BtoB通販/ECサイト開発の見積相場や費用/コスト/値段について

BtoB通販やECサイトの開発を検討する際、「費用がどの程度かかるのか想像がつかない」「開発会社から提示された見積もりが適正なのか判断できない」といった不安を感じている企業担当者は少なくありません。BtoB向けのEC・通販サイトは、BtoC向けとは異なり、取引先ごとの個別価格設定や掛け売り対応、複雑な承認フロー、基幹システムとの連携など、業務特有の要件が数多く存在します。そのため、開発費用は数百万円から数千万円規模に及ぶことが一般的であり、場合によっては1億円を超えるプロジェクトになることもあります。

本記事では、BtoB通販・ECサイト開発にかかる費用の相場について、開発規模別の目安から機能ごとのコスト内訳、費用を左右する主な要因、そして見積もりを取得する際に押さえておくべき実践的なポイントまで、網羅的に解説します。初めてBtoB向けECサイトの開発を外注する方にも、社内で予算を策定中の方にも有益な情報となるよう構成しました。適正な費用感を事前に把握し、投資対効果の高いサイト構築を実現するための判断材料としてお役立ていただければ幸いです。

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BtoB通販/ECサイト開発の全体像

BtoB通販ECサイト開発の全体像

BtoB通販・ECサイトの費用感を正しく理解するためには、まずBtoB-ECにはどのような種類があり、それぞれどのような構成要素を持つのかを把握しておくことが欠かせません。また、開発手法の選択肢を知ることで、自社の予算やビジネス要件に合った最適なアプローチを見極めることができます。

BtoB-ECサイトの種類と構成

BtoB-ECサイトとは、企業間の商取引をオンライン上で完結させるための電子商取引サイトの総称です。BtoC向けECサイトと同様に商品の検索・閲覧・注文といった基本機能を備えていますが、BtoB特有の商習慣に対応するための機能が加わることで、システム構成は格段に複雑になります。代表的なBtoB-ECサイトの種類としては、クローズド型(会員制)サイト、スモール型(カタログ注文の電子化)、マーケットプレイス型(複数のサプライヤーが出品するプラットフォーム)、そしてEDI連携型(電子データ交換と統合されたシステム)の4つが挙げられます。

クローズド型のBtoB-ECサイトは、既存の取引先のみがログインして利用する形態であり、国内BtoB-ECの主流を占めています。取引先ごとに異なる商品ラインナップ、個別の掛け率、与信枠の設定、承認ワークフローなどを管理する必要があるため、単純なショッピングカートシステムでは対応しきれない要件が多数あります。一方、スモール型は紙やFAXによるカタログ注文をWebに置き換えるシンプルな構成で、機能要件が比較的限定されるため、初期費用を抑えて導入しやすいという特徴があります。マーケットプレイス型は、Amazonビジネスやモノタロウのように複数の売り手と買い手が参加するプラットフォームであり、出品者管理や手数料計算、レビュー機能など独自の仕組みが求められるため、開発規模は大きくなりがちです。EDI連携型は、従来のEDI(電子データ交換)システムとWebベースのECサイトを統合するアプローチで、大手製造業や卸売業で採用されるケースが多く、システム間のデータ変換や通信プロトコルへの対応が技術的なハードルとなります。

BtoB-ECサイトの構成要素としては、フロントエンド(ユーザーが操作する画面)、バックエンド(注文処理・在庫管理・顧客管理などのサーバー側処理)、管理画面(商品マスタ・価格設定・注文管理など運営者向け機能)、そしてインフラ(サーバー・データベース・CDNなど)の4層に大別できます。BtoBならではの要素として、取引先マスタと連携した個別価格表示、見積もり依頼から注文確定までの多段階フロー、請求書・納品書の自動生成、与信管理機能などが加わるため、BtoC向けECと比較して開発のボリュームは1.5倍から3倍程度になるのが一般的です。

開発手法の選択肢

BtoB-ECサイトの開発手法は、大きく分けて「ASP/SaaS型」「パッケージ型」「オープンソース型」「フルスクラッチ型」の4つに分類されます。それぞれの手法によって初期費用やカスタマイズの自由度、開発期間が大きく異なるため、自社の予算規模と業務要件に照らして最適な選択を行うことが重要です。

