経費精算システムの必要機能や標準機能の一覧について

経費精算システムを比較検討するとき、多くの担当者がまず確認したいのは「自社の経費精算業務に必要な機能がそろっているか」「標準機能だけで運用が回るのか、それともカスタマイズが要るのか」という機能面の見極めではないでしょうか。経費精算は、申請・承認・チェック・仕訳・支払という工程ごとに必要な機能が異なり、さらに電子帳簿保存法(電帳法)やインボイス制度といった法令対応の機能も求められます。機能の過不足を理解しないまま製品を選ぶと、導入後に「あの機能がなかった」「結局Excelを併用している」という事態に陥りがちです。

本記事は、経費精算システムの必要機能・標準機能を、申請から支払までの業務フローに沿って体系的に整理する「機能特化」の解説です。多様な経費入力とOCR・ICカード連携、承認ワークフローと内部統制、電帳法・インボイスへの法令対応、会計・給与システム連携と分析、という4つの機能群を、一次データとあわせて具体的に解説します。経費精算システム導入の全体像をまだ把握していない方は、まず経費精算システムの完全ガイドから読むことをおすすめします。読み終えるころには、自社にとっての「必須機能」と「あれば便利な機能」を切り分けられるようになるはずです。

▼全体ガイドの記事
・経費精算システムの完全ガイド

多様な経費入力とOCR・ICカード連携機能

多様な経費入力とOCR・ICカード連携機能のイメージ

経費精算システムの入り口にあたるのが、経費を入力・申請する機能です。ここでの使いやすさが、現場の利用率を大きく左右します。標準機能としては、交通費・出張旅費・接待交際費・備品購入・立替金など多様な費目に対応した申請フォームと、領収書の添付機能が基本になります。申請者の入力負担を減らす補助機能の充実度が、製品ごとの差として表れます。

領収書OCRとスマホ申請で入力を自動化する機能

近年の経費精算システムで標準化しつつあるのが、領収書のOCR読み取り機能です。申請者がスマホで領収書を撮影すると、日付・金額・店名・インボイス登録番号などをシステムが読み取り、申請フォームに自動反映します。手入力の手間が減るだけでなく、転記ミスも防げるため、申請者・経理双方の負担を下げます。撮影と同時にデータを起票できるスマホ申請に対応していれば、出張先や移動中にその場で申請でき、月末への申請集中も緩和されます。

機能を評価するときは、OCRの読み取り精度と、読み取り後の修正のしやすさをあわせて確認してください。OCRは万能ではなく、手書き領収書や薄い印字では誤読が起こります。そのため、読み取り結果を申請者が簡単に修正できるUIや、金額が一致しない場合のアラート機能が実用上は重要です。OCRは「入力をゼロにする魔法」ではなく「入力を大幅に楽にする補助」と捉え、修正フローまで含めて使い勝手を見極めることが、機能比較の勘所になります。

交通系IC・経路検索連携で交通費を自動計算する機能

交通費の精算は、件数が多く金額の確認も煩雑な領域です。標準的な経費精算システムには、交通系ICカードの利用履歴を取り込む機能や、出発駅・到着駅を入力すると経路検索と連動して運賃を自動算出する機能が備わっています。これにより、申請者が一件ずつ運賃を調べて手入力する手間が省け、経理側も運賃の妥当性を確認しやすくなります。

加えて、定期券区間を登録しておけば、その区間分を自動で控除する機能も実用性が高い標準機能です。定期区間を二重に申請してしまうミスは現場で起こりがちですが、システムが自動控除すれば構造的に防げます。打刻方法がPC・スマホ・ICカード・GPSなど多様化しているのと同様に、交通費でも入力手段の柔軟性が現場浸透の鍵を握ります。自社の社員がどんな移動をしているかを踏まえ、ICカード連携や経路検索連携の対応範囲を確認することが、機能選定では欠かせません。

