情報系システムの必要機能や標準機能の一覧について

情報系システムの導入を検討するとき、担当者がまず整理しておきたいのが「情報系システムには、そもそもどんな機能があり、自社にとって必須なのはどれで、あれば嬉しい標準機能はどれか」という機能の全体像です。情報系システムは、販売・在庫・会計といった業務そのものを回す基幹システムとは違い、社員の情報共有・意思決定・コミュニケーションを支える「人を支援するシステム」です。そのため機能の幅が広く、グループウェア、ポータル、ワークフロー、ナレッジ管理、BIなど、何をどこまで入れるかで費用も使われ方も大きく変わります。

本記事は、情報系システムの必要機能・標準機能を、発注企業の視点から体系的に整理する「機能特化」の解説です。多くの企業に必須となる中核機能、業種や規模によって必要性が分かれる機能、外部システムとの連携機能、そしてセキュリティや権限管理といった非機能の領域まで、それぞれが何を担い、どこに費用がかかるのかを具体的に解説します。読み終えるころには、自社の要件定義で「どの機能を必須とし、どこから着手すべきか」を判断する物差しが手に入るはずです。なお、情報系システムの全体像をまだ把握していない方は、まず情報系システムの完全ガイドから読むことをおすすめします。

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情報系システムの中核となる必須機能

情報系システムの中核となる必須機能のイメージ

情報系システムには多彩な機能がありますが、ほとんどの企業で必須となる中核機能はある程度共通しています。それは、社内の情報を一箇所に集める「情報共有・コミュニケーション」と、社内手続きを電子化する「ワークフロー」です。この二つは、規模や業種を問わず、情報系システムを導入する目的の中心に据えられることが多い機能です。まずはこの中核を押さえることが、要件定義の出発点になります。

情報共有・コミュニケーションの標準機能

情報共有・コミュニケーションの領域には、いくつかの標準機能があります。スケジュール共有(社員の予定や会議室の空き状況を見える化する)、掲示板・社内ポータル(全社や部門への通知を集約する)、社内チャット・メッセージ(メールより手軽なやり取りを実現する)、文書・ファイル共有(資料を一箇所に集めて検索可能にする)などです。これらは多くのグループウェア製品に標準で備わっており、情報系システムの土台を形づくります。

これらの機能を選ぶときに重要なのは、「機能があること」より「現場が日常的に開く入口になれること」です。スケジュールやポータルがばらばらのツールに分かれていると、社員はどれを見ればよいか分からず、結局メールに戻ってしまいます。標準機能を一つの画面に集約し、ログインすれば必要な情報が一望できる状態をつくることが、情報共有機能を活かす鍵です。機能一覧を眺めるときは、個々の機能の有無だけでなく、それらが一つの入口として統合されているかを確認してください。

申請・承認ワークフローの必須機能

もう一つの中核がワークフロー機能です。経費精算、稟議、休暇申請、各種届出といった社内手続きを電子化し、申請から承認までをシステム上で完結させます。ワークフロー機能の標準的な要素としては、申請フォームの作成、承認経路の設定、金額や条件による経路分岐、承認・差し戻し・代理承認、申請状況の進捗確認、承認履歴の記録などがあります。これらは内部統制の観点でも重要で、誰がいつ承認したかが自動で残ることに価値があります。

ワークフロー機能を要件定義するときの落とし穴は、自社の承認ルールが標準機能の想定より複雑なケースです。役職や金額による分岐、部門横断の合議、条件付きのスキップなど、自社固有のルールが多いと、パッケージの標準機能では表現しきれず、カスタマイズや作り込みが必要になります。ここが情報系システムの費用を押し上げる要因の一つです。要件定義の段階で、自社の承認フローをすべて洗い出し、標準機能でどこまで賄えるかを見極めることが、後の手戻りを防ぎます。

業種・規模で必要性が分かれる機能

業種・規模で必要性が分かれる情報系システムの機能のイメージ

中核機能の外側には、業種や企業規模によって必要性が分かれる機能群があります。これらは「あれば便利だが、全社に必須とは限らない」機能です。自社の業務に本当に必要かを見極めずに全部入りを目指すと、費用がかさむうえに使われない機能が増えます。逆に、自社の競争力に直結する機能を見落とすと、せっかくの投資が中途半端になります。ここでの取捨選択が、情報系システムの費用対効果を大きく左右します。