ASP/SaaS型は、クラウド上で提供されるECプラットフォームを月額利用料を支払って利用する方式です。代表的なサービスとしてはBカート、楽楽B2B、アラジンECなどがあり、初期費用は数万円から100万円程度、月額利用料は3万円から30万円程度で利用を開始できます。基本的なBtoB-EC機能がすでに組み込まれているため、短期間(1か月から3か月程度)でサイトを立ち上げることが可能ですが、自社の業務フローに合わせた大幅なカスタマイズには制約があります。年商規模で数千万円から数億円程度の中小企業がBtoB-ECを始める際の第一歩として適しています。

パッケージ型は、EC-CUBE B2B、ecbeing、コマース21、SI Web Shoppingなどの既存パッケージソフトウェアをベースに、自社要件に合わせてカスタマイズする方式です。初期費用は300万円から3,000万円程度と幅がありますが、ゼロから作るよりも開発期間を短縮でき、品質面での安定性も期待できます。パッケージが備えるBtoB向け機能(取引先管理、掛け売り対応、承認フローなど)をそのまま活用しつつ、不足する部分だけを追加開発するアプローチが一般的です。年商数億円から数十億円規模の企業で、ある程度のカスタマイズ性を確保しながらも開発リスクを抑えたい場合に選ばれることが多い手法です。

オープンソース型は、MagentoやEC-CUBEなどのオープンソースECプラットフォームを基盤として、自社仕様に合わせて開発する方式です。ソフトウェアのライセンス費用がかからないため初期コストを抑えられる反面、カスタマイズやセキュリティ対策のための開発工数が必要になります。初期費用は200万円から2,000万円程度で、技術力のある開発パートナーを確保できれば、パッケージ型に匹敵する柔軟性を低コストで実現できる可能性があります。ただし、バージョンアップへの追従やセキュリティパッチの適用といった継続的なメンテナンスコストも考慮する必要があります。

フルスクラッチ型は、既存のパッケージやフレームワークに依存せず、ゼロからシステムを構築する方式です。自社の業務プロセスに完全に最適化されたシステムを構築できるため、独自の商習慣や複雑な価格体系への対応力は最も高くなります。しかし、初期費用は1,000万円から1億円以上と高額になり、開発期間も6か月から1年半以上を要するのが通常です。大手製造業や総合商社など、取引規模が大きく業務プロセスが高度に複雑な企業で採用されるケースが多いです。

BtoB通販/ECサイト開発の費用相場

BtoB通販ECサイト開発の費用相場

BtoB-ECサイトの開発費用は、サイトの規模・機能要件・開発手法によって数十万円から1億円超まで非常に大きな幅があります。ここでは、開発規模別の費用目安と、BtoB-EC特有の機能に焦点を当てたコスト内訳を詳しく解説します。自社のプロジェクトがどの価格帯に位置するかを判断するための参考にしてください。

規模別の費用目安

BtoB-ECサイトの開発費用を「小規模」「中規模」「大規模」の3段階に分けて整理すると、予算計画が立てやすくなります。小規模とは、ASP/SaaS型のサービスを活用して既存の取引先向けにシンプルな受発注機能を提供するケースを指します。初期費用は50万円から300万円程度で、月額のランニングコストは3万円から15万円程度が相場です。具体的には、取引先がログインして商品カタログを閲覧し、カートに入れて注文するという基本的なフローを実現するサイトが該当します。商品点数が500点以下、取引先数が50社以下といった規模感であれば、SaaS型サービスの標準機能で十分にカバーできるケースが多く、開発期間も1か月から3か月程度で立ち上げ可能です。FAXや電話による受注業務をWebに移行したい中小企業にとって、投資対効果の高い選択肢といえます。

