「EC-CUBEでECサイトを構築したいが、社内に開発リソースがない」「EC-CUBEのカスタマイズを外部に委託したいが、どこに頼めばよいか分からない」――こうした悩みを抱える企業は年々増加しています。経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」によると、2025年の国内BtoC-EC市場規模は約24兆円に達しており、前年比で約9%の成長を遂げました。この成長に伴い、自社ECサイトの構築ニーズも高まり続けており、中でもオープンソースで自由度の高いEC-CUBEは、国内ECプラットフォームとして累計35,000件以上の導入実績を誇る人気の選択肢となっています。しかし、EC-CUBEの開発には、PHPによるバックエンド構築やSymfonyフレームワークの知識、決済連携や物流システムとのAPI接続など、幅広い専門技術が必要です。IT人材の不足が深刻化する中で、多くの企業がEC-CUBE開発を外部パートナーに発注・委託するケースが主流となっています。
とはいえ、EC-CUBE開発の外注は、一般的なWebサイト制作と比較して格段に複雑です。商品管理、受注管理、顧客管理、決済処理、在庫連携、送料計算など、ECサイト特有の業務ロジックが多岐にわたり、発注先の選定や要件定義を誤れば、数百万円から数千万円の開発投資が無駄になるリスクもあります。本記事では、EC-CUBE開発を外注・委託する際の全体像から、開発の進め方、費用相場、見積もりを取る際のポイントまで、実務に役立つ情報を体系的に解説します。初めてEC-CUBEの外注を検討される方でも、この記事を最後まで読むことで、発注までの全体像を把握し、自信をもってプロジェクトをスタートできるようになるはずです。
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▼全体ガイドの記事
・EC-CUBE開発の完全ガイド
EC-CUBE開発の全体像

EC-CUBE開発を外注する前に、まずEC-CUBEというプラットフォームの特性と、開発プロジェクト全体の流れを正しく理解しておくことが重要です。EC-CUBEはオープンソースのECパッケージであり、無料で利用できるうえにカスタマイズの自由度が極めて高いことが最大の特徴です。一方で、その自由度の高さゆえに、開発の範囲やアプローチによってプロジェクトの規模やコストが大きく変動します。ここでは、EC-CUBEの基本特性と、外注で実現できる開発範囲について詳しく見ていきます。
EC-CUBEの特徴とオープンソースならではの強み
EC-CUBEは、株式会社イーシーキューブが提供する国産のオープンソースECパッケージです。2006年のリリース以来、国内で最も広く利用されているECプラットフォームの一つとして成長を続けてきました。最新のEC-CUBE 4系では、PHPフレームワーク「Symfony」をベースとした設計に刷新されており、コードの品質やセキュリティ面が大幅に向上しています。オープンソースであるため、ソフトウェアのライセンス費用がかからず、初期コストを抑えてECサイトを構築できる点が中小企業から大企業まで幅広い支持を集めている理由です。
EC-CUBEの最大の強みは、カスタマイズの自由度の高さにあります。ShopifyやBASEといったSaaS型ECプラットフォームでは、プラットフォーム側が用意した機能の範囲内でしかカスタマイズができませんが、EC-CUBEではソースコードそのものを変更できるため、業務フローに完全に合致したECサイトを構築できます。たとえば、BtoB向けの会員ランク別価格表示、複雑な送料計算ロジック、独自のポイントシステム、基幹システムとの在庫連動など、自社のビジネスモデルに最適化した機能を実装できるのです。また、プラグイン機構が充実しており、EC-CUBEオーナーズストアには1,500件以上のプラグインが登録されており、決済連携や配送管理、SEO対策など、多くの機能をプラグインで追加できます。プラグインだけでは実現できない要件がある場合でも、独自プラグインの開発やコアのカスタマイズで対応できる柔軟性が備わっています。
