入退室管理システム(Access Control System)の導入を検討する際、最初に気になるのが「いったいどれくらいの費用がかかるのか」という点です。入退室管理システムは、オフィスや工場・データセンターなどの施設において、特定のエリアへの入退室を制御・記録するセキュリティシステムです。不正侵入の防止や従業員の労働時間管理、セキュリティインシデントの追跡調査に活用されており、テレワーク普及後のオフィス管理でも需要が高まっています。一方で、導入費用はシステムの規模・機能・開発方針によって大きく変動するため、事前の費用感把握が不可欠です。
本記事では、入退室管理システムのカスタム開発費用の相場・内訳・コスト削減方法、そして見積もりを取る際のポイントについて体系的に解説します。「費用が高そうで踏み出せない」「相見積もりの取り方が分からない」という担当者の方にも、具体的な数字と判断基準をもとにご説明します。予算策定や発注判断の参考にしてください。
本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・入退室管理システム開発の完全ガイド
入退室管理システム開発の費用概要

入退室管理システムの開発費用は、大きく「初期費用(開発費)」と「ランニングコスト(運用費)」の2種類に分かれます。初期費用は要件定義・設計・開発・テスト・導入までの一連の工程にかかる費用で、開発会社への委託費が中心です。ランニングコストはシステム稼働後の保守・サポート・クラウドサービス利用料・ハードウェアのリース料などが含まれます。開発費用は「工数(人月)×単価」で算出されるのが基本であり、開発会社の規模・技術力・所在地によって単価は大きく異なります。一般的に国内の中堅開発会社の場合、エンジニア単価は月70〜150万円程度が目安です。
費用の種類と全体像
入退室管理システムの費用は以下のように分類されます。
・初期費用(開発費):要件定義、システム設計、フロントエンド・バックエンド開発、ハードウェア連携、テスト、導入設定にかかる費用。通常、プロジェクト全体の60〜80%を占めます。
・ハードウェア費用:ICカードリーダー、生体認証デバイス、電子錠、カメラ、サーバー機器などの購入・設置費用。規模によっては開発費と同等になるケースもあります。
・ランニングコスト:クラウドサーバー利用料(月1〜10万円)、保守・サポート費(月3〜20万円)、ソフトウェアライセンス更新料など。初期費用の10〜20%程度を年間コストとして見込むのが一般的です。
・追加開発費:機能追加・法改正対応・外部システム連携拡張などで発生する変動費。
規模別の費用目安
入退室管理システムの開発費用は、対象施設の規模・管理ドア数・認証方式・連携システムの有無によって大きく変動します。以下に規模別の費用目安をまとめました。
| 規模 | 対象の目安 | 費用目安(開発費) | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 小規模 | 管理ドア数:1〜10箇所、従業員数:〜100名 | 50万〜300万円 | ICカード認証、ログ管理、シンプルな管理画面 |
| 中規模 | 管理ドア数:10〜50箇所、従業員数:100〜500名 | 300万〜1,000万円 | 複数拠点対応、勤怠・HR連携、権限管理 |
| 大規模 | 管理ドア数:50箇所以上、従業員数:500名以上 | 1,000万〜3,000万円 | 生体認証、AI顔認証、複合連携、高可用性設計 |
上記はあくまで目安であり、ゼロからのスクラッチ開発か既存パッケージのカスタマイズかによっても費用は大きく変わります。また、設置工事費や既存システムからのデータ移行費が別途発生するケースもあるため、見積もりの際は総額で確認することが重要です。
入退室管理システムの機能別費用内訳

入退室管理システムの開発費用は、搭載する機能の数・複雑さによって大きく変動します。どの機能が必須でどの機能がオプションかを整理することで、費用のメリハリをつけることができます。
基本機能の費用
入退室管理システムに必須とされる基本機能と、その開発費用の目安は以下の通りです。
・ICカード認証機能:社員証やFeliCaカードによる認証処理の実装。カードリーダーとのハードウェア連携を含み、30〜100万円程度が目安です。
・ログ管理・履歴表示機能:入退室履歴のDB記録・検索・CSV出力など。監査対応に不可欠な機能で20〜60万円程度です。
・権限管理機能:社員ごと・部署ごとにアクセス可能エリアを設定する機能。役職・雇用形態・時間帯による制御も含む場合は30〜80万円程度です。
・管理画面・ダッシュボード:管理者が入退室状況をリアルタイム確認・設定変更できるWebインターフェース。UIの複雑さで30〜100万円程度変動します。
・アラート・通知機能:不正入室や扉の開放状態検知時にメール・Slackで通知する機能。20〜50万円程度が目安です。
これらを合算すると、基本機能の開発だけで100〜400万円程度が一般的な相場となります。
オプション機能の費用
セキュリティ強化・業務効率化のためにオプション機能を追加する場合、追加の開発費用が発生します。代表的なオプション機能とその費用目安は以下の通りです。
・顔認証AI機能:カメラ映像からリアルタイムで顔照合を行う高度な認証方式。AIモデルの開発・チューニングを含み、150〜500万円程度の追加費用がかかります。
・指静脈・指紋認証:生体認証デバイスとの連携実装。デバイス費用とは別に50〜200万円程度の開発費がかかります。
・リアルタイム通知・スマートフォン連携:スマホアプリとのプッシュ通知連携、スマートロック制御。50〜150万円程度が目安です。
・勤怠管理システム連携:入退室ログをそのまま勤怠データとして活用するための連携開発。既存勤怠システムのAPI仕様によって30〜120万円程度変動します。
・来訪者管理・受付システム連携:訪問者の事前登録・当日受付・QRコード発行との連携機能。50〜150万円程度です。
・セキュリティカメラ・録画システム連携:入退室ログと映像を紐付けて検索できる機能。50〜200万円程度が目安です。
入退室管理システム開発のコスト削減方法