中規模の開発は、パッケージ型やオープンソース型を基盤として、自社の業務要件に合わせたカスタマイズを行うケースです。費用相場は300万円から2,000万円程度で、開発期間は3か月から8か月程度が一般的です。この規模では、取引先ごとの個別価格設定、掛け売り(後払い)対応、承認ワークフロー、在庫のリアルタイム連携、帳票(見積書・請求書・納品書)の自動出力といったBtoB特有の機能が求められます。たとえば、取引先300社、商品点数5,000点規模の卸売業者が、従来の電話・FAX受注をWeb化しつつ、販売管理システムとデータ連携するようなプロジェクトがこの規模に該当します。開発チームは、プロジェクトマネージャー1名、バックエンドエンジニア2名から3名、フロントエンドエンジニア1名から2名、デザイナー1名の計5名から7名体制が標準です。要件定義に1か月から2か月、設計・開発に2か月から5か月、テスト・移行に1か月程度という工程配分が目安になります。

大規模の開発は、フルスクラッチまたは大幅にカスタマイズしたパッケージを基盤として、複雑な業務要件や大量のトランザクションに対応するケースです。費用は2,000万円から1億円以上に達することも珍しくありません。取引先1,000社以上、商品点数数万点以上、月間受注件数が数万件を超えるような大規模BtoB-ECでは、高負荷に耐えるインフラ設計、マルチテナント対応、多通貨・多言語対応、EDI連携、複数拠点の在庫管理、AIを活用した需要予測やレコメンド機能など、高度な技術要件が加わります。開発期間は6か月から1年半以上、開発チームは10名から25名規模で組成されるのが通常です。大手製造業がグローバルの取引先向けに統一的なBtoB-ECプラットフォームを構築する場合や、総合商社が商材別の発注システムを一元化するプロジェクトなどが典型的な事例です。

機能別のコスト内訳

BtoB-ECサイトの費用をより精緻に把握するために、主要機能ごとのコスト感を確認しておきましょう。まず、BtoB-ECの根幹をなす商品カタログ・検索機能は、商品マスタの登録・管理、カテゴリ分類、全文検索、絞り込み検索(ファセット検索)などを含めて80万円から300万円程度が目安です。商品点数が数万点を超える場合や、仕様書PDFや3Dモデルデータの表示機能を追加する場合は、Elasticsearch等の検索エンジンの導入やストレージ設計の高度化が必要となり、追加で50万円から150万円程度のコストが発生します。

取引先別の価格・与信管理機能は、BtoB-ECにおいて最も重要かつ開発工数のかかる領域です。取引先ごとに異なる掛け率や個別単価を設定する機能、数量割引やボリュームディスカウントのロジック、与信枠の管理と残高チェック、支払条件(月末締め翌月末払いなど)の設定といった機能を包括的に実装する場合、150万円から500万円程度の費用が見込まれます。特に、価格体系が複雑な企業(たとえば、商品カテゴリ、取引先ランク、注文数量、季節要因などの複数条件を組み合わせて単価を算出するケース)では、価格エンジンの設計・実装だけで200万円から400万円程度かかることもあります。

受注・承認ワークフロー機能は、BtoC-ECにはない、BtoB特有の要件です。購入者が注文をカートに投入した後、部門の上長が承認してから正式発注となるような多段階の承認フローを実装する場合、100万円から300万円程度の費用がかかります。承認者の階層設定、金額に応じた承認ルートの自動振り分け、承認催促メールの自動送信、承認履歴のログ管理などを含めると、さらに50万円から100万円程度が上乗せされます。再発注(リピート注文)機能や、過去の注文履歴からワンクリックで同じ内容を発注できるクイックオーダー機能は、BtoB-ECの利便性を大きく向上させる要素であり、実装費用は50万円から150万円程度です。

帳票出力機能については、見積書・注文書・納品書・請求書といったBtoB取引に必須の書類をPDFやExcel形式で自動生成する機能が必要です。標準的なテンプレートベースの帳票出力であれば80万円から200万円程度で実装可能ですが、取引先ごとに異なる帳票レイアウトへの対応や、インボイス制度に準拠した適格請求書の自動生成、電子帳簿保存法への対応を含めると、200万円から400万円程度に膨らむことがあります。

費用に影響する要因

BtoB通販ECサイト開発の費用に影響する要因

BtoB-ECサイトの見積もり金額は、同じような機能を実現する場合でも、カスタマイズの範囲や基幹システムとの連携の有無によって大きく変動します。ここでは、費用に特に大きな影響を与える2つの要因について掘り下げて解説します。

