レガシーシステムの更改は、多くの企業にとって経営上の最重要課題のひとつです。経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」が現実のものとなった今、古い技術基盤を抱えたまま事業継続するリスクは年々高まっており、DX推進の観点からも避けては通れない取り組みとなっています。しかし、数億円から数十億円規模になることも珍しくない大型投資であるため、「どのベンダーに依頼すべきか」「失敗しない選定基準とは何か」という問いに悩む担当者は少なくありません。
この記事では、レガシーシステム更改を依頼できる開発会社・ベンダー6社を厳選して紹介するとともに、SIerの分類と特徴、RFP作成時の予算提示の駆け引き術、ベンダーロックインを防ぐ契約のポイントまで、発注前に知っておくべき実践的な知識をすべて網羅しています。パートナー選定で失敗したくない方は、ぜひ最後までご一読ください。
本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・レガシーシステム更改の完全ガイド
レガシーシステム更改を依頼できる会社の種類と選び方

レガシーシステム更改のパートナー選定において最初に理解しておくべきことは、ひとくちに「SIer」といっても、その出自や強み・弱みは大きく異なるという点です。自社の課題に合った会社の「種類」を把握することが、失敗しないパートナー選定の第一歩となります。
SIerの5つの分類とレガシー更改時の強み・弱み
SIerは成り立ちによって大きく5つに分類されます。第一の「メーカー系SIer」は、富士通・NEC・日立製作所などハードウェアメーカーが母体となった会社群です。自社製品との連携に強く、インフラからアプリケーションまで一貫した対応が可能な一方、独自技術への依存度が高くベンダーロックインが起きやすい傾向があります。第二の「ユーザー系SIer」は、特定業界の大企業(銀行・商社・メーカーなど)が情報子会社として設立したSIerです。親会社業界の業務知識が深く、同業他社の基幹系更改で強みを発揮しますが、他業界の案件では経験が限定的になることがあります。
第三の「独立系SIer」は、特定の親会社を持たず、多様な顧客・業界に対応してきた会社群で、TISや大塚商会などが代表例です。業界横断的な知見と柔軟な提案力が強みで、特定ベンダー製品への縛りも少ないため、マルチベンダー環境でのレガシー更改に向いています。第四の「外資系SIer」は、IBMやアクセンチュアなど欧米の大手テクノロジー企業の日本法人です。グローバルのメソドロジーと最先端技術力を持ち、大規模刷新プロジェクトで実績豊富な一方、費用が高額になりやすく、担当コンサルタントの入れ替わりも激しい面があります。第五の「コンサル系SIer」は、経営戦略コンサルとITの両方を担う会社群です。上流から下流まで一気通貫で関与でき、ビジネス視点での要件整理が得意ですが、実装フェーズは提携開発会社に委託するケースが多く、現場レベルの技術力には差があります。
自社の課題タイプ別|最適なパートナーの選び方
課題の性質によって選ぶべきパートナーの種類は異なります。「COBOLで書かれた基幹系をJavaに移行したい」という技術的マイグレーション案件では、移行ツールや変換ノウハウを持つ独立系SIerやメーカー系SIerが強みを発揮します。「業務プロセスの再設計も含めてシステムを刷新したい」という業務改革型案件では、業務知識と技術力の双方を持つコンサル系や、業界特化のユーザー系SIerが適しています。「複数の古いシステムをERP等に統合したい」というアーキテクチャ再編型案件では、外資系SIerやパッケージ製品に強い独立系が有力候補となります。
また、自社内にIT人材が少なく「丸投げ」に近い形で依頼せざるを得ない企業の場合は、PMO支援まで含めて一気通貫で対応できる会社を選ぶことが重要です。一方、自社内にある程度の技術力があるなら、特定フェーズだけを外部に委託する「部分発注」で費用を抑えることも有効な選択肢です。自社の課題を明確化した上で、各タイプの特徴と照らし合わせながらパートナーを絞り込みましょう。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。レガシーシステムの更改においては、現行業務の棚卸しから要件定義、新システムの設計・開発・導入後の定着支援まで、ワンストップで依頼できる点が大きな魅力です。
