配車業務は特定の担当者の経験と勘に大きく依存しており、その担当者が休むと配車表が組めなくなる、拠点が増えるほど車両や荷物の状況が見えなくなるといった悩みを抱える運送会社は少なくありません。Excelや紙の配車表では、急な欠車や渋滞への対応が後手に回りやすく、2024年問題によるドライバーの拘束時間管理も、担当者の手作業だけでは対応が追いつかなくなりつつあります。こうした現場で、どの車両にどの荷物を積み、どのドライバーが何時に出発するかを日々計画・決定する配車オペレーションを、データに基づいて実行できるようにする仕組みが、配車/物流管理システムです。
本記事では、配車/物流管理システムの基本的な考え方と特徴、受注から実績登録までの業務フロー、主要機能、導入目的、倉庫管理システムや基幹システムとのデータ連携、他の物流関連システムとの違いを順に解説します。配車/物流管理システムという言葉を初めて調べる担当者の方でも、自社の配車業務のどこに当てはめて考えればよいかを判断できるよう、実際の現場フローに沿って整理します。
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▼全体ガイドの記事
・配車/物流管理システム開発の完全ガイド
配車/物流管理システムとは何か?全体像と特徴

配車/物流管理システムとは、運送会社が日々の輸送業務を成立させるために欠かせない、車両・ドライバー・荷物の組み合わせを計画し、実行状況を管理する仕組みです。荷主と運送会社の間で輸送を仲介するTMSや、ドライバーの法令順守を管理する運行管理システムとも重なって見えますが、中心にあるのは運送会社内部の配車オペレーションそのものである点が特徴です。
配車オペレーションの意思決定を仕組み化するシステムです
配車業務では、受注した荷物をどの車両に割り当て、どのドライバーが何時に出発し、どの順番で配送先を回るかを、当日の道路状況や車両の空き状況を踏まえて決めていく必要があります。この意思決定は、経験豊富な配車担当者の勘と手作業に依存しがちで、担当者が不在になると途端に配車表が組めなくなるという属人化のリスクを抱えています。配車/物流管理システムは、こうした意思決定に必要な情報を一つの画面に集約し、誰が担当しても一定の水準で配車表を作成できる状態を目指す仕組みです。
管理対象は車両・ドライバー・荷物の組み合わせだけではありません
システムが扱うのは、車両の台数や積載可能量、ドライバーの拘束時間や保有資格、荷物のサイズや重量、配送先ごとの納品条件だけではありません。これらを組み合わせた結果としての配車表そのもの、実際の走行実績、積載効率、荷主への到着報告までが管理対象になります。個々の情報がばらばらに存在していると、当日の急な変更に対応するたびに複数の担当者へ確認が必要になり、対応が後手に回ります。
こうした情報が部署や担当者ごとにばらばらに存在していると、拠点をまたいだ車両の空き状況を把握できず、近くの拠点に余裕のある車両があるにもかかわらず、遠方から新たに手配してしまうといった非効率も起こりやすくなります。配車/物流管理システムに情報を集約する目的は、単なる記録のデジタル化ではなく、こうした見えない無駄を可視化することにあります。
配車/物流管理システムの仕組みと業務フロー

一般的な配車/物流管理システムでは、受注情報の集約、配車計画の作成、ドライバーへの指示、出発後の動態管理、実績登録という順に業務が進みます。前の工程で確定した情報を次の工程がそのまま利用できることで、同じ内容を何度も転記する手間を減らせます。
受注情報の集約から配車表の作成までをつなぎます
荷主や自社の受注担当から届く配送依頼を、届け先、荷姿、重量、指定時間帯などの条件とともにシステムへ集約します。配車担当者は、これらの受注情報と、当日稼働できる車両・ドライバーの一覧を突き合わせながら、車両ごとの配送順とおおよその到着時刻を組み立てます。受注データと車両・ドライバーの稼働情報が別々の場所で管理されていると、この突き合わせ作業だけでかなりの時間を要することになります。
出発後の動態管理と実績登録までを一つのデータで扱います
配車表が確定すると、ドライバーへ運行指示が伝えられ、実際の走行が始まります。GPSやデジタコと連携する製品であれば、車両の現在地や到着状況をリアルタイムに把握でき、遅延が見込まれる配送先へ事前に連絡することもできます。配送完了後は、実際の到着時刻や積載実績を記録し、計画と実績の差を後から振り返れるようにしておくことが、次回以降の配車精度を高める材料になります。
配車/物流管理システムの主要機能