カスタマイズの範囲と複雑性

BtoB-ECサイトの開発費用を最も大きく左右するのが、カスタマイズの範囲と業務ロジックの複雑性です。パッケージ型やSaaS型のサービスをそのまま利用する場合は初期費用を大幅に抑えられますが、自社の商習慣や取引条件に合わせたカスタマイズが増えるほど、追加開発の工数とコストが積み上がっていきます。たとえば、パッケージ型のBtoB-ECシステムを導入する際、標準機能の範囲で運用する場合は300万円から500万円程度で収まるケースでも、自社独自の価格算出ロジック、特殊な出荷条件の制御、取引先ごとのポイント制度の実装といったカスタマイズを追加すると、500万円から1,500万円程度の追加費用が発生することは珍しくありません。

カスタマイズの複雑性が費用に与える影響を具体的に示すと、画面のデザイン変更やレイアウト調整といったフロントエンド側のカスタマイズは比較的低コスト(50万円から200万円程度)で対応可能です。一方、業務ロジックに踏み込んだバックエンド側のカスタマイズ、たとえば複数倉庫からの出荷最適化ロジック、取引先の信用スコアに連動した与信自動審査、あるいは業界特有の計量単位やロット管理への対応などは、1機能あたり100万円から500万円程度の費用がかかります。これらのカスタマイズは、単に機能を追加するだけでなく、既存のデータモデルの変更やパフォーマンスチューニングを伴うことが多いため、パッケージのバージョンアップ時に互換性の問題が発生するリスクも含めて検討する必要があります。

さらに、UI/UXのカスタマイズもコストに影響を与えます。BtoB-ECサイトの利用者は業務として日常的にサイトを操作するため、操作効率の高いUI設計が求められます。たとえば、型番や品番による一括検索機能、CSVファイルでのまとめ注文機能、お気に入りリストからの再注文機能など、業務効率を高めるUI要素の設計・実装には、ユーザーリサーチやプロトタイピングの工程を含めて100万円から300万円程度の投資が必要です。こうしたUI/UXへの投資は一見するとコスト増に映りますが、取引先の利便性が向上することでEC経由の受注比率が高まり、社内のオペレーションコスト削減にもつながるため、中長期的にはリターンの大きい投資といえます。

基幹システム連携の有無

BtoB-ECサイトの開発費用において、基幹システム(ERP、販売管理システム、在庫管理システム、会計ソフトなど)との連携は、費用を大きく押し上げる要因のひとつです。実際のBtoB-ECプロジェクトにおいて、基幹システム連携が全体費用の30%から50%を占めるケースも少なくありません。連携の方式としては、リアルタイムAPI連携、バッチ連携(CSVやEDIファイルの定期的な送受信)、データベース直接連携の3パターンが主流です。

リアルタイムAPI連携は、ECサイトで受注が発生した瞬間に基幹システムへデータを送信し、在庫の引当や出荷指示を自動化する方式です。ユーザー体験の面では最も優れていますが、連携先のシステムにAPIが整備されていることが前提となり、開発費用は連携先1システムあたり100万円から400万円程度が相場です。SAP、Oracle EBS、奉行シリーズなどの主要ERPパッケージとの連携実績を持つ開発会社であれば、過去の知見を活かして効率的に開発を進められる可能性がありますが、独自開発の基幹システムとの連携は、API設計からの着手となるため工数が膨らむ傾向にあります。

バッチ連携は、一定間隔(たとえば1時間ごとや1日1回)でデータをファイル形式で送受信する方式であり、リアルタイム性は劣るものの、開発・運用コストを抑えられるメリットがあります。連携先1システムあたり50万円から200万円程度で実装可能であり、レガシーな基幹システムとの連携手段としては現実的な選択肢です。ただし、バッチ連携ではデータの整合性を担保するためのエラーハンドリングやリトライ処理、データ変換ロジックの設計が重要であり、この部分の実装品質がシステム全体の安定性を左右します。