特徴と強み
riplaの最大の特徴は、「IT事業会社」としての自社DX経験を持っていることです。多くのSIerが「外から設計する」立場であるのに対し、riplaは自ら事業を運営しながらシステムを内製・改善してきた経験があります。この経験が、「現場でどんな問題が起きるか」「どのタイミングでどんな機能が必要になるか」というユーザー視点での提案力に直結しています。レガシーシステム更改において陥りがちな「技術的には正しいが現場に定着しないシステム」を作らないための知見が、ripla最大の競争優位です。
また、コンサルティングフェーズから同じチームが開発まで担当するため、要件定義の内容が開発に正確に引き継がれます。「上流コンサルと開発ベンダーが別」という体制でよく発生する情報ロスや責任の押し付け合いが起きにくい構造になっており、プロジェクト全体を通じてオーナーシップを持って関与してもらえる点は、レガシー更改のような複雑なプロジェクトで特に心強いポイントです。
得意領域・実績
riplaは、営業管理・顧客管理・生産管理・販売管理といった基幹系システムの更改・新規構築に豊富な実績を持っています。特に、スクラッチで作られた古い基幹システムをモダンなWebアプリケーションやクラウド基盤に移行するプロジェクトでの支援経験が豊富で、業務の棚卸しと新システム設計を同時並行で進める独自のアプローチが高く評価されています。中堅・中小企業から上場企業まで幅広い規模の企業への支援実績があり、予算規模に応じたスコープ調整にも柔軟に対応できます。
公式サイト:https://ripla.co.jp
株式会社NTTデータ|国内最大規模の実績と生成AIを活用した刷新力

NTTデータは、NTTグループの中核を担う大手SIerで、売上規模・従業員数ともに国内最大級の独立系SIerです。金融・公共・製造・流通など幅広い業界での大規模システム開発・運用実績を持ち、特に金融機関の勘定系や官公庁の基幹系といった超大型レガシーシステムの更改において圧倒的な実績を誇ります。平均年収は923万円(有価証券報告書ベース)と業界でも上位水準にあり、高度な専門人材を多数抱えていることが提案・実行品質の高さにつながっています。
特徴と強み
NTTデータの最大の強みは、「N字開発モデル」と呼ばれるレガシー更改に特化した独自の開発手法です。従来のV字モデルに「IT企画」と「仕様復元」の工程を加えたこの手法は、設計書が失われているブラックボックス化したシステムでも、現行仕様を確実に復元した上で更改を進めることができます。特に、長年にわたって改修が繰り返されてきたCOBOL資産の移行において、このアプローチは他社との大きな差別化要因となっています。
さらに近年は、生成AIを活用してCOBOLコードの仕様を自動解析し、設計書の欠落をAIが補完するソリューションの提供も開始しており、ドキュメント整備コストの大幅削減が期待できます。グローバルにも展開しており、海外拠点を持つ企業の国際的なシステム統合案件にも対応可能です。
得意領域・実績
金融機関の勘定系システム更改、官公庁・自治体の基幹業務システム刷新、製造業の生産管理システム再構築など、業種・規模を問わない幅広い実績があります。国内でも指折りの大規模プロジェクト経験を持ち、数百億円規模の超大型案件にも対応できる組織力と体制を備えています。特に「設計書が存在しない」「仕様が口伝になっている」といった難易度の高いレガシー更改において、業界内でも有数の成功実績を有しています。
公式サイト:https://www.nttdata.com/jp/ja/
富士通株式会社|「攻めのモダナイゼーション」と500名体制の専門組織

富士通はメーカー系SIerの代表格であり、半世紀以上にわたって日本の基幹系システムを支えてきた実績を持ちます。2024年時点でメインフレームユーザー320社、UNIXサーバーユーザー640社を抱えており、自社製品のユーザーに対するレガシー更改支援では圧倒的な対応力を持っています。同社のモダナイゼーション事業は前期比67%増の成長を見せており(2024年度見込み2,680億円)、全社を挙げた戦略領域として位置づけられています。平均年収は929万円(有価証券報告書ベース)と高水準を維持しており、優秀な人材確保と提案品質の維持に貢献しています。