近年は、法人向けのコーポレートカードやタクシー配車アプリの利用明細を自動で取り込み、申請データ化する機能も広がっています。これらは、そもそも領収書の撮影や手入力すら不要にする発想で、申請者の負担をさらに下げます。ただし、自社が使っている決済手段やサービスと連携できるかは製品によって差があるため、対応サービスの一覧を確認しておくことが重要です。入力手段の選択肢が多いほど、多様な働き方をする社員全員が使いやすくなり、結果として現場の利用率と定着につながります。

承認ワークフローと内部統制の機能

承認ワークフローと内部統制の機能のイメージ

経費精算の中核を担うのが、申請を承認・チェックするワークフロー機能です。経費精算は申請者・承認者・経理の三者が関わり、企業によって承認ルートや権限が複雑に異なります。この承認フローを正しく設計・実装できるかが、現場に使われるシステムになるかどうかの分かれ目になります。標準機能としての柔軟性が、製品選定で重視されるポイントです。

多段階・金額別の承認ルートを設定する機能

承認ワークフローの標準機能では、申請内容に応じて承認ルートを自動で分岐させる仕組みが重要です。たとえば、一定金額未満は直属の上長承認のみ、一定額以上は部長と経理の二段階承認、というように、金額や費目によって承認者を変える設定ができると、現場の実態に合った運用ができます。担当者がカートに入れて申請した後、上長が承認して初めて正式申請になる、という多段階のフローを柔軟に組めるかどうかを確認しましょう。

あわせて、承認待ち・差し戻し・承認済みといったステータスを可視化し、承認者にリマインドを送る機能があると、承認の滞留が減ります。経費精算で月次締めが遅れる原因の多くは、承認者の処理待ちです。スマホからも承認でき、未処理が一覧で見える設計であれば、外出の多い管理職でも滞りなく処理できます。承認ルートの設定自由度とステータス管理は、月次締めのスピードに直結する標準機能だと言えます。

規程違反の自動チェックと不正防止の機能

内部統制の観点で価値が高いのが、社内規程に反する申請を自動でチェックする機能です。出張旅費規程の上限額を超える申請、二重申請、領収書のない高額経費といった、規程違反やミスをシステムが検知してアラートを出せば、承認者と経理の確認負担が減り、不正の抑止にもなります。人の目だけに頼る確認は、件数が増えるほど見落としが避けられません。

あわせて、誰がいつ申請・承認・修正したかを記録する操作ログ(監査証跡)の機能も、内部統制上は重要です。経費精算は不正の温床になりやすい領域でもあるため、ログが残ることそのものが牽制効果を持ちます。規程の自動チェックと監査証跡は、単なる効率化機能ではなく、ガバナンスを担保する機能として評価すべきものです。自社の規程をどこまでシステムのルールに落とし込めるかを、機能比較で確認してください。

規程チェックの機能を評価するときは、チェックの柔軟性も見ておきたいポイントです。費目ごとに異なる上限額や、役職別の出張日当、特定の費目で領収書を必須とするか否かといったルールを、どこまで細かく設定できるかが製品ごとに差として表れます。ルールが固定的だと、自社の規程に合わせきれず、結局は人手での確認が残ってしまいます。自社の規程の複雑さに対し、システムのチェック機能がどこまで追従できるかを、デモやトライアルで実際に試して確認することが、選定の失敗を防ぎます。

電帳法・インボイスに対応する法令対応機能

電帳法・インボイスに対応する法令対応機能のイメージ

経費精算システムの選定で近年とくに重視されるのが、電子帳簿保存法とインボイス制度への対応機能です。これらは法令で求められる要件であり、対応の有無が単なる利便性ではなくコンプライアンスに直結します。クラウド型の経費精算システムは、こうした法改正に自動アップデートで追随できる点が大きな強みとされています。

