社内エンジニア不足の必要機能や標準機能の一覧について

「社内にエンジニアがいないから、外部の力を借りたい。でも、外部活用といっても具体的に何をしてくれるのか、自社の何が解決されるのかが分からない」――社内エンジニア不足に悩む非IT企業の担当者が、外部委託や技術顧問・CTO代行を検討するとき、最初の関門になるのが「その解消策は、いったいどんな機能や役割を提供してくれるのか」という理解です。採用や内製育成だけでは埋まらない不足を、外部リソースのどんな働きで補えるのか。これが分からないままだと、委託先に何を期待し、何を依頼すればよいのかが定まりません。

本記事は、社内エンジニア不足の解消策が提供する「機能・役割」を、外部チームによる即時のリソース補強・スキル標準に沿った人材アサイン・ナレッジ移管・育成プログラムという4つの軸で体系的に解説する「機能特化」の記事です。単なるシステムの機能一覧ではなく、「技術者がいない事業会社にとって、外部活用という解消策が果たす役割」を、経済産業省のデジタルスキル標準(DSS)やDX推進人材の5類型といった一次情報とあわせて整理します。読み終えるころには、自社が外部パートナーに「どの役割を、どの順番で担ってもらうべきか」のチェックリストが頭の中に描けるはずです。なお、社内エンジニア不足の全体像をまだ把握していない方は、まず社内エンジニア不足の解消・完全ガイドから読むことをおすすめします。

外部チームによる即時のリソース補強という役割

外部チームによる即時のリソース補強という役割のイメージ

社内エンジニア不足の解消策が果たす最も基本的かつ即効性の高い役割が、外部チームによるリソースの即時補強です。自社で技術者を採用・育成するには長い時間がかかりますが、外部の開発パートナーであれば、プロジェクトが始まる段階で必要なスキルセットを持つチームをすぐに投入できます。この「時間を買う」効果こそ、外部活用の最大の価値です。

採用を待たずに技術力を確保する役割

エンジニア採用は、求人を出してから入社、戦力化までに半年から1年を要することも珍しくありません。さらに、経済産業省が2030年に最大約79万人のIT人材不足を推計する売り手市場では(出典:経済産業省)、そもそも応募が集まらない、内定を出しても他社に流れる、という事態が常態化しています。社内エンジニア不足の解消策としての外部チームは、この採用のリードタイムとリスクを丸ごと回避し、「今すぐ動かしたいプロジェクトに、今すぐ技術力を充てる」役割を担います。

この即時補強の役割は、単に人手を貸すだけではありません。経験豊富な外部チームは、過去の類似案件で培った設計・実装のベストプラクティスを持ち込み、ゼロから試行錯誤する社内チームより速く確実に成果を出します。社内に技術者がいない企業にとって、外部チームは「不足を埋める人数」であると同時に「持ち込まれる経験知」でもあります。採用では得られない即戦力性こそ、外部活用という解消策が提供する第一の機能です。

需要の波に応じて伸縮させる役割

外部チームによるリソース補強のもう一つの重要な役割が、需要の波に応じて開発体制を伸縮させる柔軟性です。システム開発には、要件定義や立ち上げの繁忙期と、運用が安定した閑散期があります。社内にエンジニアを抱える場合、繁忙期に合わせて人を採用すると、閑散期には人件費が固定費として重くのしかかります。外部チームであれば、必要なフェーズに必要な規模だけ確保し、不要になれば縮小できるため、需要の平準化が難しい事業会社でも無駄なく技術力を活用できます。

この伸縮性は、社内エンジニア不足を「採用で固定的に埋める」発想からの転換を意味します。技術者を正社員として抱えれば、その人のスキル領域と稼働量に縛られますが、外部チームなら「今はフロントエンドの増員が必要」「次はインフラの専門家が必要」と、局面に応じて役割を切り替えられます。社内に技術者がいないからこそ、固定的な人員ではなく可変的な外部リソースで補う方が、コストと機動性の両面で合理的なのです。こうした補強をどんな要件で依頼するかは、別記事の『社内エンジニア不足のRFP/要件定義書/提案依頼書について』もあわせてご覧ください。

スキル標準に沿った最適な人材アサインという役割

スキル標準に沿った最適な人材アサインという役割のイメージ

外部リソースを使うとき、社内に技術者がいない企業がつまずきやすいのが「どんなスキルの人が、どれだけ必要なのか」を判断できないことです。ここで解消策が提供する重要な役割が、デジタルスキル標準(DSS)やDX推進人材の類型といった共通言語に沿って、プロジェクトに最適な人材をアサインする機能です。技術が分からなくても、標準に照らせば「必要な役割」を可視化できます。

DX推進人材5類型で必要な役割を見極める

経済産業省とIPAが整理したデジタルスキル標準(DSS)では、DXを推進する人材を「ビジネスアーキテクト」「デザイナー」「データサイエンティスト」「ソフトウェアエンジニア」「サイバーセキュリティ」の5類型に分類しています(出典:経済産業省・IPA)。社内エンジニア不足の企業がプロジェクトを成功させるには、ソフトウェアエンジニアだけを補えばよいわけではありません。たとえば、業務課題をシステム要件に翻訳するビジネスアーキテクトの役割が欠けていると、いくら実装力があってもズレたものが出来上がります。