ナレッジ管理・文書管理の機能

ナレッジ管理は、社員の経験やノウハウ、過去の案件情報を組織の資産として蓄積・活用する機能です。FAQ、社内Wiki、マニュアルの集約、全文検索、タグやカテゴリによる分類などが標準的な要素です。属人化しがちな知識を組織で共有したい企業、問い合わせ対応が多くナレッジの再利用効果が大きい企業では、優先度の高い機能になります。一方、社員数が少なく口頭で十分に共有できる規模の企業では、優先度は下がります。

文書管理の機能としては、版管理(古い版と新しい版を区別し、誤って古い資料を使うのを防ぐ)、改訂履歴、文書のライフサイクル管理(作成・承認・公開・廃棄)などがあります。契約書や規程など、版の取り違えが事故につながる文書を多く扱う企業では、こうした機能の必要性が高まります。ナレッジ・文書管理は「あれば便利」の代表ですが、検索性と更新の運用が伴わないと、結局使われない倉庫になりがちです。機能を入れるなら、誰がどう維持するかという運用設計とセットで考えることが大切です。

BI・データ分析・レポーティングの機能

BI・データ分析の機能は、基幹システムや各部門に蓄積されたデータを集約し、ダッシュボードやレポートとして可視化する機能です。売上や在庫、コストの推移をグラフで表示する、部門別・商品別に切り口を変えて分析する、KPIをリアルタイムに監視する、といった用途で使われます。データドリブンな意思決定を志向する企業や、複数システムにデータが散らばっている企業では、優先度が高くなります。

BI機能を検討するときに見落としがちなのが、見えている画面の裏側にあるデータ連携の作り込みです。きれいなダッシュボードを表示するには、各システムからデータを集め、形式をそろえ、定期的に更新する仕組みが必要です。この連携部分こそが開発工数の多くを占め、費用を押し上げます。中規模のデータ統合を伴う情報系システムでは、開発費用が数百万円から1,000万円を超えることもあり、その大半はこの見えない連携に投じられます。BI機能を要件に入れるなら、可視化の見た目だけでなく、連携の難易度とコストを必ず合わせて検討してください。

外部システムと連携する機能

外部システムと連携する情報系システムの機能のイメージ

情報系システムは、それ単体で完結するよりも、ほかのシステムと連携してこそ真価を発揮します。基幹システム、グループウェア、各種SaaSなどと適切につながることで、情報の二重入力をなくし、データを一元的に扱えるようになります。連携機能は地味ですが、情報系システムの使われ方と費用を大きく左右する重要な領域です。

基幹システム・SaaSとのAPI連携機能

情報系システムの連携先としてもっとも重要なのが、基幹システムです。販売管理や在庫管理、会計といった基幹システムの数字を情報系システムのダッシュボードに取り込めば、業務データを意思決定に活かせます。連携の方式には、API(システム同士が決まった手順でデータをやり取りする仕組み)を介したリアルタイム連携、定期的にデータをまとめて受け渡すバッチ連携などがあります。リアルタイム性をどこまで求めるかで、実装の難易度と費用が変わります。

近年は、勤怠管理や経費精算、CRMといった外部SaaSとの連携も増えています。SaaSが公開しているAPIを使えば、比較的スムーズに連携できる場合がありますが、APIの仕様変更や利用料、データ量の制限といった注意点もあります。連携機能を要件に入れるときは、相手システムがどんな連携手段を提供しているか、その連携が安定して維持できるかを事前に確認することが欠かせません。連携先のシステムが古く、まともなAPIを持たない場合は、連携自体に大きな開発工数がかかることを覚悟する必要があります。

シングルサインオン・モバイル対応の機能

複数のシステムを使う企業では、シングルサインオン(一度のログインで複数システムを使える仕組み、SSO)の機能が利便性とセキュリティの両面で重要になります。社員がシステムごとに別々のIDとパスワードを管理する負担が減り、退職者のアカウントを一括で無効化できるなど、管理面のメリットも大きい機能です。情報系システムを複数のサービスと組み合わせて使うなら、認証基盤の統合を要件に含めることを検討してください。