電子帳簿保存法の要件を満たす保存・検索機能

電子帳簿保存法に対応するには、領収書などの電子データを要件に沿って保存・検索できる機能が必要です。具体的には、タイムスタンプの付与や訂正・削除履歴の保持、日付・金額・取引先などで検索できる検索機能が求められます。経費精算システムにこれらが標準で備わっていれば、紙の領収書を保管する物理的なコストを削減しつつ、法令要件を満たした電子保存が実現できます。

注意したいのは、電帳法対応は制度改正によって要件が更新される点です。だからこそ、自社で要件を追い続けるより、改正に自動で追随するクラウドの仕組みに任せるほうが、運用負担とリスクの両面で有利になります。法令対応機能を比較するときは、現時点の対応状況だけでなく、過去の法改正にどれだけ迅速に追随してきたかという実績も確認すると、将来の安心感につながります。

インボイス登録番号・税率を判定する機能

インボイス制度への対応では、領収書が適格請求書に該当するか、適格請求書発行事業者の登録番号が記載されているか、税率区分が正しいか、といった判定を支援する機能が重要です。これらを人手だけで確認するのは負担が大きく、見落としは仕入税額控除の誤りにつながります。経費精算システムがOCRと連動して登録番号を抽出し、税率ごとに金額を区分してくれれば、経理の確認作業が大きく軽くなります。

研究データでも、電帳法・インボイス自動化への対応は、関連する管理システムの比較項目として明確に位置づけられています。それだけ法令対応機能が選定の重要軸になっているということです。経費精算は税務と直結するため、法令対応機能の充実度は、単なる便利機能ではなく、税務リスクを下げる投資として評価すべきです。自社の取引でインボイスの判定がどれだけ発生するかを踏まえ、対応機能の深さを確認してください。

会計・給与システム連携と分析機能

会計・給与システム連携と分析機能のイメージ

経費精算システムの効果を最大化するのが、会計システムや給与システムとの連携機能です。承認済みの経費を会計ソフトへ仕訳として連携し、立替分を給与と合わせて支払う、という流れを自動化できれば、二重入力や計算ミスがなくなります。経費精算を独立した処理ではなく、バックオフィス全体の一部として捉えるための要が、この連携機能です。

会計仕訳・振込データを自動生成する連携機能

会計連携機能の中核は、承認済み経費から会計仕訳を自動生成し、会計システムへ取り込める形式で出力することです。費目と勘定科目の対応をあらかじめ設定しておけば、経理が手で仕訳を起こす必要がなくなります。さらに、立替金を従業員ごとに集計し、振込データ(FBデータ等)として出力できれば、支払処理まで自動化できます。API連携かCSV連携かは製品によって異なるため、自社の会計・給与システムと確実に連携できるかを事前に確認することが重要です。

連携機能を軽視すると、思わぬトラブルにつながります。一次データでは、システム間の連携不具合により「給与支給が3日遅れた」「残業代計算で月10万円の差異が出た」といった事例が報告されています。経費精算でも、連携が不安定だと支払遅延や金額ズレを招きかねません。だからこそ、連携の対応形式・連携先の種類・連携の安定性は、機能比較で最優先に確認すべき項目です。オールインワン型で同じベンダーの会計・給与とつなぐか、連携型で既存システムにつなぐかの判断もここで決まります。

部門別・費目別に支出を可視化する分析機能

効率化の先にある価値が、経費データを使った分析機能です。部門別・費目別・プロジェクト別に支出を集計・可視化できれば、どこにコストがかかっているかが見えるようになり、予算管理やコスト削減の打ち手につながります。Excelで手集計していた状態では難しかった支出の分析が、システム上で標準のレポート機能としてすぐに行えるようになります。

