基幹システムの老朽化は、多くの企業が直面する深刻な経営課題です。COBOLで書かれたメインフレームシステム、30年以上稼働し続ける汎用機、保守担当者の高齢化とともに属人化が進む古いJavaシステム——こうしたレガシーシステムの刷新(リアーキテクチャ・モダナイゼーション)は、企業のDX推進において避けて通れない取り組みとなっています。しかし、「どの会社に依頼すべきか」「失敗しないための判断基準は何か」と悩んでいるCTO・CIO・基幹システム担当者の方も多いのではないでしょうか。
レガシーシステムのリアーキテクチャは、単なる技術移行ではありません。COBOLやメインフレームに蓄積された暗黙知の継承、段階的な並行稼働の設計、移行後の組織内定着——これら全てを総合的に支援できるパートナーを選ぶことが、プロジェクトの成否を決定します。本記事では、レガシーシステムリアーキテクチャの実績を持つおすすめ開発会社・ベンダー6社を厳選し、それぞれの強みと選び方のポイントを詳しく解説します。
本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・レガシーシステムリアーキテクチャの完全ガイド
レガシーシステムリアーキテクチャのパートナー選びの重要性

適切なパートナー選定が成否を分ける理由
レガシーシステムのリアーキテクチャは、通常のシステム開発プロジェクトとは性格が大きく異なります。最大の難しさは「既存資産の解読」にあります。COBOLで書かれた10メガステップ規模のシステム、ジョブ制御言語(JCL)、長年にわたって積み重ねられた業務ロジック——これらを正確に理解し、現代的なアーキテクチャに移し替えるには、レガシー技術に対する深い専門知識が不可欠です。
また、基幹システムの刷新は「止められない」というプレッシャーの中で行われます。製造、販売、物流、人事・給与——業務の根幹を担うシステムが停止すれば、事業継続に直接影響します。そのため、移行期間中の並行稼働設計や段階的なカットオーバー計画を適切に策定できるベンダーでなければ、移行リスクを適切にコントロールすることができません。さらに、移行後の組織内への定着支援(リスキリング)を含めた包括的なパートナーシップを提供できるかどうかも、長期的な視点では極めて重要な選定基準となります。
発注前に確認すべきポイント
ベンダー選定に入る前に、以下の5つのポイントを確認しておくことが重要です。第一に、COBOL・メインフレームの経験者を自社(または協力会社)で確保しているかどうかです。外部のSES頼みで経験者がいないベンダーは、移行期間中に大きなリスクを抱えます。第二に、AI活用型のコード解析ツールを保有しているかどうかです。属人化した暗黙知の解読を自動化できるベンダーは、期間と品質の両面で優位に立てます。
第三に、段階的移行(フェーズドマイグレーション)の実績があるかどうかです。一括移行はリスクが高く、現実的には段階的な移行を伴走できるかが問われます。第四に、移行後の保守・運用体制まで一貫して支援できるかどうかです。移行しただけで終わりではなく、定着までを見据えたパートナーシップが必要です。第五に、リスキリング支援を提供できるかどうかです。モダナイゼーション後に社内のエンジニアが新しいシステムを自走できるよう、技術教育まで含めた支援を行えるベンダーを選ぶことで、長期的なコスト削減につながります。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

特徴と強み
riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
riplaの最大の特徴は、「IT事業会社として自社でDXを実践してきた」という実体験に基づくコンサルティング力です。レガシーシステムのリアーキテクチャにおいても、技術的な移行作業だけでなく、業務プロセスの見直しや組織変革まで含めた包括的な支援を提供します。大手SIerにありがちな「技術だけ」のアプローチではなく、ビジネス成果に直結する提案を強みとしています。
得意領域・実績
riplaは、基幹システムの構築・刷新において豊富な実績を有しています。特に、既存システムの現状分析から要件定義、設計・開発、テスト、導入後のフォローアップまでを一貫して担えるのが強みです。規模の大小を問わず、企業の業務実態に合わせたシステムリアーキテクチャを提案・実行できる柔軟性があります。コンサルタントとエンジニアが同一チームで動くため、ビジネス要件と技術要件の乖離が生じにくく、プロジェクトの品質と速度を両立できます。また、移行後の社内定着まで伴走するスタンスは、「移行完了=プロジェクト終了」ではなく「事業に貢献し続けるシステム」を目指す企業にとって心強いパートナーとなります。
TIS株式会社|独自ツール「Xenlon~神龍」で大規模COBOLをJavaへリライト

