経費精算システムの導入/開発事例や活用/成功事例について

経費精算システムの導入を検討するとき、多くの経理担当者やバックオフィス責任者がまず知りたいのは「紙やExcelで申請・承認を回してきた会社が、実際にどうやって精算業務をデジタル化し、どれだけ工数を削れたのか」という具体的な事例ではないでしょうか。経費精算は、申請者・承認者・経理の三者が関わるうえに、交通費・出張費・立替金・接待交際費など費目が多岐にわたり、領収書の確認や差し戻しが頻発する業務です。一般的な業務ソフトをそのまま入れても、自社の承認ルートや費目区分に合わず使われない、というケースは珍しくありません。だからこそ、自社の規模や業態に近い導入事例こそが、投資判断の精度を高めてくれます。

本記事は、経費精算システムの導入事例・開発事例・活用事例・成功事例を、発注企業の視点から掘り下げる「事例特化」の解説です。紙・Excel集計からの脱却で精算工数を削減した事例、SaaSの従量課金が膨らんだ会社が自社開発に乗り換えてTCOを抑えた事例、複数法人・拠点をまたいで経費精算を一元化した事例、そして現場に定着するまでの並行運用の進め方まで、一次データとあわせて具体的に解説します。経費精算システム導入の全体像をまだ把握していない方は、まず経費精算システムの完全ガイドから読むことをおすすめします。読み終えるころには、自社が「どこから着手し、どんな効果を狙うべきか」のイメージが描けるはずです。

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紙・Excel脱却で精算工数を削減した事例

紙・Excel脱却で経費精算工数を削減した事例のイメージ

経費精算システムの導入で、もっとも分かりやすい成果が出るのが「紙の精算書・Excel集計からの脱却」です。多くの企業では、申請者がExcelや紙の精算書に経費を書き、領収書を糊付けし、上長の承認印をもらい、経理がそれを目視チェックして会計ソフトに転記する、という一連の手作業で精算が回っています。この手作業こそが、人的コストと差し戻しの温床になっています。

申請・転記の手作業をなくし工数を圧縮した事例

紙・Excel脱却の効果をもっとも具体的に示すのが、申請から会計仕訳までの工数削減です。申請者がスマホで領収書を撮影し、システムがOCRで日付・金額・店名を読み取って自動で申請フォームに反映すれば、手入力の工程が大きく減ります。一次データの試算では、紙の入力作業を時給3,000円換算・1人あたり月約30分と置くと、1件あたりの精算コストは見えにくいものの、申請件数が多い組織ほど削減インパクトは大きくなります。導入後の作業管理代として、100名規模で月5万円(おおむね1人分)を費用対効果の基準に置く考え方が現実的です。

重要なのは、この削減効果を「漠然とした効率化」ではなく、自社の実際の申請件数と承認者・経理の処理時間に当てはめて定量化することです。月の精算申請件数、1件あたりの確認・差し戻し時間、それに人件費単価を掛け合わせれば、年間で削減できる金額が概算できます。たとえば差し戻しが半減し、経理の月次締め作業が数日短縮されたという活用事例では、その短縮分を決算早期化や分析業務に振り向けています。事例を読むときは、こうした自社の数字への置き換えを必ず行ってください。

電帳法・インボイス対応で証憑管理を楽にした事例

紙・Excel脱却のもう一つの大きな効果が、電子帳簿保存法(電帳法)とインボイス制度への対応です。紙の領収書を保管する運用では、保存要件を満たすための物理的な管理コストがかさみ、インボイスの登録番号や税率の確認も人手に頼らざるを得ません。経費精算システムを使えば、領収書を電子データのまま保存し、要件に沿ったタイムスタンプや検索機能で管理できるため、証憑管理の負担が構造的に軽くなります。