基幹システム連携において見落とされがちなのが、データマイグレーション(既存データの移行)の費用です。既存の取引先マスタ、商品マスタ、価格テーブル、注文履歴などのデータをBtoB-ECサイトに移行する作業は、データのクレンジング(重複排除やフォーマット統一)を含めると100万円から500万円程度の費用がかかることがあります。特に、長年にわたって蓄積された取引データには表記揺れや欠損値が含まれていることが多く、単純なデータ投入では済まないケースがほとんどです。データマイグレーションの費用は見積もり段階で過小評価されやすいため、事前にデータの品質調査を行い、移行計画を具体化しておくことが重要です。

見積もりを取る際のポイント

BtoB通販ECサイト開発の見積もりのポイント

BtoB-ECサイト開発の見積もりを適切に取得し、費用対効果の高い発注を実現するためには、事前準備と比較検討のプロセスが非常に重要です。ここでは、要件の明確化から発注先の選定、そしてリスク対策まで、見積もり段階で押さえておくべきポイントを詳しく解説します。

要件明確化と仕様書の準備

BtoB-ECサイトの見積もり精度を高めるためには、RFP(提案依頼書)の作成を通じて要件を明文化しておくことが極めて重要です。RFPに含めるべき主な項目としては、プロジェクトの背景と目的、対象となる取引先の規模と数、取り扱い商品の種類と点数、現在の受発注フロー(AS-IS)と目指す姿(TO-BE)、必須機能と優先度、連携が必要な既存システムの一覧、想定スケジュール、予算の上限といった情報が挙げられます。これらの情報が具体的であればあるほど、開発会社は精度の高い見積もりを提示しやすくなります。

RFPの作成において特に意識すべきポイントは、機能要件だけでなく非機能要件も明記することです。たとえば、同時アクセス数の想定(ピーク時に何名程度が同時にサイトを利用するか)、レスポンスタイムの目標値(ページ表示が3秒以内など)、可用性の要件(99.9%のアップタイムを保証するかなど)、セキュリティ要件(ISO27001準拠、IPアドレス制限、WAF導入など)といった非機能要件は、インフラ構成やアーキテクチャ設計に直接影響を与えるため、見積もり金額にも大きく反映されます。非機能要件が曖昧なまま開発を進めると、後工程で大幅な設計変更が必要になり、追加費用が発生するリスクが高まります。

また、現状の業務フローを図や表で整理しておくことも、見積もり精度の向上に直結します。受発注プロセスの各ステップ、承認に関わる担当者の役職と人数、例外処理のパターン(返品・キャンセル・部分出荷への対応など)を文書化しておけば、開発会社が要件を正確に理解した上で工数を見積もることが可能になります。この準備に社内で1か月から2か月程度を費やすことは、プロジェクト全体の予算超過を防ぐための重要な投資と考えるべきです。

複数社比較と発注先の選び方

BtoB-ECサイトの開発費用は、発注先の規模や得意領域によって大きく異なるため、最低3社、できれば5社程度から見積もりを取得して比較検討することを推奨します。見積もり金額の比較に際しては、単に総額の大小だけで判断するのではなく、見積もりの内訳項目が十分に詳細化されているか、各工程の人月数が明示されているか、追加費用が発生する条件が明記されているかといった点を確認することが大切です。

発注先の選定においては、BtoB-EC開発の実績が豊富であることが最も重視すべき基準です。BtoBの商取引には、掛け売り、与信管理、承認フロー、取引先別価格設定など、BtoC-ECにはない独自の業務知識が求められるため、BtoC-ECの開発実績があってもBtoB-ECの経験がない会社では、要件の理解不足から手戻りが発生するリスクがあります。過去のBtoB-EC開発事例の提示を求め、可能であれば同業種での導入実績があるかどうかを確認してください。たとえば、製造業の部品通販サイトと食品卸のBtoB-ECサイトでは求められる業務知識が大きく異なるため、自社の業界に近い実績を持つ開発会社を選ぶことが、プロジェクトの成功確率を高めます。

契約形態も費用に影響する重要な要素です。開発会社との契約は、大きく分けて「請負契約」と「準委任契約」の2つがあります。請負契約は、あらかじめ定義された成果物を固定金額で納品する契約であり、予算の見通しが立てやすい反面、仕様変更への柔軟性が低くなります。準委任契約は、エンジニアの稼働時間に対して報酬を支払う形態であり、仕様変更に柔軟に対応できる一方、総額が事前に確定しにくいというデメリットがあります。BtoB-ECサイトの開発では、要件定義・設計フェーズを準委任契約で進め、実装フェーズに入ってから請負契約に切り替えるという二段階方式を採用する企業も増えています。この方式により、上流工程での柔軟性を確保しつつ、実装段階での費用コントロールを両立させることが可能です。

