サーバーの老朽化やクラウド移行、拠点拡大に伴うネットワーク再構築など、ITインフラの見直しが必要になっても、要件定義から構成設計、負荷検証、移行までを一貫して任せられる相手を社内だけで見つけるのは容易ではありません。情報システム部門は日々の運用対応に追われ、経営層は投資対効果を気にし、現場は「今のシステムが止まらないか」を不安視します。こうしたサーバー・ネットワークからオンプレミスとクラウドを組み合わせた基盤まで、ITインフラそのものの設計・構築・最適化を専門的に支援するコンサルティングがインフラコンサルです。
本記事では、インフラコンサルの基本的な考え方と特徴、標準的な進め方の仕組み、提供される主な支援内容、導入目的、IT戦略コンサルやクラウドコンサルとの違いを順に解説します。インフラコンサルという言葉を初めて調べている担当者の方でも、自社にどのような支援が必要なのかを判断できるよう、実際のプロジェクトの流れに沿って整理します。
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・インフラコンサルの完全ガイド
インフラコンサルとは何か?全体像と特徴

インフラコンサルは、特定のクラウドベンダーやハードウェアメーカーの製品を売り込む立場ではなく、サーバー、ネットワーク、ストレージ、セキュリティ機器といったITインフラの構成要素をどう組み合わせるべきかという技術的な意思決定そのものを支援する専門家です。自社にインフラ刷新の経験が少ない状態で複数のクラウドやハードウェアの提案を受けても、性能や料金の説明力だけで判断が引っ張られがちです。インフラコンサルは、現状のシステム構成とトラフィックの特性を可視化し、可用性・拡張性・コストのバランスを踏まえた設計案を提示したうえで、構築から移行までを技術的に伴走します。
対象範囲はサーバー・ネットワークからハイブリッド構成まで技術レイヤー全体です
インフラコンサルが扱う範囲は、単一のサーバー増強にとどまりません。ネットワーク構成、データセンターやクラウドリージョン・アベイラビリティゾーン(AZ)の選定、可用性・冗長化設計、セキュリティインフラ、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド構成まで、インフラを構成するあらゆる技術要素を対象とします。自社が既にクラウドを利用していても、オンプレミス環境を残していても、両者を跨いだ全体設計として捉える点が特徴です。
特定のクラウドサービスへの移行だけを目的とするのではなく、「どこにどのワークロードを置くのが自社にとって最適か」という配置そのものから検討することも少なくありません。基幹システムは可用性要件の高いオンプレミスに残し、負荷変動の大きいWebフロントはクラウドの自動スケーリングに任せるといった判断は、インフラ全体を俯瞰できる立場でなければ下しにくい意思決定です。
IT戦略コンサルやクラウドコンサルとは立ち位置が異なります
混同されやすい言葉に、IT戦略コンサルとクラウドコンサルがあります。IT戦略コンサルは、情報システム部門が主体となって中期IT計画やIT投資計画、ITガバナンス体制を策定する、経営・情シス視点の上位レイヤーの支援です。一方、クラウドコンサルは、クラウドへの移行やクラウドネイティブ化そのものに特化した支援を指すことが一般的です。
これに対してインフラコンサルは、オンプレミスも含むITインフラ基盤全般を対象とする技術専門領域という立ち位置になります。中期計画の策定そのものや、クラウド移行の意思決定そのものではなく、その計画や移行を技術的にどう実現するかという設計・構築のレイヤーを担う点が、他の2つのコンサルティングとの大きな違いです。
インフラコンサルが扱う技術領域