さらに、EC-CUBEはコミュニティが非常に活発であり、公式フォーラムやGitHubでの情報共有が盛んです。開発中に技術的な課題に直面した場合でも、コミュニティの知見を活用できる点は、開発パートナーにとっても大きなメリットとなります。セキュリティに関しても、脆弱性が発見された際には速やかにパッチが提供される体制が整っており、JVN(Japan Vulnerability Notes)との連携による脆弱性情報の公開も行われています。
外注で依頼できる開発範囲と開発パターン
EC-CUBE開発を外注する際に依頼できる範囲は、大きく4つのパターンに分類されます。1つ目は「新規ECサイト構築」です。EC-CUBEをゼロからインストールし、デザインテンプレートの作成、必要なプラグインの導入、決済システムの連携、商品データの移行まで一貫して行うパターンで、費用は200万〜1,500万円程度が相場です。事業計画に基づいたサイト設計から対応してもらえるため、EC事業の立ち上げフェーズに最適です。
2つ目は「既存ECサイトのカスタマイズ・機能追加」です。すでに稼働しているEC-CUBEサイトに対して、新しい決済手段の追加、会員向け機能の拡充、管理画面の改善などを行うパターンです。費用は機能の複雑さに応じて50万〜500万円程度となり、部分的な改修であれば比較的短期間で対応可能です。3つ目は「バージョンアップ・マイグレーション」です。EC-CUBE 2系から4系へのアップグレードや、他のECプラットフォームからEC-CUBEへの移行を行います。データ移行やカスタマイズの再実装が必要となるため、費用は300万〜1,000万円程度が目安です。4つ目は「保守運用・セキュリティ対応」です。EC-CUBEの定期的なアップデート、セキュリティパッチの適用、障害対応、パフォーマンス最適化などを継続的に委託するパターンで、月額5万〜30万円程度の保守契約が一般的です。
これらのパターンを組み合わせて発注することも多く、たとえば新規構築と合わせてリリース後の保守運用まで含めた包括契約を結ぶケースが増えています。どのパターンで発注するかによって、必要な予算やスケジュール、選ぶべき開発パートナーの特性が変わってくるため、自社のニーズを明確にしたうえで外注計画を立てることが重要です。
EC-CUBE開発の進め方

EC-CUBE開発プロジェクトは、一般的なシステム開発と同様に「要件定義・企画」「設計・開発」「テスト・リリース」の3つのフェーズに分けて進行します。各フェーズで発注者が果たすべき役割と、開発パートナーとの協業のポイントを理解しておくことで、プロジェクトの成功確率が大きく高まります。ここでは、それぞれのフェーズにおける具体的な進め方を詳しく解説します。
要件定義・企画フェーズ
要件定義・企画フェーズは、EC-CUBE開発プロジェクト全体の成否を左右する最も重要な工程です。このフェーズでは、ECサイトのビジネス目標を明確にし、必要な機能を洗い出し、優先順位を付けていきます。具体的には、まず「どのような商品を、誰に対して、どのように販売するか」というビジネスモデルの整理から始めます。BtoC向けのアパレルECなのか、BtoB向けの卸売ECなのか、あるいはDtoC(Direct to Consumer)のサブスクリプションモデルなのかによって、必要な機能セットが大きく異なるためです。
次に、ECサイトに必要な機能の要件を具体的に定義します。EC-CUBEの標準機能として備わっている商品管理、受注管理、顧客管理、コンテンツ管理に加えて、どのようなカスタマイズが必要かを明文化していきます。たとえば、決済手段はクレジットカード(VISA、Mastercard、JCB、AMEX)に加えてコンビニ決済や後払いに対応するのか、配送方法は何パターン用意するのか、会員ランク制度やポイントプログラムは導入するのか、基幹システム(在庫管理、会計システム、CRMなど)とのデータ連携はどこまで自動化するのか、といった項目を一つひとつ整理します。この段階で要件の抜け漏れがあると、開発途中での仕様変更が発生し、スケジュールの遅延やコストの増大に直結します。実際に、要件定義の不備による追加開発で、当初予算の1.5倍から2倍に膨らむケースは珍しくありません。
要件定義をスムーズに進めるためには、発注者側で事前に以下の情報を整理しておくことが効果的です。まず、取り扱い商品数と商品カテゴリの構成。次に、想定する月間注文件数とアクセス数。さらに、現在使用している業務システムの一覧と連携要件。そして、参考にしたい競合サイトや理想のUI/UXイメージ。これらの情報を事前に準備しておくことで、開発会社との初回ミーティングの密度が格段に向上し、より精度の高い見積もりを得ることができます。