活用事例では、インボイスの適格請求書か否か、登録番号の有無、税率区分といった判定をシステム側で補助させることで、経理の確認作業を効率化しています。手作業では見落としがちな点をシステムがチェックすることで、税務リスクの低減にもつながります。紙・Excel脱却は単なる省力化にとどまらず、法令対応の確実性という観点でも投資価値があると言えます。経費精算システム導入の第一歩は、この「申請のデジタル化と証憑の電子保存」を同時に進めることだと整理できます。

あわせて、紙の領収書を保管する物理スペースやファイリングの手間がなくなる点も、現場では地味に効く効果です。月をまたいだ過去の証憑を探すのに時間がかかる、保管棚が経費書類で埋まる、といった悩みが、電子保存によって解消されます。クラウド型なら法改正への自動追随もあるため、保存要件の更新を自社で追い続ける負担も軽くなります。証憑管理の負担軽減は、効率化と法令対応の両方をまとめて前進させる、紙・Excel脱却の隠れた価値だと言えます。

SaaSから自社開発に乗り換えTCOを抑えた事例

SaaSから自社開発に乗り換えTCOを抑えた経費精算事例のイメージ

経費精算システムの多くはクラウドSaaSで、1ユーザー月額300〜500円がボリュームゾーンです。少人数なら手軽ですが、利用者が増えるほど月額が積み上がり、ある規模を超えると「払い続けるより自社で持ったほうが安い」局面が訪れます。この損益分岐点を冷静に見極め、SaaSを卒業して自社開発へ乗り換えた事例は、コスト最適化の観点で示唆に富みます。

ノーコード受託で5年TCOを圧縮した事例

SaaSの従量課金は、利用人数が増えるほど月額が比例して膨らみます。企業規模別の試算では、5〜49名で月1,450〜14,210円、50〜99名で14,500〜28,710円、100〜199名で29,000〜57,710円が一つの目安です。これに対し、ノーコード受託(Bubble等)で経費精算の仕組みを構築した事例では、初期100万〜300万円・月額(サーバー)1万〜3万円で、ユーザー数に依存しない固定費に切り替えています。ユーザー無制限の固定費構造のため、50名を超える規模では5年TCO(おおむね160万〜500万円)でクラウドSaaSの従量課金より有利になる、という試算が成立します。

この乗り換え事例から学べるのは、「月額の安さ」だけでシステムを選ぶと、人数が増えた途端にコストが逆転しうる、という点です。乗り換えの判断は、現在の利用人数だけでなく、今後3〜5年の増員計画と、自社特有の承認ルートや費目をどこまでカスタマイズしたいかを含めて行う必要があります。標準機能で足りる小規模はSaaS、独自要件が多く人数も多い組織は自社開発(ノーコード/フルスクラッチ)が合理的、という切り分けが、この事例の核心です。

隠れコストを織り込んで再評価した事例

乗り換えを検討した企業の多くは、月額表示だけでは見えない隠れコストの存在に気づいています。代表的なのは、(1)ICカードリーダーなどのハードウェア5万〜50万円、(2)データ移行費5万〜30万円、(3)カスタマイズ費20万〜100万円超、(4)給与・会計ソフト連携費10万〜50万円、(5)運用工数の年20万〜100万円換算、という5つです。経費精算では特に会計ソフト連携とカスタマイズ費が効いてきます。

これらを織り込んで再評価した事例では、SaaSの月額に加えて毎年の連携保守や追加カスタマイズ費が積み上がり、想定より総額が高くなっていたことが判明しました。だからこそ、乗り換えの是非は「月額×人数」だけでなく、初期費用・連携費・運用工数まで含めた5年TCOで比較するのが鉄則です。事例が教えるのは、表面的な月額の安さではなく、自社の利用実態に即した総保有コストで判断する姿勢の大切さです。

複数法人・拠点の経費精算を一元化した事例

複数法人・拠点の経費精算を一元化した事例のイメージ

グループ企業や複数拠点を抱える組織では、法人ごとに経費精算のルールや承認ルート、会計システムが異なり、グループ全体の経費を横断で見えにくいという課題があります。標準的なSaaSは「1社1テナント」を前提にしていることが多く、複数法人の一元管理は「要確認」で済まされがちです。ここを正面から作り込んだ一元化事例は、規模の大きい企業ほど参考になります。

