長年使い続けてきた基幹システムが老朽化し、「2025年の崖」や保守コストの増大、COBOL技術者の高齢化といった課題に直面している企業は少なくありません。経済産業省のDXレポートでも指摘されている通り、レガシーシステムを放置した場合、年間最大12兆円の経済損失が発生すると試算されており、刷新は喫緊の経営課題になっています。
しかしレガシーシステム刷新は、単なるシステム入れ替えではなく、業務プロセスの再設計やデータ移行、現行システムの解析など、極めて難易度の高いプロジェクトです。パートナー選びを誤ると、スルガ銀行と日本IBMの95億円訴訟のように、プロジェクトが白紙撤回されるケースも発生しています。本記事ではレガシーシステム刷新でおすすめの開発会社6社と、選定時に押さえるべきポイントを実務視点で解説します。
本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・レガシーシステム刷新の完全ガイド
レガシーシステム刷新パートナー選びの重要性

レガシーシステム刷新は、新規開発プロジェクトとは根本的に異なる難しさを抱えています。現行システムのブラックボックス化、当時の開発者不在、ドキュメント未整備といった制約のなかで、業務を止めずに刷新を進める必要があるためです。
だからこそ、発注先となる開発会社の選定は、プロジェクト成否を分ける最重要ファクターと言えます。ここではパートナー選びが重要な理由と、発注前に必ず確認しておきたいポイントを整理します。
適切なパートナー選定が成否を分ける理由
レガシーシステム刷新プロジェクトの失敗事例として、スルガ銀行と日本IBMが繰り広げた次期勘定系システム「Corebank」の法廷闘争がよく引き合いに出されます。95億円の投資が白紙撤回され、双方が責任を追及し合う事態にまで発展しました。
また2025年2月にはNHKと日本IBMの訴訟も発生しており、「100%の機能移行は非現実的だった」という論点が浮上しています。こうした事例が示すのは、レガシー刷新では現行機能の棚卸しや移行方針の合意形成が極めて重要であり、経験豊富なパートナーがいなければ容易に頓挫するという事実です。
逆に成功事例に目を向けると、キングジムが基幹システム刷新時に複数ベンダーから最も高額な「JQ社」を選定したエピソードが示唆的です。同社は旧システムの全構成を洗い出すことを最初から明言したベンダーを選択し、結果として移行を成功させました。値段ではなく、現行分析への真摯な姿勢で選んだことが成否を分けた好例と言えます。
発注前に確認すべきポイント
発注前にまず確認すべきは、そのベンダーがどの系譜に属しているかという点です。SIerはメーカー系・ユーザー系・独立系・コンサル系・外資系に大別され、それぞれ強みが異なります。自社の要件にマッチした系譜の会社を選ぶことが、最初の失敗回避策になります。
次に押さえたいのは、同業種・同規模の導入実績です。製造業・金融業・流通業など、業種特有の業務要件に精通したベンダーであれば、要件定義フェーズでの手戻りを大幅に減らせます。また初期費用の安さだけで選ぶことや、大手の知名度を鵜呑みにすることは、典型的な失敗パターンとして避けるべきです。
さらに、RFP(提案依頼書)を綿密に作成し、複数ベンダーへ同一条件で提案依頼する比較プロセスも欠かせません。提案内容・費用・体制・サポート範囲を横並びで比較することで、自社に本当にフィットするパートナーが見えてきます。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

株式会社riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。
営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。レガシーシステムの刷新では、単にシステムを新しくするだけでなく、業務プロセスの再設計とセットで進めることが成功のカギになるため、riplaの一気通貫支援スタイルが特に相性の良い領域です。
特徴と強み
riplaの最大の特徴は、コンサルティングと開発の両輪を一社で提供できる点にあります。レガシー刷新では「何を残し、何を捨て、何を新規に作るか」という判断が最難関ですが、riplaは業務ヒアリングから現状分析、To-Be設計、開発、定着支援まで一貫して伴走します。
また、自社でIT事業を運営してきたからこそ分かる「開発後に起きる運用課題」を踏まえた設計が可能です。ドキュメント整備や社内浸透のための勉強会実施など、運用定着まで視野に入れたサポートが強みになっています。
得意領域・実績
得意領域は、営業管理・顧客管理・生産管理・販売管理といった企業の基幹業務システムです。業種を問わず、業務の現場が抱える課題に対して最適なシステム形態を提案します。
特にスクラッチ開発・クラウドERP導入・既存システムからの段階的移行など、複数のアプローチを柔軟に選択できる点は、レガシー刷新で評価されています。「いきなり全面刷新はリスクが高い」という企業に対し、業務影響を抑えた段階的なマイグレーション計画を提案できるのもriplaの強みです。
TIS株式会社|COBOL→Java自動変換「Xenlon〜神龍」