設計・開発フェーズ
設計・開発フェーズでは、要件定義で決まった仕様に基づいて、具体的なシステム設計とコーディングを進めていきます。EC-CUBE開発の設計工程は、大きく「画面設計(UI/UX設計)」「データベース設計」「システム設計(アーキテクチャ設計)」の3つに分かれます。画面設計では、ワイヤーフレームやモックアップを作成し、ユーザーが商品を探して購入するまでの動線を最適化します。EC-CUBEにはデフォルトのテンプレートが用意されていますが、ブランドイメージに合わせたオリジナルデザインを適用するのが一般的です。レスポンシブデザインへの対応は必須であり、2025年時点でECサイトの利用デバイス比率はスマートフォンが約75%を占めるため、モバイルファーストの設計思想が求められます。
データベース設計では、EC-CUBEの標準データベース構造をベースに、カスタマイズに必要なテーブルの追加やリレーションの設計を行います。EC-CUBE 4系ではDoctrineORMを使用しており、エンティティの追加やマイグレーションファイルの作成が設計上の重要なポイントとなります。商品テーブルへのカスタム属性の追加、会員テーブルの拡張、受注テーブルと外部システムの連携用中間テーブルの設計など、EC特有のデータ構造を適切に設計することが、運用フェーズでのパフォーマンスやデータ整合性に大きく影響します。
開発工程では、EC-CUBEのプラグイン機構を活用したカスタマイズと、必要に応じたコアの拡張を行います。EC-CUBE 4系では、イベントリスナーやサービスプロバイダを利用した拡張が推奨されており、プラグインとして機能を実装することで、将来のバージョンアップ時にカスタマイズ部分が影響を受けにくくなるメリットがあります。開発期間は、標準的な構成のECサイトで2か月から4か月、大規模なカスタマイズを含む場合は6か月から12か月程度が目安です。開発中は週次または隔週でのステータス報告会を設け、進捗確認と仕様の微調整を行うのが効果的です。アジャイル的な手法を取り入れて、2週間スプリントで開発を進めながら定期的にデモを行い、発注者がフィードバックを返すスタイルが近年は主流となっています。
テスト・リリースフェーズ
テスト・リリースフェーズは、開発したECサイトの品質を担保し、安全に本番環境へ公開するための最終工程です。EC-CUBEのテスト工程は、「単体テスト」「結合テスト」「総合テスト(受入テスト)」の3段階で実施するのが一般的です。単体テストでは、各機能モジュールが仕様通りに動作するかを検証します。商品登録・編集・削除の処理、カート投入から注文完了までの購入フロー、決済処理の正常系と異常系、ポイント計算や送料計算のロジックなど、個々の機能をテストケースに基づいて検証していきます。EC-CUBEの場合、PHPUnitを用いた自動テストの実装が推奨されており、テストカバレッジが高いほど、リリース後の不具合発生リスクを低減できます。
結合テストでは、複数の機能が連携して正しく動作するかを検証します。たとえば、「会員登録→ログイン→商品検索→カート追加→注文情報入力→決済処理→注文確認メール送信→管理画面での受注確認」という一連のフローを通しでテストします。特に、外部決済サービス(GMOペイメントゲートウェイ、ソニーペイメントサービス、SBペイメントサービスなど)との連携テストは入念に行う必要があり、テスト環境用のサンドボックスアカウントを使用して、実際の決済フローを模擬します。
総合テスト(受入テスト)では、発注者自身が実際の業務シナリオに基づいてECサイトを操作し、業務フローとの整合性を確認します。ここで発見された不具合や改善点は、開発パートナーにフィードバックして修正を行います。リリース前には、セキュリティ診断の実施も強く推奨されます。EC-CUBEはオープンソースであるため、脆弱性が公開されやすく、適切なセキュリティ対策が施されていない場合、個人情報漏洩や不正注文のリスクが高まります。OWASP Top 10に基づく脆弱性診断を実施し、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、セッション管理の不備などがないことを確認しましょう。リリース当日は、旧サイトからの切り替え作業、DNS設定の変更、SSL証明書の確認、データ移行の最終チェック、そして本番環境での動作確認を慎重に進めます。リリース後の1週間から2週間は集中的な監視期間とし、アクセスログやエラーログのモニタリング、パフォーマンスの監視を行い、問題が発生した場合は即座に対応できる体制を整えておくことが重要です。