解消策が提供する人材アサインの機能は、この5類型を物差しに「自社のプロジェクトには、今どの役割が、どの濃度で必要か」を見極め、過不足なく外部リソースを充てることです。社内に技術者がいないと、つい「開発できる人」を漠然と求めがちですが、実際にはセキュリティの専門知識やデータ整備の専門性が成否を握る局面も多くあります。スキル標準という共通言語に沿ったアサインは、非IT企業が「何が足りないのか」を自覚し、外部に的確に依頼するための土台になります。

技術顧問・CTO代行による意思決定支援の役割

人材アサインの役割の中でも、社内エンジニア不足の企業にとって特に価値が高いのが、技術顧問やCTO代行による意思決定支援です。これは「手を動かす人」ではなく、「技術的な判断を経営の隣で支える人」の役割です。どの技術を採用すべきか、外部委託先の見積もりは妥当か、提案された設計に落とし穴はないか――こうした判断は、社内に技術者がいない企業では下せません。技術顧問・CTO代行は、発注側の立場に立って、これらの意思決定を技術面から支えます。

この役割が欠けていると、企業は委託先の言いなりになり、不要な高機能を売り込まれたり、品質の問題を見抜けなかったりします。技術顧問・CTO代行は、いわば「発注側のための技術の通訳兼アドバイザー」として、社内と外部開発チームの間に立ち、対等な交渉と適切な品質管理を可能にします。社内エンジニア不足の解消策において、実装リソースの補強と並んで、この意思決定支援の役割を確保できるかが、プロジェクトの健全性を大きく左右するのです。

ナレッジ移管による社内定着という役割

ナレッジ移管による社内定着という役割のイメージ

外部チームによる補強と適切なアサインだけでは、解消策は「一時しのぎ」で終わります。社内エンジニア不足を根本から改善するには、外部が持ち込んだ知見を社内に残す「ナレッジ移管」の役割が不可欠です。これは、外部依存をいたずらに長引かせないための、解消策の中核的な機能です。

ドキュメント整備と引き継ぎの役割

ナレッジ移管の具体的な役割の一つが、設計書・仕様書・運用手順書といったドキュメントの整備です。社内に技術者がいない企業では、システムが「外部パートナーの頭の中だけにある」状態になりやすく、担当者が変わったり契約が終わったりすると、誰もメンテナンスできなくなる「ブラックボックス化」のリスクが生じます。優れた解消策は、開発の過程でドキュメントを残し、社内の担当者が最低限の運用・改修判断を下せる状態を作ります。

引き継ぎの役割は、ドキュメントを渡して終わりではありません。社内の担当者が「このシステムはどういう構造で、何をどう触ると何が起きるか」を理解できるよう、勉強会やハンズオンを通じて知識を移していくことが含まれます。社内エンジニア不足の企業が外部活用で最も避けたいのは、永遠に外部に頼り続け、些細な変更にも費用と時間がかかる状態です。ナレッジ移管の役割を契約に明示的に組み込むことで、外部依存を計画的に減らしていけます。

リスキリング・育成プログラムの役割

ナレッジ移管をさらに進めた役割が、既存社員のリスキリング(学び直し)を支援する育成プログラムです。社内エンジニア不足を外部採用だけで埋めるのが難しい以上、今いる社員の中からデジタルを担える人材を育てる視点が欠かせません。経済産業省が整備するマナビDXのような学習リソースや、外部パートナーによる伴走型の育成プログラムを活用し、業務に詳しい社員にデジタルスキルを上乗せしていく取り組みです。業務知識を持つ社員が技術リテラシーを得れば、外部との橋渡し役として大きな力を発揮します。

ただし、育成プログラムには「育てた人材が離職する」「学んだスキルが現場で使われず腐る」というリスクもあります(教育パラドックス)。このため、育成は単発の研修で終わらせず、学んだスキルを実際のプロジェクトで使う機会とセットで設計することが重要です。外部チームと一緒に手を動かしながら学ぶOJT型の育成は、知識の定着と実務への適用を同時に実現します。リスキリング・育成プログラムの役割は、社内エンジニア不足を「外部で埋め続ける」から「徐々に自前で担える」へと移行させる、解消策の最終段階を担うのです。

まとめ

社内エンジニア不足の解消機能のまとめイメージ

社内エンジニア不足の解消策が提供する機能・役割は、外部チームによる即時のリソース補強・スキル標準に沿った人材アサイン・技術顧問やCTO代行による意思決定支援・ナレッジ移管・リスキリングや育成プログラムの5つに整理できます。とりわけ、採用を待たずに技術力を確保する即時補強と、社内にブラックボックスを残さないナレッジ移管は、解消策の両輪です。経済産業省が2030年に最大約79万人のIT人材不足を推計する中(出典:経済産業省)、採用だけに頼らず、これらの役割を組み合わせて配合することが、技術者のいない事業会社の現実解になります。

解消策の機能は、一覧を眺めるだけでは完結しません。自社のプロジェクトに「今どの役割が必要で、将来どう内製度を高めるか」を見極め、要件定義へと落とし込むことが不可欠です。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、即時補強から意思決定支援、ナレッジ移管、育成までを一貫して担い、外部依存を計画的に減らす体制づくりを支援します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、弊社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

 

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