TIS株式会社は、ITホールディングス傘下の大手独立系SIerです。金融・製造・流通など幅広い業界に対し、メインフレームからオープン環境への移行を長年支援してきた実績を持っています。
特にレガシー刷新領域では、独自の自動変換ソリューション「Xenlon〜神龍」が業界で高く評価されています。COBOLからJavaへの変換を自動化することで、移行期間とコストを大幅に削減できるのが特徴です。
特徴と強み
TISの強みは、独自開発のマイグレーションツール群と、数千人規模のエンジニア体制を併せ持つ点にあります。「Xenlon〜神龍」は、COBOL資産をJavaへ自動変換する過程で、構造の整理とロジックの可読性向上も実現する設計になっています。
また、移行期間と費用を従来手法と比べて約50%短縮できることを公表しており、短期間で大規模な刷新を行いたい企業に適しています。金融系を中心としたミッションクリティカル案件の経験が豊富で、業務停止が許されない基幹系刷新で信頼性を発揮します。
得意領域・実績
代表的な実績としてはJFEスチールのオープン化案件があります。3,400万ステップという巨大規模のCOBOLプログラムを、29カ月という期間でオープン環境へ移行した実績を持ち、大規模レガシー刷新のリファレンス事例として業界で語られています。
このほか、金融機関の勘定系・情報系システム、製造業のMES/生産管理系、流通業のPOSや物流基盤など、幅広い業種で刷新プロジェクトを手掛けています。国産メインフレームから外資系メインフレームまで、様々なソース環境に対応できる点も強みです。
株式会社FPTジャパンホールディングス|オフショア×メインフレーム人材

株式会社FPTジャパンホールディングスは、ベトナム最大手IT企業FPTコーポレーションの日本法人です。オフショア開発の強みと、稀少なメインフレーム技術者層を併せ持つ点で、日本のレガシー刷新市場で独自のポジションを築いています。
国内でCOBOLやPL/I技術者の高齢化・引退が進むなか、若手エンジニアを体系的に育成しているFPTジャパンは、人材確保の観点からも注目度が高まっています。
特徴と強み
最大の特徴は、ベトナム現地に設立した「COBOLアカデミー」です。ここから3,000名超のメインフレームエンジニアを育成・輩出しており、日本企業のレガシー刷新やマイグレーション案件に安定的に投入できる体制を構築しています。
また、オフショア活用により単価を抑えながらも、日本品質のプロジェクトマネジメントを担保する仕組みを持っています。日本人PM・BrSEがブリッジ役を担い、コミュニケーションロスを抑えるのが同社の開発スタイルです。
得意領域・実績
得意領域はメインフレームからオープン系・クラウドへのマイグレーション、およびCOBOL資産の解析・再構築です。金融・保険・公共系を中心に、大規模なレガシー刷新プロジェクトを多数手掛けてきました。
日本のユーザー系SIerと組んで大規模案件にパートナーとして参画するケースも多く、エンジニア供給力に強みがあります。「社内にCOBOL経験者が残っていない」「EOSを控えた大量のステップを短期間で移行したい」といった悩みを抱える企業にとって、頼れる選択肢となるでしょう。
株式会社ソフトロード|独自AI変換で納期短縮