費用相場とコストの内訳

EC-CUBE開発の費用は、プロジェクトの規模やカスタマイズの範囲によって大きく異なります。適正な予算を設定し、費用対効果の高い投資を行うためには、コストの構造を正しく理解しておくことが不可欠です。ここでは、開発にかかる人件費と工数の関係、そして初期費用だけでは見えてこないランニングコストについて詳しく解説します。
人件費と工数
EC-CUBE開発の費用の大部分を占めるのが人件費です。開発会社から提示される見積もりは、基本的に「人月単価 × 工数(人月)」で計算されます。人月単価はエンジニアのスキルレベルや役割によって異なり、一般的な相場としては、プロジェクトマネージャー(PM)が月額100万〜150万円、シニアエンジニア(EC-CUBEの開発経験5年以上)が月額80万〜120万円、中堅エンジニアが月額60万〜90万円、デザイナーが月額50万〜80万円、テスターが月額40万〜60万円程度です。
開発規模ごとの工数と費用の目安は以下の通りです。小規模サイト(標準テンプレート利用、プラグイン追加程度のカスタマイズ、商品数500点未満)では、工数は2人月から4人月、費用は100万〜300万円程度です。中規模サイト(オリジナルデザイン、決済連携2〜3種、会員機能のカスタマイズ、商品数1,000〜5,000点)では、工数は5人月から10人月、費用は400万〜800万円程度となります。大規模サイト(フルカスタマイズデザイン、複数決済連携、基幹システム連携、マルチテナント対応、商品数10,000点以上)では、工数は15人月から30人月以上、費用は1,000万〜3,000万円以上に及びます。
注意すべき点として、EC-CUBE開発ではEC特有の要件が工数を押し上げるケースが少なくありません。たとえば、複雑な送料計算ロジック(地域別、重量別、温度帯別の送料テーブル)の実装に1人月、基幹システムとの在庫リアルタイム連携に2人月から3人月、多言語・多通貨対応に2人月、大規模な商品データの一括インポート機能に1人月から2人月といった追加工数が発生します。見積もりを評価する際には、こうした個別要件の工数が適切に見積もられているかを確認することが重要です。
初期費用以外のランニングコスト
EC-CUBEを用いたECサイトの運営には、開発費用(初期費用)だけでなく、継続的なランニングコストが発生します。ランニングコストの見積もりが甘いと、運用フェーズに入ってから予算不足に陥るリスクがあるため、発注時点でしっかりと把握しておくことが大切です。
まず、サーバー費用です。EC-CUBEはオンプレミスまたはクラウド環境にインストールして運用するため、サーバーの維持費用が発生します。レンタルサーバー(共用サーバー)の場合は月額1,000円から5,000円程度で済みますが、中規模以上のECサイトではVPS(仮想専用サーバー)やクラウドサーバー(AWS、GCP、さくらのクラウド等)を利用するのが一般的で、月額1万円から10万円程度が相場です。アクセスが集中するセール時期にはオートスケーリングが必要になることもあり、トラフィックに応じた従量課金が加算されるケースもあります。
次に、保守・運用費用です。EC-CUBEの定期的なセキュリティアップデート、プラグインのバージョンアップ、PHP本体のバージョンアップ対応、障害時の緊急対応などを開発会社に委託する場合、月額5万〜30万円程度の保守契約を結ぶのが一般的です。EC-CUBEはオープンソースであるため、セキュリティパッチの適用を怠ると脆弱性を突かれるリスクが高まります。2024年にもEC-CUBEの脆弱性を悪用したクレジットカード情報の窃取事案が複数報告されており、保守運用は必須のコストと考えるべきです。
