情報系システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

情報系システム(BIシステム・データウェアハウス・経営ダッシュボードなど)の開発を検討しているものの、「どのような手順で進めればよいのか」「どの開発会社に相談すればよいのか」と迷っている担当者の方は多いのではないでしょうか。情報系システムは基幹系システムとのデータ連携や、経営層から現場スタッフまで幅広いユーザーを対象とする点が特徴であり、開発を正しい手順で進めなければ手戻りや予算超過のリスクが高まります。本記事では、情報系システム開発の全体像から各フェーズの具体的な進め方、失敗しないためのポイントまでを体系的に解説します。これから社内で情報系システムを構築・刷新しようとしている方は、ぜひ最後までご覧ください。

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情報系システム開発の全体像

情報系システム開発の全体像

情報系システムとは、組織・企業における情報の収集・処理・蓄積・分析・提供を支えるITシステムの総称です。「基幹系システム(販売管理・生産管理・財務会計など)」が業務トランザクションの処理を担うのに対し、「情報系システム」は主にレポーティング・分析・意思決定支援・コミュニケーションを担います。BIシステム(ビジネスインテリジェンス)・データウェアハウス(DWH)・経営ダッシュボード・KPI管理システム・文書管理システム・CRM・マーケティングオートメーションなどがその代表例です。開発を成功させるためには、まず自社がどのような課題を解決したいのかを明確にし、適切なシステムの全体像を描くことが出発点となります。

情報系システムの種類と特徴

情報系システムは大きく「分析・レポーティング系」「コミュニケーション・情報共有系」「顧客・マーケティング系」「人材マネジメント系」に分類できます。分析・レポーティング系にはBIシステム・DWH・経営ダッシュボード・KPI管理システムが含まれ、経営層や管理職が意思決定に活用します。コミュニケーション・情報共有系には文書管理システム・ナレッジ管理システム・社内ポータルが含まれ、組織全体の情報流通を支えます。顧客・マーケティング系にはCRM・MAツール・顧客分析システムが含まれ、営業・マーケティング部門が活用します。人材マネジメント系にはタレントマネジメントシステム・勤怠管理システムが含まれ、人事部門が担当します。それぞれの種類によって開発の難易度・期間・費用が異なるため、自社が導入すべきシステムの分類を正確に把握することが重要です。

スクラッチ開発とパッケージ活用の選択

情報系システムを構築する方法は「スクラッチ開発(ゼロからの独自開発)」と「パッケージ・SaaS活用(既存製品のカスタマイズ)」の2種類が基本となります。スクラッチ開発は、自社固有のデータ構造・業務フロー・分析要件をそのままシステムに反映できる点が最大の強みです。特に基幹システムとの複雑なデータ連携が必要な場合や、競合他社との差別化につながる独自分析機能を実装したい場合に適しています。一方で、開発期間は6か月〜1年以上となるケースが多く、初期費用も数百万〜数千万円規模になることが一般的です。パッケージ・SaaS活用は、TableauやPower BIなどの既製品をベースに設定・カスタマイズして利用する方法で、短期間かつ低コストで導入できる反面、カスタマイズの自由度に限界があります。どちらが適切かは、自社のデータ要件の独自性・予算・スケジュール感によって慎重に判断することが大切です。

情報系システム開発の目的を明確にする

開発に着手する前に、「なぜ情報系システムが必要なのか」という目的を明確にすることが不可欠です。「経営層がリアルタイムにKPIを確認できる環境を整備したい」「複数の基幹システムからデータを集約して一元的に分析したい」「営業・マーケティング部門の意思決定スピードを向上させたい」など、具体的な課題とゴールを言語化します。目的が曖昧なまま開発を進めると、必要な機能と不要な機能の優先順位がつけられず、スコープが際限なく拡大するリスクがあります。また、投資対効果(ROI)の観点からシステム導入の妥当性を評価するためにも、定量的な目標値(例:月次レポート作成工数を50時間から5時間に削減など)を設定しておくことが重要です。

情報系システム開発の進め方・フェーズ別手順

情報系システム開発の進め方フェーズ別手順

情報系システムの開発は、大きく「要件定義・企画」「基本設計・詳細設計」「開発・実装」「テスト」「リリース・運用」という5つのフェーズで進めます。各フェーズで何を決め、何を成果物として出力するかを明確にしておくことが、プロジェクト全体の品質とスケジュールを守るために重要です。以下では各フェーズの具体的な進め方と注意点を詳しく解説します。

フェーズ1:要件定義・企画

要件定義は情報系システム開発において最も重要なフェーズです。まず「どのデータを」「誰が」「どのような目的で」使うのかを明確にすることから始めます。情報系システムの特性上、データソース(基幹システム・外部API・CSV等)の整理と、そのデータ連携方式の検討が要件定義の核となります。経営層・管理職・現場担当者など、システムを利用するユーザー層ごとに必要な情報と操作性が異なるため、ステークホルダーへの丁寧なヒアリングが欠かせません。機能要件(ダッシュボードの表示項目・レポートの種類・データ更新頻度など)と非機能要件(レスポンスタイム・可用性・セキュリティ・スケーラビリティ)の両方を網羅的に洗い出し、要件定義書としてドキュメント化します。この文書は後続フェーズの基準となるだけでなく、開発会社との認識齟齬を防ぐための契約上の根拠にもなります。