特徴と強み
富士通の特徴は、「攻めのモダナイゼーション」を掲げ、単なるシステム移行にとどまらず、移行後のビジネス成長を見据えた刷新戦略を提案できる点です。2024年4月には「モダナイマイスター」制度を新設し、2026年に500名体制を確立する計画を推進中で、モダナイゼーション専門の人材育成に業界に先駆けて取り組んでいます。自社開発の自動化サービス「Fujitsu PROGRESSION」はグローバルで50社以上のメインフレーム移行実績を持ち、移行コストと工数の大幅削減を実現します。
AWS等の主要クラウドベンダーとの協業関係も構築しており、オンプレミスの基幹系をクラウドネイティブなアーキテクチャへと刷新する案件でも強みを発揮します。富士通製品ユーザーであれば、現行システムの内部構造を熟知したエンジニアが担当するため、仕様の把握・移行計画の精度が他社に比べて高くなる傾向があります。
得意領域・実績
製造業でのメインフレーム移行(36ヶ月・約20億円規模)、金融業での保守ビジネス刷新(48ヶ月・60億円超)など、大規模移行プロジェクトでの豊富な実績を持ちます。特に製造業・金融業・流通業での基幹系更改における対応実績が豊富で、業種横断的なモダナイゼーションのノウハウを持つ点が高く評価されています。富士通製メインフレームやUNIXサーバーからの移行を検討している企業にとっては、最有力候補のひとつとなります。
公式サイト:https://www.fujitsu.com/jp/
TIS株式会社|「Xenlon~神龍」特許技術で高品質なリライト移行を実現

TIS株式会社はTISインテックグループの中核を担う独立系SIerで、金融・製造・流通・公共など幅広い業界でのシステム開発・運用実績を持ちます。特にレガシーシステムのモダナイゼーション分野では業界内で高い評価を受けており、独自のリライトマイグレーションサービス「Xenlon~神龍」は複数の特許技術を保有する注目のサービスです。TISインテックグループの中期経営計画(2024〜2026年)においても、モダナイゼーション事業は産業IT・金融ITにおける成長ドライバーとして明確に位置づけられています。
特徴と強み
TISの最大の強みは、リライトマイグレーション専用サービス「Xenlon~神龍」の技術力の高さです。このサービスは単なるコード変換にとどまらず、移行後のJava環境での長期的な保守性を担保することを前提に設計されており、性能・保守性・拡張性の3点を同時に最適化する6つの特許技術を核としています。国内外のパートナーを含む500名超のXenlon経験者を抱える開発リソースは、大規模かつ長期にわたるレガシー更改プロジェクトでの計画遂行力を支えています。
独立系SIerならではの特定ベンダー製品への依存のなさも重要なメリットです。特定のハードウェアやOSに縛られることなく、AWSやAzure、GCPといったマルチクラウド環境への移行を前提とした提案が可能で、長期的なコスト最適化という観点でも顧客に有利な選択肢を提示できます。
得意領域・実績
金融機関の勘定系・チャネル系システムのリライト、製造業の生産管理系COBOLシステムのJava化、流通業の基幹系オープン化など、技術難易度の高いマイグレーション案件で豊富な実績を持ちます。「Xenlon~神龍」で経験を積んだ人材が多数在籍しており、プロジェクト品質の均一化と高水準維持に強みがあります。PowerCOBOLのWebアプリケーション移行にも対応しており、古い開発ツールで構築された資産のモダナイゼーションにも対応範囲を広げています。
公式サイト:https://www.tis.jp/
株式会社日立ソリューションズ|ITモダナイゼーションセンターを核とした段階的移行支援