さらに、決済手数料やSSL証明書の費用、ドメイン維持費なども継続的なコストとして計上する必要があります。クレジットカード決済の手数料は売上の3.0%から3.6%程度が一般的であり、コンビニ決済は1件あたり130円から300円程度、代引きは1件あたり300円から500円程度です。SSL証明書は年額1万円から10万円程度(Let’s Encryptを使用する場合は無料)、独自ドメインの維持費は年額1,000円から5,000円程度です。これらのランニングコストを含めた3年間から5年間のトータルコストを試算したうえで、初期投資の規模を判断することが、長期的に見て最も合理的な意思決定につながります。
見積もりを取る際のポイント

EC-CUBE開発の見積もりは、発注先によって金額が2倍から5倍も異なることが珍しくありません。適正な価格で質の高い開発パートナーを選ぶためには、見積もりを取る段階で押さえておくべきポイントがいくつかあります。ここでは、要件の明確化と仕様書の準備、複数社の比較方法、そしてリスクへの対策について解説します。
要件明確化と仕様書の準備
精度の高い見積もりを得るための第一歩は、要件を可能な限り明確にすることです。「EC-CUBEでECサイトを作りたい」という漠然とした依頼では、開発会社側もリスクバッファを大きく積んだ見積もりしか出せません。見積もり精度を高めるためには、RFP(提案依頼書)を作成するのが最も効果的です。RFPには、プロジェクトの背景と目的、ECサイトの対象顧客と取り扱い商品の概要、必要な機能の一覧と優先順位、デザインのイメージや参考サイト、連携する外部システムの情報、希望するスケジュール、予算の上限、納品後の保守運用に対する期待事項を盛り込みます。
RFPの作成が難しい場合でも、最低限、EC-CUBEで実現したい機能を箇条書きにまとめたドキュメントを用意しておくだけでも、見積もりの精度は大幅に向上します。機能要件は「マスト(必須)」「ウォント(できれば実現したい)」「ナイストゥハブ(予算が許せば実現したい)」の3段階に分類しておくと、開発会社が予算に合わせた提案をしやすくなります。また、見積もり依頼時に「概算見積もり」と「詳細見積もり」の2段階で進めることも効果的です。まず概算見積もりで大まかな予算感を把握し、そのうえで2〜3社に絞り込んでから詳細見積もりを依頼するという流れで進めると、発注者側の工数も効率化できます。概算見積もりは無料で対応する開発会社がほとんどですが、詳細見積もりには別途コンサルティング費用が発生する場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
複数社比較と発注先の選び方
EC-CUBE開発の発注先を選ぶ際には、最低でも3社以上から見積もりを取得して比較検討することを強く推奨します。比較の際に注目すべきポイントは、費用の総額だけではありません。まず最も重要なのが、EC-CUBE開発の実績です。EC-CUBEは独自のアーキテクチャやプラグイン機構を持つため、EC-CUBEに精通したエンジニアがチームにいるかどうかで、開発の品質とスピードが大きく変わります。EC-CUBEインテグレートパートナーに認定されている開発会社であれば、一定の技術力と実績が担保されています。EC-CUBEの公式サイトでは、パートナー企業の一覧と実績が公開されており、発注先候補のリストアップに活用できます。
次に、開発体制とコミュニケーションの方法も重要な比較ポイントです。PMが専任で付くのか兼任なのか、開発メンバーは固定なのか流動的なのか、コミュニケーションツールは何を使うのか(Slack、Chatwork、Backlog、Redmineなど)、進捗報告の頻度と方法(週次ミーティング、日次スタンドアップ、定期レポートなど)を確認しましょう。また、開発完了後の保守運用体制やサポートの充実度も、長期的なパートナーシップを考えるうえで見逃せないポイントです。リリース後に不具合が見つかった場合の対応方針(無償対応期間の有無、SLAの設定など)を事前に確認しておくことで、リリース後のトラブルを最小化できます。
発注先の探し方としては、EC-CUBEの公式パートナー一覧のほかにも、開発会社マッチングサービス(発注ナビ、比較ビズ、アイミツなど)の活用も有効です。これらのサービスでは、プロジェクトの要件を入力するだけで複数の開発会社から提案を受けられるため、効率的に候補を絞り込めます。ただし、マッチングサービス経由の場合は紹介手数料が費用に上乗せされるケースもあるため、最終的な契約条件は直接交渉で確認することが重要です。
