予測分析システムを探すと、ノーコードで予測モデルを構築できるツール、AIプラットフォームとして幅広い予測・機械学習業務に対応するもの、統計解析からの実績が長い商用アナリティクス製品まで、性格の異なる製品が見つかります。名称や機能一覧だけでは違いが分かりにくく、知名度だけで選ぶと、自社が予測したい対象にモデルが対応しておらず、結局Excelでの見込み管理が残ることもあります。
本記事では、予測分析システムの提供形態の違いを整理したうえで、2026年7月時点で公式サイトの記載を確認できた主要5製品を紹介します。各製品の得意領域、課題別の絞り方、料金・契約条件、デモやPoCで確認すべきポイントまで解説しますので、候補製品を比較する際の基準としてご活用ください。
本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・予測分析システム開発の完全ガイド
パッケージ型とクラウド型予測分析システムの違い

予測分析システムという言葉は、自社環境に導入するソフトウェア型の製品と、ベンダーが運用するクラウド/SaaS型のサービスの両方を指して使われます。現在、具体的な製品として比較しやすいのはクラウドで提供される、あるいはクラウドとオンプレミスの両方に対応するプラットフォーム型が中心であり、本記事もこうした確認可能な製品を対象にしています。名称や見た目の分類だけでなく、実際にどこまでを自社側で運用し、どこからをベンダーに任せられるかという運用範囲の違いを理解しておくと、比較の軸がぶれにくくなります。
ソフトウェア導入型は自社運用と個別要件への対応が論点です
ノーコードで予測モデルを構築できるツールの中には、自社のPCやサーバーにソフトウェアを導入して使う形態のものがあります。社内データを外部に出さずに分析したい企業や、自社の分析環境に組み込みたい企業に向いていますが、サーバーの用意やソフトウェアのバージョンアップ、社内での運用体制を自社側で担う範囲が大きくなります。
クラウド・プラットフォーム型は短期導入と継続的な機能更新に向いています
クラウドで提供されるAIプラットフォーム型の製品は、サーバー調達をせずに利用を始めやすく、ベンダーによるモデルやアルゴリズムの継続的な更新を受けられる点が特徴です。一方で、自社データを外部のクラウド環境に預けることになるため、データの保管場所、アクセス権限、契約終了時のデータ返却条件などを確認しておく必要があります。特に個人情報や機密性の高い業務データを扱う場合は、暗号化の方式やデータセンターの所在地まで確認しておくと、社内のセキュリティ審査を通しやすくなります。
製品を比較するときの共通軸

製品紹介ページの機能一覧だけでは、自社の予測対象に適合するか判断できません。候補を同じ条件で比べるため、対応する予測手法、データ連携、モデルの説明可能性、運用支援、料金体系を共通の質問に置き換えることが重要です。
対応する予測手法とデータ連携をそろえて比べます
最初に、時系列予測、分類、回帰、異常検知など、自社が必要とする予測手法に標準機能で対応しているかを確認します。「AIで予測できる」という説明でも、あらかじめ用意されたアルゴリズムから選ぶ方式か、独自のモデルを組み込める方式かによって、対応できる業務の幅が変わります。自社の基幹システムやIoT機器からデータを取り込む方法についても、対応形式と連携頻度を具体的に確認します。取り込んだデータをどの範囲まで製品側で前処理してくれるのか、欠損値や外れ値の扱いを自社側で調整できるのかも、実際にデータを渡して確認しておくと導入後の手戻りを防げます。
説明可能性と導入支援の手厚さを確認します
予測結果がなぜその値になったのかを、担当者が理解できる形で示せるかどうかは、現場への定着を左右する重要な観点です。あわせて、モデル構築の初期段階でベンダーからどの程度の技術支援を受けられるか、社内にデータ分析の専任者がいない場合でも運用を続けられるかも確認します。詳しい評価手順は、予測分析システムの選定ポイント・選び方・種類で整理しています。
予測分析システムの主要製品5選