株式会社日立ソリューションズは、日立製作所グループのITソリューション会社として、エンタープライズ領域での豊富な実績を持つメーカー系SIerです。「ITモダナイゼーション支援ソリューション」を体系的に整備しており、保守コスト増加・製品サポート終了・技術者不足といったレガシーシステム特有の課題に対して、体系的かつ段階的なアプローチで解決策を提供します。日立製作所グループ全体の技術基盤を活用できる点も、同社ならではの強みとなっています。
特徴と強み
日立ソリューションズの特徴は、「ITモダナイゼーションセンター」という専任組織を設置し、マイクロソフト製品のサポート終了を起点としたWindows・Azureへの移行を中心に、体系的なサービスメニューを整備していることです。アプリケーションのモダナイゼーション、運用のモダナイゼーション、データベース移行、ジョブスケジューラ移行など、基幹システムを構成するすべての要素に対応したソリューションが揃っており、「どの部分から手を付ければいいかわからない」という企業にとって、現状診断から始められる導入しやすさが魅力です。
「ビジネスソリューション on Microsoft Azure」を軸とした4つのカテゴリー(ビジネスアプリケーション・アプリケーション開発支援・マイグレーションサービス・マネージドサービス)の体系的なサービス提供体制により、移行後の運用安定化まで一貫したサポートを受けられます。日立製作所グループが抱える平均年収935万円(有価証券報告書ベース)という高水準も、優秀な人材の確保・維持を示す指標です。
得意領域・実績
Windows ServerやSQL Serverなどのマイクロソフト製品からAzureへの移行案件を中心に、オンプレミス基幹系のクラウド移行実績が豊富です。製造・流通・サービス業を中心とした中堅〜大企業への対応実績が多く、サポート終了製品を使い続けるリスクを解消したい企業にとって信頼性の高い選択肢です。「4つのステップ(調査・設計・パイロット・本格移行)」という段階的な移行アプローチは、リスクを最小化しながら確実に移行を進めたい組織に適しています。
公式サイト:https://www.hitachi-solutions.co.jp/
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)|独自サービス「re:Modern」でレガシー資産を最適化

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、伊藤忠商事グループのITサービス会社として、ユーザー系SIerの強みを活かしながら幅広い業界のシステム開発・インフラ構築を手掛けてきた企業です。2025年10月には独自のレガシーシステムモダナイゼーションサービス「re:Modern」の提供を開始しており、現行レガシー資産の最適な活用方法の分析から、実際の移行・刷新まで体系的な支援メニューを揃えています。伊藤忠グループのネットワークを活かした、幅広い業界知見と豊富なパートナーシップが強みです。
特徴と強み
CTCは、「re:Modern」サービスにおいて、既存レガシー資産の棚卸しと評価から始まるアセスメントサービスを核に据えています。「どのシステムをいつまでに、どの方式で刷新すべきか」という優先度・方式の整理を丁寧に行い、段階的かつリスクを最小化した移行計画の策定を支援する点が特徴です。インフラ・クラウド・アプリケーションの各領域に強みを持ち、特定技術スタックに依存しない幅広い選択肢から最適解を提案できる中立性が、同社の大きな訴求点となっています。
また、CTCは国内外の主要クラウドプロバイダーやソフトウェアベンダーとの強固なパートナーシップを持っており、最新テクノロジーの導入において他社より早い段階での実証実験・提案が可能です。ITインフラの構築・運用保守においても長年の実績があり、移行後の安定運用まで継続的にサポートする体制が整っています。
得意領域・実績
製造・流通・金融・エネルギーなど多業種にわたるITインフラ構築・移行実績を持ちます。オンプレミスからクラウドへのリフト&シフト、アプリケーションのリアーキテクチャ、コンタクトセンターのDX化など、ITシステム全般にわたる幅広いサービスラインナップが強みです。特に大手商社・製造業グループ会社での基幹系更改では、業界固有の業務知識と技術力を組み合わせた高い提案品質が評価されています。
公式サイト:https://www.ctc-g.co.jp/
