経営管理システムの必要機能や標準機能の一覧について

経営管理システムの導入を検討するとき、避けて通れないのが「結局、どんな機能があれば自社の経営管理は回るのか」という問いです。製品ごとに機能の呼び方は異なり、カタログには多彩な機能が並びますが、自社にとって本当に必要な機能と、あれば便利だが必須ではない機能を切り分けられないまま比較すると、過剰な機能にお金を払ったり、逆に肝心な機能が欠けたシステムを選んだりするリスクがあります。だからこそ、機能を「経営管理という業務のどの場面で使うのか」という観点で体系的に理解しておくことが、選定の精度を高めます。

本記事は、経営管理システムの必要機能・標準機能を、発注企業の視点から体系的に整理する「機能特化」の解説です。予算編成・予実管理、データ集約・連携、レポーティング・ダッシュボード、グループ・連結管理、内部統制・権限管理といった機能群を、それぞれ「何のための機能で、どこを見て評価すべきか」まで掘り下げます。読み終えるころには、製品比較の際に自社で優先すべき機能の軸が定まるはずです。なお、経営管理システムの全体像をまだ把握していない方は、まず経営管理システムの完全ガイドから読むことをおすすめします。

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予算編成・予実管理の機能

予算編成・予実管理機能のイメージ

経営管理システムの中核を担うのが、予算編成と予実管理の機能です。経営管理とは突き詰めれば「計画を立て、実績と照らし合わせ、差異に手を打つ」という循環を回すことであり、その循環を支えるのがこの機能群です。会計ソフトが「実績を正確に記録する」ことに主眼を置くのに対し、経営管理システムは「計画と実績を並べて差異を見せる」ことに価値があります。

部門別の予算編成とワークフロー機能

予算編成機能は、各部門が自部門の予算を入力し、それを経営企画が集約・調整し、最終的に全社予算として確定するプロセスを支えます。重要なのは、この編成プロセスがワークフローとして管理できることです。各部門から予算が提出され、経営企画が査定し、差し戻しや修正を経て承認に至る、という一連の流れを、誰がどの段階にいるかを可視化しながら進められるかどうかが、編成期間の短縮を左右します。Excelでこれをやると、ファイルの往復とメールのやり取りで膨大な手間がかかります。

あわせて評価したいのが、予算の「複数シナリオ」を扱える機能です。楽観・標準・悲観といった複数の前提で予算を組み、状況に応じて切り替えられると、不確実な市況下でも柔軟に計画を運用できます。一つの前提だけで予算を固定すると、想定外の環境変化が起きたときに計画が現実から乖離し、使い物にならなくなります。複数シナリオを持っておけば、状況の変化に応じて素早く別の前提へ切り替えられ、経営の打ち手も機動的になります。さらに、月次・四半期・年次といった粒度で予算を持ち、期中に予算を見直す「予算修正」を履歴つきで管理できるかも、実務上は重要です。製品を比較する際は、自社の予算編成が「何部門・何階層・年に何回」行われるかを基準に、編成ワークフローの柔軟さを確認してください。

予実差異の分析とドリルダウン機能

予実管理機能の真価は、差異を「見せる」だけでなく「掘り下げられる」ことにあります。全社の売上が予算未達だったとき、その原因がどの事業部・どの製品・どの得意先にあるのかを、画面上でクリックしながら深掘りしていける機能(ドリルダウン)があると、原因究明が格段に速くなります。逆に、全社合計の差異しか見えないと、「なぜ未達なのか」を調べるために、結局また手作業で内訳を集計することになります。

分析機能では、差異を金額だけでなく比率や前年同月比で見せられるか、季節性を考慮した進捗率を表示できるかも評価ポイントです。経営会議では「予算に対して何%進んでいるか」「前年と比べてどうか」という相対的な見方が重視されます。製品を比較する際は、自社が普段どんな切り口で数字を見ているかを洗い出し、その切り口でドリルダウンできるかを確認することが、導入後の「結局Excelで見直す」という事態を避ける鍵になります。

データ集約・連携の機能

データ集約・連携機能のイメージ

経営管理システムは、それ単体で数字を生み出すわけではありません。会計システム、販売管理、人事給与、各部門のExcelなど、社内に散らばるデータを集めてきて初めて経営の全体像を描けます。したがって、データ集約・連携の機能は、経営管理システムの土台とも言える重要な機能群です。ここが弱いと、結局手作業でデータを取り込むことになり、自動化の効果が薄れます。

会計・販売システムとのAPI/CSV連携機能

連携の手段には、大きくAPI連携とCSV連携があります。API連携は、会計システムなど他システムと自動でデータをやり取りでき、リアルタイム性が高いのが特長です。CSV連携は、データをファイルで出力・取り込みする方式で、対応システムが限られる場合でも汎用的に使えます。経営管理システムを選ぶ際は、自社で使っている会計ソフトやネットバンキングと、どちらの方式で連携できるかを必ず確認する必要があります。連携できないシステムがあると、その部分だけ手入力が残り、せっかくの自動化に穴が開きます。