株式会社ソフトロードは、レガシーマイグレーション専門の独立系SIerです。COBOL・PL/I・RPG・C言語など多様なレガシー言語に対応できる点と、独自開発のAI変換ツールで納期短縮を実現する点が強みです。
ブラックボックス化した現行システムに対しても、AI解析と熟練エンジニアの手作業を組み合わせたハイブリッドアプローチで対応できる体制を持っています。
特徴と強み
ソフトロードの独自AI変換サービスは、従来のマイグレーション手法と比較して、移行期間を1/2〜2/3に短縮できる点が大きな特徴です。プログラムの構造解析・変換・テストケース生成をAIで自動化し、エンジニアは判断が必要な部分に集中します。
特に、仕様書が残っていない・当時の開発者が不在といった「ブラックボックス化案件」に対する対応力は、専門SIerならではと言えます。AIでロジックを抽出し、人の目で検証する二段構えのフローで、品質を担保しながら短納期を実現しています。
得意領域・実績
得意領域は、メインフレームからオープン・クラウドへのマイグレーションおよびリホスト・リライト・リビルドのトータルサポートです。中堅〜大手企業の基幹系刷新を中心に、多くのプロジェクト実績があります。
特に「仕様書がない、現行担当者もいない、EOSが迫っている」といった厳しい条件下でのレスキュー案件に強みを発揮します。短納期と品質の両立を求められる局面で、AIを前提にした体系的なアプローチが選ばれています。
株式会社オービック|独立系SIerの高収益モデル

株式会社オービックは、国内を代表する独立系SIerのひとつで、統合ERPソリューション「OBIC7」を中核に、企業の基幹システム刷新を支援する企業です。営業利益率44%という業界随一の高収益体質で知られ、継続的な投資によってERP機能を拡充しています。
会計・人事給与・販売・生産など基幹業務を広くカバーする統合ERPと、コンサルから保守まで一貫で提供する直販モデルが大きな特徴です。
特徴と強み
オービックの強みは、ERP刷新において、提案・導入・保守までを一貫して自社で担う直販体制にあります。代理店を経由しないため、コミュニケーションがシンプルになり、顧客要望が迅速に反映されやすい構造です。
また、OBIC7は業種別テンプレートが豊富に整備されており、製造業・卸売業・サービス業など、業態に応じた標準機能をベースに、カスタマイズを最小限に抑えた刷新が可能です。Fit to Standardの方針で進めやすく、過剰カスタマイズによるレガシー化を防げる点も評価されています。
得意領域・実績
得意領域は、スクラッチ開発された老朽化基幹システムから、統合ERPへ刷新するプロジェクトです。中堅企業から大手企業まで、累計2万社以上の導入実績を持っています。
長年スクラッチで作り込んできた販売・生産管理システムをERPに寄せていきたい企業、あるいは業務標準化を機にパッケージへ集約したい企業にとって、オービックは有力な候補となります。保守フェーズでも自社エンジニアが対応するため、長期にわたる安定運用を重視する企業に向いています。
株式会社NTTデータ|大規模メインフレーム移行の実績

株式会社NTTデータは、国内最大手のSIerとして、金融・公共・法人向けに広範な基幹システム構築を手掛ける企業です。メインフレームから分散・クラウドへのマイグレーションにおいて、日本でトップクラスの実績を積み上げています。
特に金融機関の勘定系・銀行間ネットワーク(全銀ネット)など、社会インフラ級のシステム刷新を担ってきた経験は、他のSIerが容易に代替できない資産です。
特徴と強み
NTTデータは、大規模プロジェクトマネジメントと多重下請けのリソース配分力に長けたSIerです。数百人〜数千人規模のプロジェクトを統括できる体制を持ち、大手企業・官公庁のミッションクリティカル案件で力を発揮します。
また、自社のクラウド基盤「OpenCanvas」や、マイグレーションツール群を持っており、刷新から運用まで自社で完結させられます。可用性やセキュリティ要件が極めて高いシステムにおいても、豊富な標準化ノウハウで対応可能です。
得意領域・実績
得意領域は、金融機関の勘定系・情報系、公共系の大型基幹、通信事業者の業務系など、社会インフラ級のレガシー刷新です。メガバンク・地方銀行をはじめ、多数の金融機関でオープン化・クラウド化プロジェクトを手掛けています。
安定性が最重要視される領域で、複数年にわたる大規模プロジェクトを確実に完遂させる実行力は同社の最大の強みです。ただし、中堅企業向けに小回りの利くマイグレーションを求めるケースでは、別SIerやパートナーとの組み合わせを検討する視点も必要になります。
レガシーシステム刷新パートナー選びのポイント