特徴と強み
TIS株式会社は、独自開発のリライトツール「Xenlon~神龍 Migrator」を活用したモダナイゼーションサービスで高い評価を得ています。このツールは、COBOLやPL/IなどのレガシープログラムをJavaへほぼ100%の変換率で自動変換する能力を持ち、変換後のコードの正確性・性能・保守性を担保します。単純なコード変換にとどまらず、数々の大規模システムのリライト経験を基にした知見が、プロジェクト全体の品質を支えています。
特筆すべきは、メインフレームで稼働するCOBOLシステムをJavaにリライトし、オープン環境へ移行するという最難関の領域での豊富な実績です。大規模プロジェクトでの成功経験を持つTISは、10メガステップを超えるシステムの移行においても、期間・コスト・品質をバランスよくコントロールできる体制を整えています。
得意領域・実績
TISの代表的な実績として、住宅金融支援機構の約10メガステップ・20,000本のジョブ制御言語を含む大規模システムのJavaリライトが挙げられます。また、パナソニックグループのCOBOL人事システムを7カ月でJavaへ移行し、移行後も業務トラブルゼロでの稼働を実現しました。2025年にはJAL(日本航空)のマイレージ関連データ連携システムの脱メインフレームを8カ月で完遂するなど、金融・製造・航空など多様な業界での実績を積み重ねています。PowerCOBOLのWebアプリケーション移行にも対応しており、対応言語・環境の幅広さも強みです。
アクセンチュア株式会社|国内最大級のCOBOL変換実績とグローバル知見

特徴と強み
アクセンチュアは、グローバルのモダナイゼーション知見と日本市場への深い理解を融合させた支援が特徴です。日本のモダナイゼーション部門は約400名の技術者を擁し、メインフレームの技術に精通したエンジニアを多く抱えています。日本企業特有のレガシーシステム(多種多様なメインフレーム、複数のレガシー言語が混在する環境)を深く理解した上での最適なツール選定と移行戦略の策定が強みです。
また、アクセンチュアはAWSをはじめとするクラウドプラットフォームとの連携も強く、メインフレームからクラウドへの移行を一気通貫で支援できます。「Two-Way(二刀流)ソリューション」と称するアプローチにより、レガシー脱却とDX推進を同時に実現する方法論を体系化しています。MaaS(Modernization as a Service)型のパートナーシップを指向しており、単発プロジェクトではなく継続的なモダナイゼーション支援を提供する点が大規模・長期プロジェクトに向いています。
得意領域・実績
アクセンチュアの代表実績として、三菱重工業の調達システム刷新プロジェクトが挙げられます。このプロジェクトは1,500万ステップ・4.5万本のCOBOL資産をJavaへ変換するという、国内最大級の規模を誇るものでした。また、金融機関の基幹系レガシーシステム刷新においても豊富な知見を持ち、NCS&A社との協業体制のもと要員・ノウハウを共有しながらプロジェクトを推進します。COBOL・PL/I・アセンブラなど多様なレガシー言語への対応実績と、AWS・Azure・GCPといったマルチクラウド対応力は、アクセンチュアの大きな差別化要因です。
野村総合研究所(NRI)|AIリライト・AIリドキュメントで暗黙知を可視化