連携機能で見落としがちなのが、「連携の頻度と方向」です。日次で自動取り込みされるのか、手動でボタンを押す必要があるのか。データは取り込むだけか、双方向に書き戻せるのか。これらは運用負荷に直結します。また、複数システムから集めたデータの「勘定科目や部門コードの突き合わせ」をシステムがどこまで支援してくれるかも重要です。各システムでコード体系が違う場合、それを変換・マッピングする機能がないと、連携してもデータがかみ合いません。製品比較では、カタログの「連携対応」という一言を鵜呑みにせず、自社の具体的なシステム名で連携可否と方式を確認してください。

勘定科目・部門コードの変換とマスタ管理機能

複数のシステムやグループ会社からデータを集めると、必ず「コード体系の違い」という壁にぶつかります。A社では売上を「4001」、B社では「5100」で管理している、といったズレを吸収し、全社共通の科目に変換する機能(マッピング・マスタ管理)が、データ集約の品質を決めます。この変換ルールをシステム上で一元管理できれば、毎回手作業で読み替える必要がなくなり、集計ミスも防げます。グループ会社が増えたり組織が再編されたりするたびに変換ルールを手で直していると、ミスと手間が雪だるま式に膨らみますが、ルールをシステムに集約しておけば、変更も一箇所で済み、過去との整合も保ちやすくなります。

マスタ管理機能では、勘定科目・部門・取引先といった基本マスタを、変更履歴つきで管理できるかが重要です。組織変更で部門が再編されたり、勘定科目体系が見直されたりするたびに、過去のデータとの整合をどう取るかが課題になります。優れた経営管理システムは、こうしたマスタの世代管理を持ち、「いつ時点のマスタで集計するか」を制御できます。連携とマスタ管理は地味ですが、経営管理システムの数字の信頼性を根底で支える機能だと言えます。

レポーティング・ダッシュボードの機能

レポーティング・ダッシュボード機能のイメージ

集めて整えたデータを、経営層が一目で理解できる形に見せるのが、レポーティング・ダッシュボード機能です。経営管理システムの「出口」にあたる機能であり、ここの使い勝手が、現場の定着度を大きく左右します。どれだけ裏側のデータが正確でも、見たい数字が見たい形で表示されなければ、経営層は結局Excelに戻ってしまいます。

経営ダッシュボードとKPIの可視化機能

経営ダッシュボードは、売上・利益・キャッシュフローといった重要指標(KPI)を、グラフや数値で一覧表示する機能です。経営層が朝一番に開けば、会社の今の状態が一目で分かる、という状態を目指します。数字が表だけで並んでいると傾向がつかみにくいものですが、グラフや前年比を併記して見せられれば、変化の方向や勢いを直感的に把握できます。評価のポイントは、自社が重視するKPIを自由に配置・設定できる柔軟さです。業種や経営方針によって見るべき指標は異なるため、決め打ちのダッシュボードしか持てない製品だと、結局欲しい数字が出せません。

ダッシュボードでは、表示するデータの粒度や対象期間を、利用者が画面上で切り替えられるかも重要です。経営層は全社サマリを、事業部長は自部門の詳細を、というように、同じシステムでも見たい範囲は人によって違います。閲覧者の権限や役割に応じて表示内容を出し分けられると、一つのシステムで全階層をカバーできます。製品比較では、サンプル画面を見て「自社のKPIをこの形で並べられるか」を具体的にイメージすることが、導入後のギャップを防ぎます。

定型レポートの自動出力とフォーマット機能

経営会議や取締役会では、毎月決まった形式のレポートが求められます。この定型レポートを、データの締めとともに自動で生成できる機能があると、レポート作成のための手作業がほぼゼロになります。従来、経営企画が数日かけて作っていた月次の経営報告資料が、ボタン一つで最新の数字を反映した形で出力される。これが実現すると、レポート作成のリードタイムが劇的に縮みます。

レポート機能では、社内の既存フォーマットにどこまで近づけられるかも実務上の関心事です。長年使ってきた報告フォーマットがある企業では、システムが出力する形式が社内の慣行と大きく違うと、結局Excelに貼り直す手間が生じます。出力をExcelやPDFで取り出せるか、レイアウトをカスタマイズできるかを確認しておくと、移行がスムーズです。riplaのようなフルスクラッチ受託では、こうした自社固有のレポート要件に合わせて出力を作り込めるため、既存の報告様式を保ちながら自動化したいニーズに応えやすいという特長があります。

異常値のアラート・通知機能で見逃しを防ぐ

レポーティング機能の発展形として注目したいのが、アラート・通知機能です。これは、設定した条件を数字が超えたとき(あるいは下回ったとき)に、自動で担当者へ通知を飛ばす機能です。たとえば「ある事業部の予算進捗が一定水準を下回ったら経営企画に通知」「特定の科目で前月比が大きく変動したらアラート」といった設定ができれば、人がダッシュボードを見に行かなくても、異常を早期に検知できます。受け身で数字を眺めるのではなく、システムの側から異常を知らせてくれる仕組みです。