モバイル対応も、現代の情報系システムでは無視できない機能です。外出の多い営業や、現場で働く社員が、スマートフォンから申請・承認・情報確認をできるかどうかで、システムの定着率は大きく変わります。承認が出先からできれば、申請が承認者の不在で止まることが減ります。ただし、モバイル対応はすべての機能をスマートフォンに最適化すると開発工数が増えるため、「どの機能をモバイルで使えるようにするか」を絞り込むことが現実的です。利用シーンを起点に、必要な機能だけをモバイル対応させる判断が求められます。

セキュリティ・権限管理など非機能の領域

セキュリティ・権限管理など情報系システムの非機能の領域のイメージ

情報系システムの機能を検討するとき、目立つ業務機能ばかりに注目しがちですが、実は成否を分けるのが「非機能」と呼ばれる領域です。セキュリティ、権限管理、可用性、レスポンスといった、画面には現れにくいが土台を支える要素です。社内の重要情報を扱う情報系システムでは、ここを軽視すると情報漏洩や統制上の事故につながります。非機能こそ、要件定義で丁寧に詰めるべき機能領域です。

権限管理・アクセス制御の機能

情報系システムは多くの社員が使うため、「誰が、どの情報に、どこまでアクセスできるか」を細かく制御する権限管理機能が不可欠です。役職や部門に応じてアクセスできる範囲を分ける、人事情報や経営数値といった機微な情報は特定の役職のみに限定する、といった制御が求められます。役割(ロール)ごとに権限をまとめて管理できる仕組みがあると、人事異動のたびに個別設定する手間が省けます。

権限管理は、要件定義で曖昧にすると後でトラブルになりやすい領域です。「本来見せてはいけない情報が、別部門の社員に見えてしまった」という事故は、権限設計の甘さから生まれます。自社の組織構造と情報の機微度を整理し、どの情報に誰がアクセスできるべきかをマトリクスで明確にしておくことが重要です。権限管理の機能が柔軟であるほど、組織変更や役割の追加に強いシステムになります。情報系システムを長く使うほど、この柔軟性の価値は大きくなります。

セキュリティ・監査ログ・可用性の機能

セキュリティ機能としては、通信の暗号化、多要素認証、パスワードポリシーの強制、IPアドレスによるアクセス制限などが基本です。加えて、誰がいつ何をしたかを記録する監査ログの機能は、内部不正の抑止と、万一の際の追跡に役立ちます。社内の機微な情報を扱う情報系システムでは、こうしたセキュリティ機能を標準で備えているか、自社のセキュリティポリシーに沿って設定できるかを確認することが欠かせません。

可用性(システムが安定して使い続けられること)やレスポンス(操作の応答速度)も、非機能の重要な要件です。情報系システムが頻繁に止まったり、検索のたびに長く待たされたりすると、現場は使うのをやめてしまいます。同時に何人が使う想定か、どれくらいのデータ量を扱うか、どの時間帯にアクセスが集中するかを要件として明確にし、それに耐える設計を求めることが大切です。これらの非機能要件は、契約前にSLA(サービス品質の保証水準)として明文化しておくと、稼働後のトラブルを防げます。機能一覧の見栄えに惑わされず、こうした土台の機能こそ丁寧に確認してください。

まとめ

情報系システムの機能まとめイメージ

情報系システムの必要機能・標準機能を整理すると、多くの企業に必須となる中核は「情報共有・コミュニケーション」と「申請・承認ワークフロー」であり、その外側にナレッジ管理やBIといった業種・規模で必要性が分かれる機能、基幹システムやSaaSとの連携機能、そしてセキュリティ・権限管理・可用性といった非機能の領域が広がっています。機能一覧を眺めるときは、個々の機能の有無だけでなく、それらが一つの入口に統合されているか、見えない連携部分にどれだけ費用がかかるか、そして非機能の土台が自社の要求に耐えるかを確認することが重要です。

機能を選ぶときに大切なのは、全部入りを目指すのではなく、自社の業務にとって本当に必要な機能を見極め、優先順位をつけることです。中核機能から着手し、効果を確認しながら段階的に広げる進め方が、費用対効果と定着率の両面で有利です。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、自社の業務に合わせた機能の取捨選択と、現場に定着するシステムづくりを一貫して支援します。機能の全体像と費用の関係を俯瞰したい方は、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、弊社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

 

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