法人ごとに異なる規程を一つの基盤に集約した事例

複数法人の一元化で難しいのは、各社の費目区分・出張旅費規程・承認権限がバラバラなまま、それを一つの基盤に載せることです。一元化に成功した事例では、共通化できる費目や承認の型を標準として定義しつつ、法人ごとの固有ルールはパラメータで切り替えられる設計にしています。これにより、申請者は自社のルールに沿って申請でき、本社の経理はグループ横断で支出状況を把握できるようになります。

この一元化の価値は、月次・四半期での経費分析が格段にやりやすくなる点にあります。法人ごとにExcelを集めて手で合算していた状態から、システム上で部門別・費目別・法人別に支出を可視化できるようになると、コスト管理の精度が上がります。一元化事例は、経費精算を単なる立替金の処理ではなく、グループ経営の支出マネジメントの基盤として捉え直すきっかけになります。

会計・給与システム連携で振込まで自動化した事例

一元化事例のもう一つの肝が、会計システムや給与システムとの連携です。承認済みの経費データを会計ソフトへ仕訳として連携し、立替分は給与と合わせて振り込む、という流れを自動化すると、経理の二重入力がなくなり計算ミスも防げます。研究データでも、システム間の連携不具合は「給与支給の遅れ」「金額差異」といった重大なトラブルにつながりやすいことが指摘されており、連携の作り込みは品質に直結します。

成功事例では、経費精算を会計・給与のフロントエンドとして位置づけ、申請・承認・仕訳・振込までを一気通貫で流しています。この状態に到達すると、月次の精算処理にかかる人手が大きく減り、経理は確認とガバナンスに集中できます。複数法人・拠点の一元化と連携の自動化は、規模が大きい組織ほど投資対効果が出やすいテーマだと言えます。

現場定着までの並行運用で立て直した事例

現場定着までの並行運用で立て直した経費精算事例のイメージ

事例の価値は、成功談だけにあるのではありません。むしろ発注側がもっとも学べるのは、「導入直後にうまく回らなかったものを、どう立て直したか」というリアルな経験です。経費精算システムは、申請者である全社員が使うため、現場に定着しなければ効果が出ません。立ち上げ期につまずきながら定着させた事例には、共通する実践知があります。

旧運用と並行稼働させて移行リスクを抑えた事例

導入の失敗例で常に上位に来るのが、データ移行と初期設定の難航です。一次データでも、移行・設定の難航により「スケジュール遅延1か月」「安定稼働まで2か月」という声が報告されています。これを織り込んだ立て直し事例では、いきなり全面切り替えをせず、一定期間は旧来のExcel運用と新システムを並行稼働させ、過去データの移行と新フローの検証を慎重に進めました。

並行運用には二重作業の負担という短所がありますが、万一新システムに不備があっても旧運用に戻れる安全網になります。立て直しに成功した企業は、まず一部の部署や費目から試験導入し、現場の声を反映して承認ルートや入力項目を調整してから全社展開しました。この段階主義が、移行トラブルによる業務停止を防ぎます。事例が示すのは、「一度に全部を切り替えない」という慎重さが、結果的に最短で定着につながるという逆説です。

申請者の負担を減らして利用率を上げた事例

定着のもう一つの鍵は、申請者である一般社員の入力負担をいかに減らすかです。立て直しに成功した事例では、スマホからの領収書撮影とOCR読み取り、交通系ICカードの履歴連携、定期区間の自動控除といった機能を活用し、「面倒だから後回し」を起こさせない設計にしています。入力が簡単になれば、月末にまとめて申請が殺到する事態も避けられます。

riplaはフルスクラッチ受託と国内開発の立場から、この「現場の業務から逆算して、申請者・承認者・経理の三者全員が楽になる設計を行い、段階的に定着させる」進め方を一貫して重視しています。事例は華やかな導入実績ではなく、「なぜ社員が継続的に使ってくれたのか」という視点で読むことが、自社の定着失敗を避ける最大の近道です。自社の申請件数・拠点数・既存システムを踏まえ、最適な入り口を選んでください。