失敗しないベンダー選定の実践テクニック

ベンダー選定は単なる「価格比較」ではありません。特にレガシーシステム更改のような大規模・長期プロジェクトでは、技術力・実績・財務健全性・プロジェクト管理体制など、多面的な評価軸で検討することが、後悔のない選定につながります。ここでは、発注担当者が知っておくべき実践的な選定テクニックを3つ解説します。
RFPにおける予算提示の駆け引き術
RFP(提案依頼書)を作成する際、発注側が陥りやすいミスのひとつが「予算上限を明記してしまうこと」です。予算を提示すると、ほとんどのベンダーはその金額を基準に見積もりを作成するため、結果として提示した上限額に収束した見積もりが複数社から集まるという状況になりがちです。これでは適正価格かどうかを判断する比較軸が失われてしまいます。
有効な対応策は、「予算は非提示で複数社に提案させ、見積もりを出した後に予算感を調整する」という順序で進めることです。具体的には、スコープ(機能要件・非機能要件)を明確にしたRFPを作成し、予算の記載は省略した上で5社程度に提案を依頼します。集まった見積もりの中央値から市場相場を把握し、そこから自社予算との折り合いをつける交渉を行います。この方法によって、発注側が適正価格の感覚を持った上で交渉に臨めるため、値引き交渉でも主導権を握りやすくなります。予算感が全くない場合は「参考予算帯」として「〇〇円〜〇〇円程度を想定」という形で幅を持たせて伝えることも有効です。
スコアリング評価+定性評価の併用法
ベンダー選定では、定量評価(スコアリング)と定性評価の両方を組み合わせることが重要です。スコアリング評価では、①技術力・実績(30点)、②プロジェクト管理体制(25点)、③価格妥当性(20点)、④サポート体制(15点)、⑤財務健全性(10点)といった配点を事前に定め、複数の評価者が独立してスコアをつけ、集計した上で比較します。この作業によって、「なんとなく印象が良かった」という主観バイアスを排除し、客観的な根拠に基づく選定ができます。
一方、定性評価として重要なのが「キーパーソンの質」の見極めです。提案時に登壇したコンサルタントが実際にプロジェクトに関与するのか、それとも提案専任の担当者で実際の作業は別チームが行うのかを確認することが欠かせません。「提案のメンバーが実際のプロジェクトにも参加します」という約束を取り付けること、理想的には担当予定者の職歴・過去プロジェクト経験を開示してもらうことが、実行品質を担保するための実践的な手段です。
TDB評点の見方と与信チェックポイント
レガシーシステム更改は3〜5年、場合によっては10年近くにわたる長期プロジェクトになることがあります。プロジェクト途中でベンダーが経営不振に陥ったり、M&Aによって体制が一変したりするリスクを事前に評価することが欠かせません。そのための有効なツールが、帝国データバンク(TDB)の企業信用調査報告書に記載される「評点」です。
TDB評点は100点満点で、一般的に60点以上を優良企業、50点台を標準的な企業、40点台以下を注意が必要な企業として目安とします。非上場のベンダーや中堅規模のSIerに依頼する場合は特に、契約前にTDB調査報告書を取得して財務状況・代表者の経歴・取引実績などを確認することを推奨します。また、上場企業であれば有価証券報告書や決算短信から自己資本比率・フリーキャッシュフロー・借入金依存度を確認することも有効です。与信チェックは「信用しないから行う」ではなく、長期的なパートナーシップの健全性を担保するための標準的なデューデリジェンスとして位置づけることが重要です。
ベンダーロックインを防ぐ契約時の注意点

レガシーシステム更改において、多くの企業が陥りやすい落とし穴のひとつが「ベンダーロックイン」です。更改後も同一ベンダーへの依存が続くことで、保守費用の高止まり・機能追加の遅延・他社への乗り換え困難という問題が繰り返されます。更改プロジェクト開始前の契約交渉の段階で、これを防ぐための条項を盛り込むことが不可欠です。
データ所有権・SLA・契約形態の取り決め