ここでは、2026年7月時点で公式サイトの記載を確認できた5製品を紹介します。掲載順は優劣を示すランキングではありません。製品ごとに得意とする用途や提供形態が異なるため、自社の予測対象と運用体制をそろえて比較することが重要です。
Alkano
Alkanoは、株式会社NTTデータ数理システムが提供するノーコードのデータ分析プラットフォームです。公式サイトによると、データ加工、予測モデル構築、異常検知、深層学習まで、マウス操作を中心とした画面で扱えることが特徴とされています。同社の統計解析ツール「Visual Mining Studio」の開発を終了し、機能をAlkanoへ統合した経緯があり、長年の統計解析・データマイニングのノウハウを引き継ぐ製品と位置づけられます。2026年7月時点の公式サイトには、1か月間の無料トライアルと無料コンサルティングの案内が掲載されていますが、具体的な料金は問い合わせ制となっているため、自社の利用規模を伝えたうえで見積もりを確認してください。
DataRobot
DataRobotは、DataRobot, Inc.が提供するAI/機械学習プラットフォームです。予測モデルの自動構築(AutoML)を中心に、モデルの評価・比較・運用管理までを一つの基盤で扱えることが特徴で、需要予測や解約予測、与信スコアリングなど、複数の予測領域を横断して活用する企業で候補になりやすい製品です。公式サイトには具体的な料金は掲載されておらず、デモや問い合わせを通じた個別見積もりとなっています。複数の予測テーマを将来的に扱う可能性がある企業では、モデル管理やガバナンス機能がどこまで標準搭載されているかを確認すると比較しやすくなります。
SAS Viya
SAS Viyaは、統計解析ソフトウェアの老舗であるSAS Institute Inc.が提供するAI/アナリティクスプラットフォームです。公式サイトでは、データ管理からモデル開発・デプロイ、監視までのライフサイクル全体を支援するプラットフォームとして紹介されており、高度な統計解析や大量データの処理に強みを持つとされています。料金は公式サイトに具体的な記載がなく、無償のプライベート試用環境や見積もり請求を通じて確認する形です。金融・製造など、以前から統計解析基盤を持つ企業が、既存の分析資産を活かしながら予測分析へ拡張したい場合に検討しやすい製品です。
Prediction One
Prediction Oneは、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が提供するAI予測分析ツールです。公式サイトによると、ソニー社内のAI教育にも使われてきたノウハウをもとに、機械学習の専門知識がなくても数クリックで二値分類・多値分類・数値予測・時系列予測を行えることが特徴とされています。料金体系は、法人向けには初期費用(環境構築費用とレクチャーを含む)と基本料金(ライセンス料とカスタマーサクセスサービスを含む)で構成されるプラン、個人向けにはクレジットカード払いに対応したプランが用意されており、いずれも14日間の無料体験を利用できます。具体的な金額は公式サイトに明記されていないため、利用人数や用途を伝えたうえで見積もりを確認することが必要です。専任のデータサイエンティストがいない企業でも予測分析を始めやすい製品として候補になります。
Alteryx
Alteryxは、Alteryxが提供するデータ分析プラットフォームです。公式サイトでは「Alteryx One」として、データ準備から予測分析、機械学習、生成AIを活用したワークフローまでを一つのプラットフォームに統合していると紹介されています。料金は公式サイトの料金ページから問い合わせる形式で、具体的な金額は公開されていません。データ収集・加工の工程が複雑な企業や、予測分析を含むデータ活用ワークフロー全体を一つの基盤で管理したい企業に向いています。
自社の課題別に候補を絞る方法

5製品を一斉に細部まで比較するより、最も大きな予測テーマを一つ決め、必須要件で候補を減らす方が効率的です。予測分析の専任者の有無、既存の分析基盤の有無、対応したい予測手法の広さによって、適した製品タイプが異なります。
専任のデータサイエンティストがいない場合
社内に専任のデータ分析担当者がおらず、まずは需要予測や簡単な数値予測から始めたい場合は、ノーコードで扱えるPrediction OneやAlkanoが候補になります。操作の分かりやすさに加えて、導入時の技術支援やトレーニングをどこまで受けられるかを比較すると、自社だけで運用を続けられるかを判断しやすくなります。
複数の予測領域を横断的に扱いたい場合
需要予測、解約予測、与信スコアリングなど、複数の予測テーマを一つの基盤で扱いたい場合は、AutoMLやモデル管理機能が充実したDataRobot、データワークフロー全体を統合できるAlteryxが候補になります。既存の統計解析基盤を持つ企業が、その資産を活かして予測分析へ拡張したい場合は、SAS Viyaも比較対象になります。複数の予測領域を横断する場合は、領域ごとに担当部署が分かれることも多いため、モデルの利用権限や結果の共有範囲を部署単位で設定できるかも、あわせて確認しておくと運用開始後の混乱を避けられます。
料金・契約前に確認すべきこと