注意すべきリスクと対策

BtoB-ECサイトの開発プロジェクトにおいて、最も頻繁に発生するリスクは仕様変更による費用の増大です。開発着手後に「やはりこの機能も必要だった」「取引先からの要望でこの仕様を変更したい」といった追加・変更要求が発生するのは、ある意味では避けられないことですが、その頻度と影響範囲を最小限に抑えるための対策は講じておくべきです。具体的には、要件定義フェーズで取引先の代表的なユーザーにヒアリングを行い、実際の業務フローに即した要件を洗い出すこと、そしてプロトタイプやワイヤーフレームの段階で社内外のステークホルダーからフィードバックを得てから設計に着手することが有効です。仕様変更が発生した場合の費用負担や承認プロセスを、契約書の中で明確に定義しておくことも不可欠です。

もうひとつ注意すべきリスクは、見積もりに含まれていない「隠れたコスト」の存在です。BtoB-ECサイトの場合、初期開発費用に目が行きがちですが、実際にはランニングコストが長期的に大きな支出項目となります。サーバー・インフラ費用(月額5万円から50万円程度)、SSLサーバー証明書の更新費用、決済サービスの手数料、保守・運用費用(初期開発費用の15%から25%が年間目安)、セキュリティ監査費用、システムのバージョンアップ対応費用など、リリース後に継続的に発生するコストを初期段階から見積もりに含めておくことが重要です。3年間のTCO(総保有コスト)で比較すると、初期費用が安いSaaS型と初期費用が高いパッケージ型で総額が逆転するケースもあるため、初期費用だけでなくランニングコストを含めたトータルコストで判断することを推奨します。

開発会社の事業継続リスクについても事前に検討しておく必要があります。特に、中小規模の開発会社にフルスクラッチ開発を依頼する場合は、万が一その会社が事業撤退や倒産した場合にシステムの保守が継続できるかどうかを確認しておくべきです。対策としては、ソースコードの著作権を発注側に帰属させる契約条件を盛り込むこと、開発途中のソースコードをGitHubなどのリポジトリで共有してもらうこと、そしてシステムの設計書やAPI仕様書といったドキュメントを納品物に含めることが挙げられます。これにより、開発会社を変更する必要が生じた場合でも、別のベンダーへの引き継ぎをスムーズに行うことが可能になります。

まとめ

BtoB通販ECサイト開発の費用まとめ

BtoB通販・ECサイトの開発費用は、ASP/SaaS型を活用したシンプルな構成で50万円から300万円、パッケージ型をベースにしたカスタマイズ開発で300万円から2,000万円、フルスクラッチでの大規模構築で2,000万円から1億円以上と、開発手法と規模によって非常に大きな幅があります。費用の内訳を機能単位で見ると、商品カタログ・検索機能に80万円から300万円、取引先別の価格・与信管理に150万円から500万円、受注・承認ワークフローに100万円から300万円、帳票出力に80万円から400万円、基幹システム連携に1システムあたり50万円から400万円といった金額感が目安です。さらに、初期開発費用の15%から25%程度が年間の保守・運用コストとして継続的に発生する点も見逃せません。

費用対効果の高いBtoB-ECサイトを構築するためには、RFPの準備を通じた要件の明確化、最低3社以上からの見積もり比較、BtoB-EC開発実績に基づく発注先選定が重要です。また、仕様変更による追加費用やランニングコストの増大といったリスクに対しても、契約段階で対策を講じておくことがプロジェクトの成否を分けます。BtoB-ECサイトは一度構築して終わりではなく、取引先の要望や市場環境の変化に応じて継続的に機能を拡張していくものです。初期の投資判断にあたっては、目先の開発費用だけでなく、3年から5年のトータルコストとビジネスへの貢献度を総合的に評価し、自社の事業成長を支える最適な開発パートナーを選定することが成功への鍵となります。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

 

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