補助金活用とROI試算で投資を正当化した事例

補助金活用とROI試算で投資を正当化した経費精算事例のイメージ

経費精算システムの導入を社内で通すには、投資の妥当性を数字で示す必要があります。事例の中には、補助金を活用して初期投資を圧縮しつつ、ROI(投資対効果)を明確に試算することで、経営層の承認を得た企業があります。コストの正当化に成功した事例は、稟議を控える担当者にとって実践的な参考になります。

IT導入補助金で初期投資を圧縮した事例

経費精算システムは、IT導入補助金の対象になり得るカテゴリです。一次データでは、IT導入補助金の通常枠は補助率1/2(最大150万円未満等)とされ、要件を満たせば初期費用の負担を大きく下げられます。補助金を活用した事例では、対象となる経費や申請スケジュールを早期に確認し、導入計画に組み込むことで、自己負担を抑えつつ本格的なシステム化を実現しています。

注意点として、補助金は申請のタイミングや要件が年度ごとに変わるため、導入を決めてから慌てて調べると間に合わないことがあります。成功事例では、補助金の公募スケジュールから逆算して導入プロジェクトの計画を立てています。補助金はあくまで初期投資を軽くする手段であり、補助金ありきで不要な機能まで盛り込むと本末転倒です。自社に必要な範囲を見極めたうえで、使える補助金を賢く活用するのが、賢明な進め方だと言えます。

削減工数を金額換算してROIを示した事例

投資を正当化した事例に共通するのが、削減できる工数を金額に換算してROIを試算したことです。一次データの考え方では、紙の入力作業を時給3,000円換算・1人あたり月約30分とし、導入後の作業管理代として100名規模で月5万円(おおむね1人分)を費用対効果の基準に置きます。これに自社の申請件数や差し戻し件数の削減見込みを掛け合わせれば、年間の削減金額が概算でき、システムの費用と比較した回収期間が見えてきます。

ROIを示すうえで効果的なのは、効率化だけでなく、月次締めの短縮による決算早期化や、不正・誤りの防止によるリスク低減といった定性的な効果も併記することです。数字で示せる直接効果に、見えにくい間接効果を添えることで、経営層への説得力が増します。事例が教えるのは、「導入したい」という熱意ではなく、「これだけの効果が見込める」という具体的な試算こそが、投資判断を動かすという原則です。自社の数字でROIを描けるかどうかが、導入の成否を分ける起点になります。

まとめ

経費精算システム事例のまとめイメージ

経費精算システムの事例を振り返ると、成功も立て直しも、結局は「申請者・承認者・経理の三者の手作業を減らし、自社の規模と要件に合ったコスト構造を選び、段階的に定着させる」という一点に集約されます。紙・Excel脱却はOCRや証憑の電子保存で精算工数と電帳法・インボイス対応を同時に進め、SaaSの月額300〜500円×人数が膨らむ規模ではノーコード受託で5年TCO160万〜500万円に圧縮した事例が示す通り損益分岐点の見極めが重要です。複数法人・拠点の一元化と会計・給与連携は規模が大きいほど効き、移行リスクは並行運用と段階導入で抑えるのが定石です。

事例を読むときに大切なのは、「どのツールが人気か」ではなく「なぜ自社の現場で使われたのか」という視点です。自社の申請件数と承認ルート、既存の会計・給与システムに照らし、まずは効果の大きい申請のデジタル化と証憑の電子保存から、現場が使える一歩を踏み出してください。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、自社要件から逆算した要件整理と、現場に定着するシステムづくりを一貫して支援します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、弊社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

 

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