配車/物流管理システムの機能は製品によって幅がありますが、大きく分けると、配車計画・ドライバーアサイン、積載計画・積付シミュレーション、リアルタイムの動態管理・再配車支援があります。自社に必要な機能は、現在どの工程で最も時間や手戻りが発生しているかから考えると絞り込みやすくなります。
配車計画・ドライバーアサイン機能
配送先ごとの納品条件や車両の積載可能量、ドライバーの拘束時間や休憩時間を踏まえながら、どの車両にどの荷物を割り当て、どの順番で回るかを計画する機能です。近年は、条件を入力すると複数パターンの配車案を自動で算出するAI機能を備える製品も増えており、担当者は算出された案をたたき台として、道路事情や取引先ごとの慣習を踏まえて微調整する運用が現実的です。
配車案を自動算出する際に考慮する条件は製品によって異なり、道路の渋滞予測や有料道路の利用有無、休憩場所の確保まで組み込める製品もあれば、距離と時間だけを基準にする製品もあります。自社が重視する条件をあらかじめ整理しておくと、算出結果をどこまで信頼してよいかを見極めやすくなります。
積載計画・積付シミュレーション機能
荷物のサイズや重量がまちまちで、上積み厳禁や混載不可といった制約が多い荷主を抱える運送会社では、車両への積み方そのものが配送効率を左右します。積載計画機能では、車両の荷台形状や荷物の寸法データをもとに、どの順番でどう積めば無駄なく積載できるかをシミュレーションし、画面上で3D表示できる製品もあります。積み付けの検討を手作業や現場の勘に頼っていた場合、空間の無駄や積み直しの手間を減らせる可能性があります。
積載計画が不十分なまま出発すると、実際には荷台に余裕があるのに車両を追加で手配してしまう、逆に積みきれずに荷物を後回しにしてしまうといった事態が起こります。積載計画機能を活用することで、こうした判断を出発前の段階で確認できるようになります。
リアルタイム動態管理・再配車支援機能
車両の位置情報を継続的に取得し、地図上で稼働状況を確認できる機能です。急な欠車や車両故障、大幅な渋滞が発生した際には、近隣を走行している車両や、比較的余裕のある車両へ荷物を振り分け直す再配車の判断が必要になります。動態管理機能があれば、電話で1件ずつ状況を確認する手間を減らし、画面上で状況を把握したうえで再配車の指示を出しやすくなります。
導入目的と期待できる効果

配車/物流管理システムの導入目的は、単に配車表をデジタル化することだけではありません。特定の担当者に依存していた判断を仕組み化し、法令順守と業務の継続性を両立できる体制を作ることにあります。
配車マンの経験や勘への依存を減らします
長年の経験を積んだ配車担当者は、道路事情や取引先ごとの納品慣習を熟知しており、その判断力は貴重な資産です。一方で、その知識が特定の個人にしか蓄積されていないと、退職や休職が起きた際に配車業務そのものが立ち行かなくなるリスクがあります。配車/物流管理システムに過去の配車実績や判断の根拠を蓄積していくことで、経験の浅い担当者でも一定の水準で配車業務を引き継げる状態に近づけます。
2024年問題を踏まえた拘束時間管理に対応します
トラックドライバーの時間外労働の上限規制、いわゆる2024年問題によって、拘束時間や運転時間の管理はこれまで以上に厳密さが求められるようになりました。紙やExcelでの手作業による集計では、月末になって上限超過が発覚するといった事態になりかねません。配車計画の段階でドライバーごとの拘束時間の見込みをシステム側で可視化できれば、上限に近づいているドライバーへの割り当てを避けるなど、計画段階での是正がしやすくなります。
倉庫管理・基幹システムとのデータ連携

配車/物流管理システムは単独で使われることもありますが、倉庫管理システム(WMS)や基幹システムと連携させることで、物流全体としての最適化を目指せます。ただし、連携には事前のデータ整備が欠かせません。
WMSの出荷完了データと配車計画をつなぐ意味
倉庫側の出荷準備がいつ完了するかという情報は、配車計画にとって重要な入力情報です。WMSの出荷完了データをAPIやCSVで配車/物流管理システムに連携できれば、荷揃えのタイミングに合わせてトラックを無駄なく手配でき、積み込み待ちの時間を減らせます。倉庫と配車がそれぞれ別のシステムで個別最適を追っていると、倉庫は庫内効率だけを、配送側は積載率だけを見てしまい、荷待ちや空車走行といった全体としての無駄が見えにくくなります。
連携の頻度も検討が必要な論点です。出荷完了のたびにリアルタイムで通知を受け取る方式であれば急な出荷変更にも対応しやすくなりますが、システムの負荷や連携コストは大きくなる傾向があります。一方、1日1回程度のバッチ連携であれば導入のハードルは下がるものの、当日の変更には反映されにくくなります。自社の出荷変動の大きさに応じて、どちらの方式が適しているかを見極めることが重要です。
顧客・車両・コースの3マスタ整備が前提になります
システム間の連携がうまく機能するかどうかは、配送先の住所表記、車両ごとの積載重量や冷蔵設備の有無、よく使う配送コースといった基本情報、いわゆる3つのマスタデータが正しく整備されているかに大きく左右されます。表記のゆれや古い情報が残ったままでは、連携したデータが正しく突き合わされず、結局は担当者が手作業で確認し直すことになりかねません。連携を検討する段階で、まずこれらのマスタデータをクレンジングしておくことが欠かせません。
他の物流関連システムとの違い