特徴と強み
野村総合研究所(NRI)は、2024年11月にモダナイゼーションコンサルティングサービスを正式に開始し、日本企業のレガシーシステム問題に正面から取り組む体制を整えました。NRI最大の特徴は、独自開発の生成AI技術を活用したモダナイゼーション支援にあります。複雑化したシステムのデータフローやワークフローを半自動的に可視化する「AIリドキュメント」と、COBOLをJavaに半自動的に変換する「AIリライト」という2つの独自技術により、レガシーシステム特有の「暗黙知」の解読と移行を効率化します。
NRIが開発した「EAモダナイゼーションフレームワーク」は、現状分析から将来設計までを体系的に整理する方法論です。長年にわたってSIとコンサルティングの両方を手がけてきたNRIの知見が、このフレームワークには凝縮されています。特に、COBOL技術者の高齢化によって失われつつある「暗黙知」を、AI技術によって文書化・可視化する能力は、他のベンダーにない強みといえます。2025年3月には「現行可視化・影響分析サービス」も提供開始し、移行前の現行システム理解を加速するサービスラインを拡充しています。
得意領域・実績
NRIは金融・製造・流通など幅広い業界の大手日本企業に対してSIおよびコンサルティングを提供してきた実績があります。特に、金融機関の基幹システムはNRIが長年にわたって開発・保守を担ってきた領域であり、レガシーシステムの内部構造に関する深い理解を持っています。コンサルティングからシステム開発、保守運用まで一貫して担える体制を持ち、モダナイゼーション後の継続的な改善サポートも提供します。AIを活用した現行システムの可視化・影響分析は、移行計画を正確に策定したいCTO・CIOにとって特に有用なサービスです。
日立ソリューションズ株式会社|段階的モダナイゼーションと5つのプラクティス

特徴と強み
日立ソリューションズは、メインフレームからオープン化、オンプレミスからクラウド化、クラウドからクラウドネイティブ化まで、現行システムの特性と問題点に応じた段階的なITモダナイゼーションを強みとしています。特徴的なのは、「資産の棚卸」→「移行方式設計」→「パイロット移行」→「本番移行」→「テスト」という段階的アプローチです。この方法論により、大規模かつリスクの高い一括移行を避け、企業が安心して移行を進められる体制を整えています。
日立ソリューションズが独自にまとめた「5つのプラクティス」は、数多くの日本企業のITモダナイゼーションを手がけてきた経験から導き出された成功のカギです。COBOL・Javaなど複数の言語への幅広い対応力と、日立グループが持つ豊富なハードウェア・インフラ知識を組み合わせた提案ができる点も強みです。移行後のデータ利活用支援まで伴走する姿勢も、DX全体を見据えた企業には心強い要素です。
得意領域・実績
日立ソリューションズは1970年代から稼働するメインフレームのマイグレーション案件にも対応しており、企業の「2030年問題」(老朽化システムの保守延命期限)に向けた計画的な移行支援を得意としています。製造・流通・公共など多様な業界での実績を持ち、特にCOBOLシステムとJavaシステムの両方に精通した技術者を自社内で確保している点は、外部委託リスクを最小化する観点から評価できます。並行稼働期間中のシステム監視・運用支援にも強く、「止められない」基幹システムの移行に必要な体制を整えている点が、製造業や金融業からの信頼を集めています。
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)|生成AIで属人化を解消するre:Modern

特徴と強み
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、2025年10月に独自のレガシーコードモダナイゼーションサービス「re:Modern」を提供開始しました。このサービスの最大の特徴は、生成AIを活用したソースコード解析とコメント自動生成機能にあります。生成AIが既存の設計書やソースコードを解析し、処理内容を理解した上で変換後のコードに適切なコメントを自動付与するため、COBOLの専門知識がない開発者でもレガシーシステムの動作を理解できるようになります。
この仕組みは、COBOL担当者の高齢化・退職によって失われがちな「特定の担当者しか理解できないソースコード」の属人化を根本から解消するアプローチです。移行後の保守担当者が新しいシステムを自走できるよう設計されており、技術的負債を将来に持ち越さないことを重視しています。要件定義から変換作業、運用後の保守対応、トレーニング・ドキュメント整備まで一気通貫で支援する伴走型のスタイルも、CTC「re:Modern」の差別化ポイントです。
得意領域・実績
伊藤忠テクノソリューションズは、長年にわたって日本の大手企業のITシステム構築・運用を担ってきた実績を持つ大手SIerです。「re:Modern」では現在COBOLからJavaへの変換を主力としていますが、今後はPL/I・RPG・PL/SQLなどの他のレガシー言語への対応拡充も計画されています。また、Node.jsをはじめとするクラウドに適したモダン言語への対応も視野に入れており、将来的な拡張性の高さが特徴です。移行後のエンジニアへのトレーニングや、変換ルールの理解促進・レビュー手法の習得支援など、リスキリング支援を重視した包括的なサービス設計は、社内の技術力底上げを目指す企業に特にお勧めできます。
パートナー選びのポイント