今回紹介した5製品はいずれも、公式サイトに具体的な料金を公開しておらず、問い合わせや見積もりを通じて確認する形になっています。公開価格がないからといって高額とは限らないため、自社の利用規模を明確にしたうえで、同じ条件で複数社に見積もりを依頼することが重要です。
何に対して課金されるかを確認します
予測分析システムの料金は、利用ユーザー数、扱うデータ量、モデルの数、API呼び出し回数など、製品によって課金の単位が異なります。現在の利用規模だけでなく、1年後・3年後に予測対象を広げた場合の想定規模も伝え、初期費用、最低利用期間、追加ユーザーやデータ量が増えた際の従量課金の境界を同じ条件で見積もります。
無料体験や導入支援の範囲を確認します
Prediction OneやAlkanoのように無料体験や無料コンサルティングを提供している製品もあれば、デモや個別商談を通じてのみ製品を確認できる製品もあります。無料体験の期間中にどこまでの機能を試せるか、本番導入時にはどのような技術支援が有償・無償で受けられるかを、契約前に具体的に確認しておくと、導入後の想定外の追加費用を避けやすくなります。
デモとPoCで製品候補を最終候補へ絞る

資料比較で2〜3製品まで絞ったら、自社の実データを使ってデモまたはPoCを行います。担当者だけでなく、実際にデータを扱う現場部門にも参加してもらうと、導入後の行き違いを減らせます。
自社の実データで予測精度を確認します
デモ用のサンプルデータではなく、自社の過去データを使って予測モデルを構築し、精度を確認します。データの前処理にどの程度の工数がかかったか、モデル構築から予測値算出までの操作が現場担当者にとって分かりやすいかも、あわせて確認しておくと、本番導入時の負荷を見積もりやすくなります。ベンダーの担当者が操作した結果だけを見るのではなく、自社の担当者自身に一連の操作を行ってもらうと、実際の運用に必要な習熟期間もあわせて把握できます。
導入効果を実測して稟議に使います
PoC前に、需要予測であれば欠品・過剰在庫の発生状況、異常検知であれば設備トラブルの発生頻度など、自社の現状を記録し、PoC後の予測結果と比較します。公開されている他社の活用事例をそのまま自社へ当てはめるのではなく、自社のデータと業務条件で効果を検証することが重要です。効果の測定方法を導入前に決めておかないと、本番導入後になって何と比較すればよいか分からなくなり、稟議に必要な資料をあらためて作り直す事態にもなりかねません。
予測分析システムの製品比較で押さえておきたいポイント

製品一覧から候補を選ぶ際は、知名度やおすすめ順位だけでなく、自社の予測対象と運用体制を同じ条件で比較する必要があります。ここでは、選定時に判断が分かれやすいポイントを整理します。
おすすめ製品は予測対象と社内体制によって変わります
全企業に共通する1位の製品はなく、専任データサイエンティストの有無、扱いたい予測領域の広さ、既存の分析基盤の有無によって適した製品は変わります。まず必須要件で2〜3製品へ絞り、同じデータを使ったデモまたはPoCで比較してください。
料金は公開情報がなくても複数社から見積もりを取ります
今回紹介した5製品は、いずれも公式サイトに具体的な価格を公開していません。同じ利用規模、予測対象、連携条件を各社へ提示し、初期費用、月額費用、データ移行や導入支援にかかる費用を含めて比較してください。
自社データを外部に出せない場合は提供形態を確認します
セキュリティ上の理由で分析データを外部のクラウド環境に置けない企業は、ソフトウェアを自社環境に導入できる製品や、データの保管場所を選択できるプランがあるかを確認してください。同じ製品名でも、クラウド版とオンプレミス版で対応範囲が異なる場合があります。
まとめ

予測分析システムの製品選びでは、ノーコードで扱えるツールから、複数の予測領域を横断するAIプラットフォーム、統計解析の実績を持つ商用製品まで、性格の異なる候補を比較することになります。今回紹介した5製品にも、対応する予測手法や想定される利用者層に違いがあります。
予測対象と社内体制から2〜3製品へ絞り込みます
専任のデータサイエンティストの有無、扱いたい予測領域の広さ、既存の分析基盤の有無という3つの観点で最優先事項を決めれば、知名度に左右されず候補を絞れます。そのうえで、対応手法、データ連携、説明可能性、料金体系を同じ質問で比較してください。
最後は自社の実データによるPoCで確認します
資料上の機能数ではなく、自社のデータで実際にどの程度の予測精度が出るか、その結果を業務プロセスへ組み込めるかが重要です。既製のクラウド製品やノーコードツールでは自社独自の業務ロジックや基幹システム連携を吸収できない場合、個別開発やハイブリッド構成も検討対象になります。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、製品比較で明らかになった不足機能の整理や、自社の業務プロセスに合わせた予測分析システムの構築を支援しています。
▼全体ガイドの記事
・予測分析システム開発の完全ガイド
株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