配車/物流管理システムは、TMS、運行管理システム、配送管理システムなど、名称の似た物流関連システムと機能が重なって見えることがあります。ただし、それぞれが主眼を置く業務範囲は異なります。
TMS・運行管理システムとの違い
荷主と運送会社の間で輸送を仲介し、配送ルートの最適化や運賃計算を担うTMS(輸送管理システム)は、荷主目線での輸送業務全体の最適化に重心があります。これに対して、緑ナンバー事業者の法令順守や安全管理を担う運行管理システムは、点呼記録やアルコールチェック、デジタコ管理など、貨物自動車運送事業法に基づく安全確保が主眼です。配車/物流管理システムは、運送会社内部で日々の配車表を組み、実際に車両とドライバーを動かすオペレーションそのものを支える点で、これらとは役割が異なります。
同じ配車という言葉が使われていても、荷主向けの入札や運賃交渉を含むTMSの配車機能と、運送会社内部でドライバーへ具体的な指示を出す配車/物流管理システムの配車機能では、想定する利用者も操作の粒度も異なります。自社が求めているのがどちらの機能なのかを最初に切り分けておくと、製品選定時の認識違いを防げます。
配送管理システム・WMSとの違い
配送実行後の状況を追跡し、荷主や顧客への配送状況の共有を担うのが配送管理システムであり、配車/物流管理システムが担う出発前の計画段階とは重心が異なります。また、倉庫内の入出庫や在庫を管理するWMSは、庫内の物の動きを最適化するためのシステムであり、車両やドライバーの配置を最適化する配車/物流管理システムとは管理対象そのものが違います。物流全体を最適化するには、これらのシステムを個別に導入するだけでなく、どのデータをどちらのシステムが正として持つかを整理し、必要な範囲で連携させることが重要です。具体的な種類や評価軸は、配車/物流管理システムの選定ポイント・選び方・種類で解説しています。
配車/物流管理システム導入前に確認しておきたいポイント

配車/物流管理システムを導入するかどうかは、車両台数の多さだけで決まるものではありません。属人化の度合いや、既存システムとの連携範囲、現場の配車担当者の関与まで含めて整理することで、導入後の形骸化を防げます。
車両数が少なくても導入価値はあります
車両数がそれほど多くなくても、複数拠点で配車を行っている場合や、特定の担当者しか配車表を組めない状態が続いている場合は、検討する価値があります。一方、車両数が少なく、担当者一人が無理なく配車を把握できている場合は、システム化による負担増を避け、既存の運用を維持する判断も十分にあり得ます。
既存の基幹システムとはどう連携しますか
受注管理や請求処理を担う既存の基幹システムがある場合、配車/物流管理システムをどこまで独立させ、どこから連携させるかを事前に決めておく必要があります。受注情報の二重入力が残ってしまうと、システムを導入した意味が薄れてしまいます。API連携が可能な範囲、CSV連携で対応する範囲、当面は手入力のまま残す範囲を仕分けておくと、導入後の運用がスムーズになります。
ベテラン配車マンの関与が定着を左右します
配車業務には、道路の幅員や取引先ごとの納品ルールといった、マニュアル化されにくい暗黙知が数多く存在します。要件定義の段階でこうした知見を反映せずにシステムを作り込んでしまうと、現場に導入した際に使いにくいと判断され、結局は手作業に戻ってしまうことがあります。ベテランの配車担当者に選定や検証の段階から関わってもらい、実際の配車業務に近い形で試してもらうことが、定着を左右する重要な要素です。
暗黙知をすべて言語化することは難しくても、よくある例外パターンや判断の優先順位だけでも書き出しておくと、システムの設定や運用ルールに反映しやすくなります。属人化の解消を目指す取り組みそのものが、結果的に配車業務の言語化を進めるきっかけにもなります。
まとめ

配車/物流管理システムは、どの車両にどの荷物を積み、どのドライバーが何時に出発するかという配車オペレーションを、属人的な勘や手作業から解放し、データに基づいて実行できるようにする基盤です。属人化の解消と法令順守の両立、倉庫・基幹システムとのデータ連携によって、物流全体としての最適化を目指せます。
配車/物流管理システムは配車オペレーションを支える基盤です
TMSや運行管理システムなど名称の似たシステムと役割を混同せず、自社が最も改善したい工程が配車計画そのものなのか、法令順守なのか、荷主への配送状況共有なのかを見極めることが、システム選びの出発点になります。
自社の配車業務フローを可視化することから始めます
まずは、現在の配車業務で誰がどのような判断を行い、どこに時間がかかっているのかを書き出してみてください。属人化の解消、積載効率の改善、複数拠点の一元管理など、優先する目的が明確になれば、自社に必要な機能と導入範囲を具体化できます。既製SaaSで標準的な配車業務を効率化する方法に加え、複雑な積付制約や取引先別のEDI連携が必要な場合は、個別開発やハイブリッド構成も選択肢になります。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、既製品では吸収しきれない配車ルールの整理や、既存の基幹システムとの連携を含む構築を支援しています。具体的な製品比較は、配車/物流管理システムのパッケージ・クラウド製品一覧もあわせてご覧ください。
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・配車/物流管理システム開発の完全ガイド
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