このデータ活用は、経費精算を「処理する業務」から「経営に活かす情報源」へと押し上げます。打刻データを離職リスク検知やハイパフォーマー分析に使う攻めのDXと同様に、経費データも交際費の偏りや部門ごとのコスト意識を見える化する材料になります。自社開発のシステムであれば、こうした分析軸を自社の経営課題に合わせて自由に設計できる点も強みです。riplaはフルスクラッチ・ノーコード受託の立場から、標準機能の枠を超えて自社固有の分析要件まで作り込む設計を支援しています。機能を比較する際は、効率化だけでなく、その先のデータ活用まで見据えてください。

データ保存・管理と運用を支える機能

データ保存・管理と運用を支える機能のイメージ

申請・承認・法令対応・連携といった目立つ機能の裏で、システムを長く安定して使うために欠かせないのが、データ保存・管理と運用を支える機能です。これらは導入時には軽視されがちですが、運用が始まると効いてくる、実務に直結する機能群です。

退職者データの保存とアクセス管理の機能

経費精算で扱う証憑や帳票には法定の保存義務があり、退職者の分も一定期間は残す必要があります。そのため、退職者のデータをどのように保存し続けられるか、アカウントを無効化しつつデータだけを保持できるか、という保存機能の設計は、見落とせない確認ポイントです。ユーザー課金型のサービスでは、退職者アカウントを残すと課金が続く場合があり、逆に保存期間が数ヶ月〜1年と短いサービスでは法定保存に足りないことがあります。

あわせて、誰がどのデータにアクセスできるかを制御する権限管理機能も重要です。経費データには個人の機微な情報も含まれるため、部門や役職に応じて閲覧範囲を絞れる機能があると、情報管理の安全性が高まります。データ保存とアクセス管理は、利便性ではなくガバナンスとコンプライアンスに関わる機能であり、自社の保存要件と課金構造を踏まえて確認すべき領域です。

マスタ管理と規程変更に追随する設定機能

運用を支えるもう一つの機能が、従業員マスタ・費目マスタ・承認ルートといった各種設定を、管理者が柔軟に変更できる機能です。組織は人事異動や規程改定で常に変化するため、その都度ベンダーに依頼しないと変更できない仕組みでは、運用が回りません。管理画面から、承認者の変更や費目の追加、上限額の見直しを自社で行える設定機能の充実度が、運用負担を大きく左右します。

とくに、出張旅費規程の上限額や承認ルートは、組織変更のたびに更新が必要になります。これを自社でメンテナンスできる機能があれば、運用工数(一次データでは年20万〜100万円換算の隠れコスト)を抑えられます。自社開発のシステムであれば、こうしたマスタ管理や設定変更の仕組みを、自社の運用体制に合わせて設計できる点も強みです。機能を比較するときは、導入時の機能だけでなく、運用フェーズで自社がどこまで自律的に管理できるかという視点も忘れないでください。

まとめ

経費精算システムの機能まとめイメージ

経費精算システムの必要機能・標準機能を整理すると、(1)領収書OCR・交通系IC・経路検索連携による多様な経費入力、(2)金額別・多段階の承認ワークフローと規程違反の自動チェック・監査証跡、(3)電帳法・インボイスに対応する電子保存と登録番号判定、(4)会計・給与連携による仕訳・振込の自動化と支出分析、という4つの機能群に集約されます。これらは申請から支払までの業務フローに沿って必要となるものであり、どれか一つが欠けると現場でExcel併用が残ったり、経理の手作業が残ったりします。

機能を比較するときに大切なのは、「機能が多いほど良い」ではなく「自社の業務フローに必要な機能がそろっているか」という視点です。自社の費目構成・承認ルート・既存の会計/給与システム・法令対応の必要度に照らし、必須機能とあれば便利な機能を切り分けてください。標準機能で足りるなら既製品、独自要件が多いなら自社開発という判断軸も、機能の棚卸しから見えてきます。riplaはフルスクラッチ・ノーコード受託の立場から、自社の業務に必要な機能だけを過不足なく備えたシステムづくりを支援します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、弊社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

 

ブログ|株式会社riplaをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む