フェーズ2:基本設計・詳細設計

要件定義を受けて、システムの構造や画面・機能の仕様を具体化するのが設計フェーズです。基本設計では、データアーキテクチャ(データレイク・DWH・データマート等の構成)・クラウドサーバー構成・ETL(データ抽出・変換・格納)処理の設計・外部システムとのAPI連携方針などを決定します。また、ダッシュボードや各種レポートのUIワイヤーフレームを作成し、発注側と開発会社が画面イメージを共有してすり合わせを行います。詳細設計では、データベースのテーブル定義・ETLパイプラインの仕様・APIのインターフェース仕様・アクセス権限の設計・セキュリティ要件(個人情報・機密情報の保護)などを、エンジニアが実装に着手できるレベルまで詳細化します。情報系システムは扱うデータの機密性が高いため、セキュリティ設計は特に慎重に行う必要があります。

フェーズ3:開発・実装

設計書をもとにエンジニアが実際にプログラムを作成するのが開発・実装フェーズです。情報系システムの開発では、データパイプライン(ETL/ELT処理)の構築・データウェアハウスのスキーマ実装・ダッシュボード/レポート画面のフロントエンド開発・バックエンドAPIの実装を並行して進めます。開発手法としてはウォーターフォール型とアジャイル型がありますが、情報系システムはユーザーの分析ニーズが変化しやすいため、2〜4週間のスプリント単位で機能をリリースするアジャイル型が適するケースが増えています。実装フェーズでは開発会社との週次進捗確認を行い、データ連携の品質(データの正確性・鮮度)を継続的に検証することが特に重要です。仕様変更が発生した場合は変更管理のプロセスを踏んで正式に対応範囲を合意することが大切です。

フェーズ4:テスト・リリース・運用

テストフェーズでは、単体テスト・結合テスト・システムテスト・ユーザー受け入れテスト(UAT)を順番に実施します。情報系システムでは特に「データの正確性」の検証が重要で、基幹系システムから取り込んだデータが正しく集計・表示されているかを、実際のデータを使って確認します。ダッシュボードの数値が基幹システムの帳票と一致しているか、大量データを投入した際のレスポンスが要件を満たしているか、権限設定が正しく機能しているかなどを網羅的にテストします。リリース後の運用フェーズでは、データパイプラインの定期的な監視・障害時の対応手順の整備・ユーザーへのトレーニング・定期的な機能拡張を計画的に実施します。情報系システムはリリース後もユーザーの分析ニーズに応じた継続的な改善が求められるため、保守・運用体制をリリース前に確立しておくことが重要です。

情報系システム開発で失敗しないポイント

情報系システム開発で失敗しないポイント

情報系システム開発において、プロジェクトが失敗に終わる主な原因は「要件定義の不備」「データ品質の軽視」「ユーザー視点の欠如」「運用体制の未整備」の4点に集約されます。これらのリスクを事前に認識し、適切な対策を講じることが成功の鍵となります。

データ品質の確保を最優先にする

情報系システムの価値はデータの品質に直結します。「システムが動いているのに数値が信頼できない」という状況になると、ユーザーはシステムを使わなくなり、投資が無駄になってしまいます。開発段階からデータクレンジング(不正データの除去・標準化)・データ検証ルールの設計・データリネージ(データの来歴追跡)の仕組みを組み込むことが不可欠です。また、基幹系システムのデータ構造は複雑であることが多く、連携ロジックの設計には十分な時間と工数を確保する必要があります。データ品質の問題は開発後半で発覚するほど修正コストが膨らむため、要件定義段階からデータソースの調査と品質評価を開始することを強くお勧めします。

ユーザー視点のUI/UX設計

情報系システムは経営層から現場スタッフまで幅広いユーザーが利用するため、UI/UXの設計が利用率を大きく左右します。「必要な情報がすぐに見つかる」「操作が直感的にわかる」「モバイルデバイスからも閲覧できる」といった使いやすさを実現するには、実際のユーザーを巻き込んだプロトタイプ評価(ユーザーテスト)を開発の早い段階で行うことが効果的です。特に経営ダッシュボードは、見るべき指標が一画面で把握できるよう、情報の優先順位を整理したレイアウト設計が重要です。開発会社任せにせず、実際に使うユーザーの声を設計に反映させる仕組みをプロジェクトに組み込むことで、リリース後の定着率を高めることができます。

セキュリティとスケーラビリティの設計

情報系システムには個人情報・経営機密情報・顧客情報など機密性の高いデータが集まるため、セキュリティ設計は最優先事項の一つです。アクセス権限の細かな制御(ロールベースアクセス制御)・通信の暗号化・ログの記録と監査・多要素認証の導入などを設計段階から組み込む必要があります。また、事業成長に伴ってデータ量が増加しても性能が劣化しないスケーラビリティの設計も重要です。クラウドネイティブなアーキテクチャ(AWS・Azure・GCPなど)を採用することで、データ量の増加に応じてリソースを柔軟に拡張できる構成を実現できます。将来的なデータ増加を見越したアーキテクチャ設計を、開発初期から意識することが長期的なシステムの健全性を保つ鍵となります。

まとめ

情報系システム開発のまとめ

本記事では、情報系システム開発の全体像・フェーズ別の進め方・失敗しないためのポイントを解説しました。情報系システム開発を成功させるためのポイントを改めて整理します。

・開発の目的(解決すべき課題とゴール)を明確にしてから開発を開始する
・スクラッチ開発とパッケージ活用を自社要件に照らして適切に選択する
・要件定義では機能要件・非機能要件・データソースの整理を徹底する
・データ品質の確保を最優先事項として開発全体を通じて管理する
・実際のユーザーを巻き込んだUI/UX設計でリリース後の定着率を高める
・セキュリティとスケーラビリティを設計段階から組み込む
・リリース後の運用・保守体制を事前に整備する

情報系システム開発は、正しい手順と適切なパートナー選びによって、企業の意思決定スピードと精度を大きく向上させる強力な投資となります。開発会社の選定や発注方法については、関連記事もぜひ参考にしてください。

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