契約書に必ず盛り込むべき重要事項の第一は「データ所有権の明確化」です。クラウド型のサービスやSaaSベースのシステムを採用する場合、データがどこに保管され、誰が所有権を持つのか、契約終了時にデータをどの形式で返却・エクスポートできるかを明記する必要があります。「契約終了後30日以内に指定のフォーマットでデータを返却する」という条項は必須と考えてください。
第二は「SLA(サービスレベル合意)」の具体化です。「99.9%以上の稼働率を保証する」という一般的な表現では不十分で、稼働率の計測方法・計測対象時間帯・ペナルティの発生条件・ペナルティ金額・例外条件(計画停止など)を具体的に定義します。第三は「契約形態の選択」です。準委任契約は成果物ではなくSEの稼働時間に対する報酬契約のため、品質基準が曖昧になりがちです。レガシー更改の開発フェーズでは請負契約を基本とし、上流の要件定義フェーズのみ準委任にするという分け方が、発注側の権利を守る上で有利です。ただし、仕様が不明確なまま請負にすることで多額の追加費用が発生するリスクもあるため、要件定義を丁寧に行った上で移行することが前提です。
脱ベンダーロックインの具体的ステップ
レガシーシステム更改後のベンダーロックインを防ぐためには、技術選定の段階からオープン標準・オープンソースを優先することが重要です。特定ベンダー独自の技術(独自言語・独自フレームワーク・独自データ形式)を採用すると、後から別のベンダーに保守を委託しようとしても、移行コストが膨大になり事実上の乗り換えが不可能になります。技術選定の際は「5年後に別ベンダーに保守委託できるか」という基準で評価することをお勧めします。
次のステップとして「ドキュメントの充実」が挙げられます。更改後のシステムについて、設計書・API仕様書・データモデル・インフラ構成図などを納品物として契約に明記し、納品後に自社が保管・管理できる状態にすることが必要です。「ソースコードと設計書は全て発注者に帰属する」という知的財産権に関する条項も忘れずに盛り込んでください。さらに、本番移行後の最初の1〜2年で、保守担当者を少なくとも2名以上確保し、内製化の可否も含めた中長期の保守戦略を策定することが、ベンダー依存から脱却するための実践的なロードマップとなります。
まとめ

この記事では、レガシーシステム更改を依頼できるおすすめ会社6選と、失敗しないベンダー選定のための実践知識を解説しました。SIerの5分類(メーカー系・ユーザー系・独立系・外資系・コンサル系)をそれぞれの強み・弱みとともに把握し、自社の課題タイプに最適なパートナーを絞り込むことが選定の第一歩です。今回紹介した6社はそれぞれ異なる特徴を持ちます。コンサルから開発まで一気通貫で柔軟に対応できるripla、国内最大規模の実績と生成AI活用で難度の高い更改を担うNTTデータ、「攻めのモダナイゼーション」と500名体制で挑む富士通、6つの特許技術を持つリライトサービスが強みのTIS、段階的移行で安全性を重視する日立ソリューションズ、独自サービス「re:Modern」でレガシー資産の最適化を支援するCTCと、案件の性質・規模・業種によって最適な選択肢は異なります。
加えて、RFPでの予算非提示戦略・スコアリング評価と定性評価の併用・TDB評点を活用した与信チェック・ベンダーロックインを防ぐ契約条項の整備という4つの実践テクニックを組み合わせることで、選定精度と交渉力を大幅に高めることができます。レガシーシステムの更改は企業のIT基盤を根本から変える重要な投資です。この記事を参考に、信頼できるパートナーとともに確実に移行を成功させてください。
本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・レガシーシステム更改の完全ガイド
株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また「Boxシリーズ」による、受発注管理・在庫管理・配送管理・業務システム・生成AI・SaaS・マッチングサイト・EC・アプリ・LINEミニアプリなどの標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」を活用することで、低コスト・短期間でのスクラッチ開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