注意すべきリスクと対策
EC-CUBE開発の外注において、発注者が事前に把握しておくべきリスクとその対策を整理します。1つ目のリスクは「仕様変更による費用の膨張」です。開発途中での仕様変更は、追加費用とスケジュール遅延の最大の原因です。特にEC-CUBEの場合、決済連携や在庫連動といった外部システムとの連携部分で仕様変更が発生すると、影響範囲が広がりやすく、当初見積もりの30%から50%の追加費用が発生するケースもあります。対策としては、要件定義フェーズでの合意形成を徹底し、変更管理プロセスを契約書に明記しておくことが有効です。変更が発生した場合の追加費用の算出方法や承認フローを事前に取り決めておくことで、トラブルを未然に防げます。
2つ目のリスクは「納品物の品質不足」です。EC-CUBEのカスタマイズが適切に行われていない場合、パフォーマンスの低下、セキュリティホールの発生、将来のバージョンアップ時の互換性問題が生じる可能性があります。対策としては、契約時に検収基準を明確に定義し、テストケースの作成と実施報告を納品物に含めることを求めましょう。また、ソースコードのレビューや、第三者によるセキュリティ診断の実施を条件に含めることも効果的です。
3つ目のリスクは「ベンダーロックイン」です。特定の開発会社にしか理解できないカスタマイズが施されていると、その会社との関係が途絶えた場合に保守運用が困難になります。EC-CUBEのカスタマイズを行う際には、プラグイン機構を活用した拡張を優先し、コアファイルの直接改変を最小限に抑えるよう開発会社に依頼することが重要です。また、ソースコードとドキュメント一式の納品を契約条件に含め、開発環境の構築手順書やAPI仕様書なども成果物として受領しておくことで、将来的に開発パートナーを変更する場合のリスクを大幅に低減できます。4つ目のリスクは「契約形態のミスマッチ」です。EC-CUBE開発の契約には主に「請負契約」と「準委任契約」の2種類があります。請負契約は成果物の完成を約束する契約であり、仕様が明確な場合に適しています。準委任契約は工数に対して報酬を支払う契約であり、要件が流動的な場合やアジャイル開発に適しています。プロジェクトの特性に合わない契約形態を選んでしまうと、品質やコストの面でトラブルが生じやすくなるため、開発会社との協議のうえで適切な契約形態を選択しましょう。
まとめ

EC-CUBE開発の発注・外注・委託は、正しい手順を踏むことで成功確率を大幅に高めることができます。本記事で解説した内容を振り返ると、まずEC-CUBEの特徴と外注で依頼できる開発範囲を理解し、自社のニーズに合った開発パターンを選択することが出発点となります。次に、要件定義・企画、設計・開発、テスト・リリースという3つのフェーズに沿ってプロジェクトを進め、各フェーズで発注者と開発パートナーが適切に協業することが品質確保の鍵となります。
費用面では、人月単価と工数をベースとした開発費用に加えて、サーバー費用、保守運用費用、決済手数料などのランニングコストを含めたトータルコストで判断することが重要です。小規模なECサイトであれば100万〜300万円程度から構築可能ですが、大規模なカスタマイズを含む場合は1,000万円以上の投資が必要となるケースもあります。見積もりを取る際には、RFPの作成による要件の明確化、3社以上からの比較見積もり取得、EC-CUBEインテグレートパートナーの活用を心がけましょう。そして、仕様変更リスク、品質リスク、ベンダーロックインリスク、契約形態のミスマッチリスクといった典型的なリスクに対して、事前に対策を講じておくことで、プロジェクトの成功確率は格段に高まります。EC-CUBE開発のパートナー選びは、単なるコスト比較ではなく、技術力、コミュニケーション力、保守運用体制、そしてEC業界への理解度を総合的に評価して判断することが、長期的な事業成長につながる最善の選択です。
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・EC-CUBE開発の完全ガイド
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