入退室管理システムの開発費用を抑えながら品質を確保するためには、開発アプローチの選択と適切なシステム構成の検討が重要です。以下に代表的なコスト削減の方法を解説します。
パッケージ活用と費用比較
入退室管理システムには、完全スクラッチ開発のほかに、既製のパッケージソフトやSaaSをベースとしたカスタマイズ開発という選択肢があります。それぞれの費用・特徴を比較すると以下の通りです。
・スクラッチ開発:自社の要件に完全対応できる反面、開発費が高額(300万〜3,000万円以上)。独自業務フロー・高度なセキュリティ要件がある大企業向き。
・パッケージ+カスタマイズ:既存パッケージの標準機能を活用しつつ、差分をカスタマイズ。開発費を50〜70%削減できるケースもあり、中規模企業に向いています(100万〜500万円程度)。
・SaaS型(クラウドサービス):月額課金制で初期費用を大幅に抑えられる(月額3〜30万円程度)。ただし独自カスタマイズには制限がある場合も多いです。
自社の業務要件の複雑さと予算を天秤にかけ、最適な開発方式を選ぶことがコスト管理の第一歩です。
クラウド型 vs オンプレミス型の費用差
入退室管理システムのインフラ構成として、クラウド型とオンプレミス型があります。費用面での主な違いは以下の通りです。
・クラウド型:初期インフラ費用が低く(数万〜数十万円)、月額課金で利用可能。スケールアップ・ダウンが柔軟で、保守運用の負担も軽減できます。ただし、長期利用では総コストがオンプレを上回るケースもあります。
・オンプレミス型:サーバー・ネットワーク機器の初期投資が大きい(100万〜500万円以上)ですが、クラウド利用料がかからないため長期的にはコストを抑えられる場合があります。セキュリティポリシーでクラウド利用が制限される企業や、インターネット非接続環境が必要な施設(工場・研究所等)に向いています。
一般的な中小企業・オフィス環境ではクラウド型が費用対効果に優れており、特に複数拠点がある場合はクラウドによる一元管理がコスト削減と管理効率化の両立につながります。
見積もりを取る際のポイント

入退室管理システムの開発を依頼する際、見積もりの精度を高めるためには事前準備と比較検討のプロセスが重要です。準備が不足したまま問い合わせると、概算で数千万円という大雑把な金額が返ってきて判断できないというケースも少なくありません。
見積もり依頼前の準備
精度の高い見積もりを得るためには、以下の情報を事前に整理しておくことが重要です。
・管理対象の拠点・ドア数:本社・工場・倉庫など拠点ごとの管理ドア数と設置場所のリスト
・対象ユーザー数と属性:社員・派遣・来訪者・協力会社など認証対象者の種別と人数
・認証方式の希望:ICカード・PINコード・生体認証・スマートフォン認証など
・連携が必要な既存システム:勤怠管理・人事システム・監視カメラシステムのAPIやデータ仕様
・セキュリティ要件:入退室ログの保存期間、監査対応の要否、暗号化要件など
・スケジュール・予算の上限:稼働目標日と予算の上限を明示すると、提案内容が絞られます
これらの情報をまとめた「要件概要書」または「RFP(提案依頼書)」を作成してから問い合わせると、各社から比較しやすい見積もりが返ってきます。
相見積もりのコツ
入退室管理システムの発注では、複数社から相見積もりを取ることが費用の相場感を把握するためにも、適正な価格で発注するためにも不可欠です。以下のポイントを押さえておきましょう。
・3〜5社に同じ条件で依頼する:同じ要件概要書を複数社に渡し、同一条件で比較できるようにします。
・安さだけで選ばない:極端に安い見積もりは、後から追加費用が発生するリスクや品質リスクを内包していることがあります。工数内訳・単価・含まれる作業範囲を確認しましょう。
・保守・運用費も含めた総コストで比較する:初期費用が安くても、ランニングコストが高い場合は3〜5年の総所有コスト(TCO)で比較することが重要です。
・実績・導入事例を確認する:類似規模・類似業界での導入実績がある会社は、要件理解のスピードと品質が安定しています。
・コンサルティングフェーズの提案力を見る:見積もり前の提案ヒアリングで、要件の課題点を指摘してくれる会社は信頼度が高いと言えます。
入退室管理システムの開発費用は、要件・規模・開発方式によって数十万円から数千万円まで幅広く変動します。まずは自社の課題と必要な機能を整理し、複数の開発会社から提案を受けることで、最適な費用・品質バランスを見つけることができます。株式会社riplaでは、要件定義から開発・保守まで一気通貫で対応しており、入退室管理システムの開発に関するご相談も承っております。費用感の確認だけでも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
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・入退室管理システム開発の完全ガイド
株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また「Boxシリーズ」による、受発注管理・在庫管理・配送管理・業務システム・生成AI・SaaS・マッチングサイト・EC・アプリ・LINEミニアプリなどの標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」を活用することで、低コスト・短期間でのスクラッチ開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