この機能の価値は、経営管理を「定例の確認」から「例外への即応」へと進化させる点にあります。多くの企業では、問題のある数字も月次の締めや経営会議まで発見されないことがあります。アラート機能があれば、問題が小さいうちに気づいて手を打てます。製品を比較する際は、どんな条件でアラートを設定できるか、通知の手段(メール、チャット連携など)が自社の運用に合うかを確認するとよいでしょう。すべての数字を人が監視するのは現実的ではないため、「何を機械に見張らせ、異常だけ人に知らせるか」という設計が、経営管理の実効性を高めます。

グループ・連結管理と内部統制の機能

グループ・連結管理と内部統制機能のイメージ

複数の事業所やグループ会社を抱える企業では、各社・各拠点の数字を集約し、グループ全体として経営を見る機能が必要になります。あわせて、誰がどの数字にアクセス・編集できるかを制御する内部統制・権限管理の機能も、経営管理システムの信頼性を担保する重要な要素です。これらの機能は、企業規模が大きくなるほど比重が増します。

グループ各社のデータ集約と連結機能

グループ経営では、各社が個別に管理する数字を集約し、グループ全体の業績として見る必要があります。この際、各社で会計システムが異なったり、決算月がずれていたりすると、集約は一気に難しくなります。グループ・連結管理機能は、こうした各社のばらつきを吸収し、共通の物差しで全社を比較できるようにします。グループ間の取引を相殺する連結消去や、為替換算といった処理を支援する機能を持つ製品もあります。

評価のポイントは、自社のグループ構造の複雑さに機能が見合っているかです。子会社が数社で、いずれも同じ会計ソフトを使っているなら、シンプルな集約機能で足ります。一方、海外子会社を含む多数の会社が、それぞれ異なる仕組みで管理しているなら、相応に高度な連結機能が要ります。過剰な連結機能を持つ製品は高価になりがちなので、自社のグループ規模に対して機能が過不足ないかを見極めることが、コストを抑える鍵になります。

権限管理・操作ログによる内部統制機能

経営管理システムは、会社の経営数字という機微な情報を扱うため、誰がどこまで見られ、何を編集できるかを厳密に制御する権限管理機能が欠かせません。事業部長は自部門だけ、経営層は全社、経理は全社の編集権限、というように、役割に応じてアクセス範囲を細かく設定できることが求められます。権限設計が甘いと、見せてはいけない数字が見えてしまったり、誤って他部門のデータを書き換えてしまったりするリスクが生じます。

内部統制の観点では、操作ログ(誰がいつ何を変更したかの記録)を残せることも重要です。経営数字に不正な改ざんや誤入力があったとき、ログをたどれば原因と責任の所在を特定できます。リサーチでも、経営管理の失敗の根底に「業務標準遵守意識の希薄さ」「人的統制の不足」があると指摘されています。権限管理と操作ログは、こうした統制をシステムに埋め込むための機能だと言えます。製品を比較する際は、自社の組織階層に合った権限設計が可能か、ログがどこまで残るかを確認しておくと、後の統制リスクを減らせます。

承認ワークフローによる統制の埋め込み機能

権限管理・操作ログと並んで、内部統制を支えるのが承認ワークフロー機能です。これは、予算の確定や数字の修正といった重要な操作に、複数人の承認を必須とする仕組みです。たとえば、各部門が入力した予算は部門長の承認を経て、さらに経営企画の査定を経なければ確定しない、といった段階的な承認を、システム上で強制できます。この機能があれば、一人が独断で数字を確定したり、チェックなしに変更したりすることを構造的に防げます。

承認ワークフローの評価ポイントは、自社の決裁規程に合った承認ルートを柔軟に設定できるかです。金額の大きさによって承認者を変える、特定の科目は追加の承認を求める、といった条件分岐に対応できると、現場の統制ルールをそのままシステムに落とし込めます。承認のステータス(申請中・承認済み・差し戻し)が一覧で見えれば、どこで処理が止まっているかも把握できます。リサーチが指摘する「人的統制の不足」を補う意味でも、この承認ワークフローは、経営管理システムの信頼性を機能面から担保する重要な要素だと言えます。

まとめ

経営管理システム機能のまとめイメージ

経営管理システムの機能を体系的に見ると、予算編成・予実管理という中核、データ集約・連携という土台、レポーティング・ダッシュボードという出口、そしてグループ・連結管理と内部統制という信頼性の担保、という4つの機能群で構成されていることが分かります。予実管理はドリルダウンの深さ、連携は自社システムとの接続可否とコード変換、レポートは既存フォーマットへの適合、権限管理は組織階層への適合という、それぞれ評価すべき軸があります。

機能を比較するときに大切なのは、「機能の多さ」ではなく「自社の経営管理という業務に、その機能がどう効くか」という視点です。自社が普段どんな単位で数字を見て、どのシステムからデータを集め、どんなレポートを誰に出しているかを棚卸しし、その業務に過不足なく合う機能を選んでください。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、自社固有の予実の見方やレポート様式に合わせた経営管理システムづくりを支援します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、弊社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

 

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