポイント

奉行クラウドの製品比較に関する質問を確認する担当者

製品一覧から候補を選ぶ際は、料金の安さやおすすめ順位だけでなく、自社が移行したい業務範囲と規模を同じ条件で比較する必要があります。ここでは、選定時に判断が分かれやすいポイントを整理します。

オンプレミス版の新規導入は選べますか

現時点では選べません。オンプレミス型の奉行11は2025年2月末で販売を終了しており、新規に比較・検討できる具体的な製品はクラウド型が中心です。既存のオンプレミス環境を維持しつつ独自システムと併存させたい場合は、IaaS型の奉行Smartマルチクラウドが選択肢になります。

おすすめの製品は優先課題によって変わりますか

変わります。会計・人事給与の保守期限対応を急ぐ企業と、グループ管理や独自カスタマイズの維持を重視する企業とでは、優先すべきモジュールが異なります。まず必須要件で1〜2製品へ絞り、同じシナリオのデモまたは無料体験で比較してください。

掲載されている料金はそのまま契約に使えますか

目安として利用できますが、そのまま契約に使えるとは限りません。本記事で紹介した料金は2026年7月時点で公式サイトに掲載されていたものであり、プラン改定やライセンス数、オプション構成によって変動します。契約前には必ず公式サイトまたは問い合わせ窓口で最新の条件を確認してください。

まとめ

奉行クラウド製品選定の方針をまとめるチーム

奉行クラウドの製品一覧では、オンプレミス型の奉行11が販売終了している以上、比較の中心はクラウド型の各モジュールになります。今回紹介した7製品にも、会計、人事給与、販売在庫、固定資産管理、上位ERP、既存システムとの併存という異なる特徴があり、自社が優先する業務範囲によって適した候補が変わります。

保守期限からの逆算でモジュールを絞り込みます

奉行11の保守期限とグループ会社管理などの将来計画を踏まえ、優先すべきモジュールを決めます。そのうえで、対象業務の範囲、データ移行可否、料金体系を同じ質問で比較すれば、掲載順位や割引に左右されず候補を絞れます。

最後は無料体験と実データでの確認に進みます

資料上の料金や機能数だけでなく、自社の伝票や給与計算、在庫データを使った無料体験で実際の操作感を確認したうえで決定してください。既製のクラウド製品では独自の帳票フォーマットや基幹システムとの深い連携を吸収しきれない場合、個別開発やハイブリッド構成も検討対象になります。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、製品比較で明らかになった不足機能の整理や、自社業務に合わせたシステム構築を支援しています。

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株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

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