ここまで6社の特徴を紹介してきましたが、どのベンダーが自社に合うかを判断するには、選定の軸を明確にしておくことが重要です。ここでは失敗しないために必ず押さえておきたい3つのポイントを解説します。
同業種・同規模の導入実績を確認する
最も重要な選定軸が、自社と同じ業種・同規模の導入実績があるかどうかです。製造業のMES刷新と金融機関の勘定系刷新では、求められる技術スキル・業務知識・品質基準が全く異なります。
「業界大手だから安心」と一括りにせず、自社と似た業種・規模・システム形態の事例を複数確認しましょう。案件規模が極端に大きすぎるベンダーでは、中堅企業の要望には「過剰品質・過剰コスト」になる恐れがあります。逆に、小規模案件しか経験のないベンダーに大規模刷新を任せるのも危険です。
リファレンスチェック(過去クライアント直接確認)を実施する
提案書やWebサイトの実績は、どうしても成功事例に偏りがちです。実際にそのベンダーとプロジェクトを遂行した過去クライアントに、直接ヒアリングする「リファレンスチェック」を実施することをおすすめします。
確認すべきポイントは、納期遵守状況、トラブル発生時の対応、PM・エンジニアの実力、追加費用の発生頻度などです。「同じSIerをもう一度選びますか?」という質問は、本音を引き出すのに特に有効です。
ベンダー側は通常、紹介可能なクライアントのリストを持っています。遠慮せずにリクエストし、できれば複数社・複数業種の意見を集めましょう。この一手間が、数千万〜数十億円規模の投資リスクを大きく下げます。
プロジェクト管理体制とSLAを確認する
レガシー刷新では、プロジェクトが数年単位におよぶことも珍しくありません。長期プロジェクトを成功させるには、PMの力量とプロジェクト管理プロセスの成熟度が不可欠です。
提案時には「どのような進捗管理手法を採用しているか」「リスク管理表の運用実績」「課題管理ツールとレポート頻度」を具体的に確認しましょう。また、運用フェーズにおけるSLA(稼働率・障害対応時間・改修対応期間など)も、契約前に数値レベルで握っておくことが重要です。
曖昧な合意のまま進めてしまうと、稼働後のトラブル対応をめぐって紛争化するリスクが高まります。スルガ銀行やNHKの事例のように、責任範囲が明確でないと最悪は訴訟に発展するため、契約書レベルで詳細を取り決めておきましょう。
まとめ

レガシーシステム刷新は「2025年の崖」問題や保守コスト増大、人材の枯渇など、避けて通れない経営課題です。本記事では、タイプの異なる6社(ripla、TIS、FPTジャパン、ソフトロード、オービック、NTTデータ)を紹介しました。
それぞれ、一気通貫支援、独自自動変換ツール、オフショア×メインフレーム人材、AI変換、統合ERP、大規模案件実績と、得意領域が大きく異なります。自社の業種・規模・刷新方針(リホスト/リライト/リビルド/リプレース)に応じて、最適な組み合わせを検討してください。
選定の際は、同業種・同規模実績の確認、リファレンスチェック、プロジェクト管理体制とSLAの精査の3点を必ず実施しましょう。業務変革とシステム刷新を両輪で進めたい場合は、コンサルと開発を一気通貫で伴走できる株式会社riplaへの相談もご検討ください。貴社の状況に合わせた最適なアプローチをご提案いたします。
▼全体ガイドの記事
・レガシーシステム刷新の完全ガイド
株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また「Boxシリーズ」による、受発注管理・在庫管理・配送管理・業務システム・生成AI・SaaS・マッチングサイト・EC・アプリ・LINEミニアプリなどの標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」を活用することで、低コスト・短期間でのスクラッチ開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