レガシー技術の内製化とAIツール活用で見極める
パートナーを選定する際、最初に確認すべきは「COBOL・メインフレームの経験者を自社内で確保しているかどうか」です。外部のSES(システムエンジニアリングサービス)に依存しているベンダーは、経験者の確保に不確実性が伴い、プロジェクト途中での要員交代リスクが高まります。一方、自社内に経験豊富なエンジニアを抱えるベンダーは、暗黙知の継承や品質管理においてより高い信頼性を提供できます。
次に重要なのは、AI活用型のコード解析ツールを保有しているかどうかです。生成AIを活用した自動変換・自動コメント付与・影響分析ツールを持つベンダーは、従来の手作業に比べて大幅に短い期間と低いコストで移行を実現できます。ツールの有無だけでなく、そのツールがどの言語・環境に対応しているかも事前に確認しましょう。
並行稼働・段階的移行への対応力と移行後のリスキリング支援
基幹システムの移行において、「過渡期の並行稼働をどう設計するか」は最大のリスク管理ポイントです。新旧システムの並行稼働期間中には、データの整合性確認・業務フローの二重管理・障害時の切り戻し計画など、高度な調整が必要となります。段階的移行(フェーズドマイグレーション)の設計と実行に豊富な経験を持つベンダーを選ぶことが、移行失敗リスクを最小化するために不可欠です。提案段階でPoC(概念実証)を無料または低コストで実施できるかどうかを確認するのも有効な判断材料です。
また、移行が完了した後の「リスキリング支援」を提供できるかどうかも重要な選定基準です。新しいシステムに移行しても、社内のエンジニアが使いこなせなければDXの目標は達成されません。トレーニングプログラム・ドキュメント整備・継続的な技術サポートまでを含めた包括的なパートナーシップを提供できるベンダーを選ぶことで、モダナイゼーション後の組織内定着が加速します。「移行完了まで」ではなく「定着・内製化」まで伴走してくれるかどうかを、必ず提案段階で確認してください。
まとめ
本記事では、レガシーシステムリアーキテクチャ・モダナイゼーションにおすすめの開発会社・ベンダー6社を紹介しました。各社の特徴を改めて整理すると、以下のように分類できます。
まず、株式会社riplaは、コンサルから開発・定着支援まで一気通貫で対応できる柔軟性と、ビジネス成果にコミットする姿勢が特徴です。大手SIerでは対応しにくい規模感や、ビジネス要件と技術要件を同時に解決したい企業に特に向いています。TIS株式会社は、独自ツール「Xenlon~神龍」による高精度なCOBOL→Javaリライトと、住宅金融支援機構・パナソニック・JALなど大規模プロジェクトの成功実績が強みです。
アクセンチュアは、約400名のモダナイゼーション技術者と三菱重工業(1,500万ステップ)をはじめとする国内最大級の実績、そしてグローバルのDX知見を活かしたMaaS型パートナーシップが特徴です。野村総合研究所(NRI)は、生成AIを活用した「AIリドキュメント」「AIリライト」による暗黙知の可視化と、長年にわたる金融・大手企業向けSIの実績が差別化要因です。日立ソリューションズは、段階的移行の方法論と「5つのプラクティス」による移行リスク管理、並行稼働期間の充実したサポートが強みです。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、生成AIによる属人化解消とリスキリング支援を組み合わせた「re:Modern」の独自性が光ります。
レガシーシステムのリアーキテクチャは、一度失敗すると取り返しのつかないリスクを伴うプロジェクトです。自社のシステム規模・業界特性・移行後の体制方針に合わせて、最適なパートナーを慎重に選定してください。まずはPoC(概念実証)や現状診断から着手し、ベンダーの対応力を実際に確かめることをお勧めします。
本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・レガシーシステムリアーキテクチャの完全ガイド
株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また「Boxシリーズ」による、受発注管理・在庫管理・配送管理・業務システム・生成AI・SaaS・マッチングサイト・EC・アプリ・LINEミニアプリなどの標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」を活用することで、低コスト・短期間でのスクラッチ開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