インフラコンサルの技術領域は、大きくサーバー・ネットワークの構成設計と、可用性・セキュリティの設計に分けられます。どちらも一度決めて終わりではなく、事業の成長やトラフィックの変化に合わせて見直しが必要になる点が共通しています。
サーバー設計とネットワーク構成設計を一体で検討します
サーバー設計では、想定するアクセス数や処理負荷から、必要なスペックとサーバー台数、スケールアップとスケールアウトのどちらを基本方針にするかを決めます。ネットワーク構成設計では、拠点間の接続方式、社内ネットワークとクラウド環境をつなぐVPNや専用線の選定、セグメント分割によるアクセス制御などを検討します。データセンターやクラウドのリージョン・AZをどこに置くかも、災害時の事業継続や通信遅延に直結するため、この段階で合わせて判断します。
クラウドとオンプレミスを併用するハイブリッド構成では、双方の接続点をどこに置き、どちらのデータを正とするかという設計も必要になります。オンプレミス感覚のままクラウド側にも同等のスペックを確保しようとすると、余剰な処理能力を抱えたまま運用コストだけが膨らむこともあるため、実際のトラフィックパターンに基づいた設計が求められます。
可用性・冗長化設計とセキュリティインフラを組み合わせます
可用性・冗長化設計では、複数のAZにまたがってサーバーを配置するマルチAZ構成や、障害発生時に自動的に処理を切り替えるフェイルオーバーの仕組みを検討します。どこまでの障害に耐える設計にするかは、止まった際の事業インパクトと、冗長化にかけられる費用のバランスで決まるため、業務側と技術側の双方から要件をすり合わせる必要があります。
セキュリティインフラでは、ファイアウォールや侵入検知の仕組み、通信の暗号化、アクセス権限の最小化などを、ネットワーク構成やサーバー設計と矛盾しない形で組み込みます。セキュリティ対策を後から追加すると、既存の構成に手戻りが生じやすいため、設計の初期段階から前提条件として織り込んでおくことが望まれます。
インフラコンサルの標準的な進め方

インフラコンサルの一般的な進め方は、ヒアリングから要件定義、設計、検証、構築、試験、移行までを順に積み上げる流れです。段階を飛ばして構築に着手すると、後工程で仕様の食い違いが表面化しやすくなります。
ヒアリングから要件定義・設計書作成までを丁寧に行います
最初のヒアリング・提案フェーズでは、現行システムの構成、想定される利用者数、将来の拡張計画、予算感などを確認します。続く要件定義書作成のフェーズでは、可用性やセキュリティに関する非機能要件を数値や条件として明文化し、関係者の間で認識をそろえます。そのうえで、ネットワーク構成、データセンターやリージョン・AZの選定、サーバー設計などを盛り込んだ設計書を作成します。ここまでの工程に全体工数の2〜3割程度を充てることで、後工程での手戻りを防ぎやすくなるという考え方が実務ではよく参照されます。
事前検証・環境構築・試験を経て移行支援まで伴走します
設計が固まった後は、事前検証・負荷検証のフェーズでPoC環境を用意し、想定した構成が実際に性能要件を満たすかを確認します。特にデータ移行を伴う場合は、通信帯域の見積もりが甘いと移行時の遅延につながるため、ピーク時のトラフィックを想定した精緻な検証が求められます。検証を経て問題がなければ環境構築へ進み、フェイルオーバー試験などの結果をまとめた試験報告書を提出したうえで、本番システムの移行支援へと移ります。
移行支援では、切り替え当日の手順書作成やリハーサル、万一の際の切り戻し手順の準備までを含めることが一般的です。移行後も一定期間は稼働状況を注視し、想定外の挙動がないかを確認したうえで、通常の運用体制へ引き継ぎます。
インフラコンサルが提供する主な支援内容

提供される支援の中身は事業者によって幅がありますが、大きく分けると、設計・構想に関わるドキュメント作成の支援と、実際の検証・試験に関わる実務支援があります。自社に不足している工程がどちらかを見極めることが、依頼範囲を決めるうえでの出発点になります。
構成設計書・アーキテクチャ図の作成を支援します
ネットワーク構成図、サーバー構成図、データフロー図といったアーキテクチャドキュメントの作成は、インフラコンサルの中心的な成果物のひとつです。これらのドキュメントは、構築を担当するエンジニアだけでなく、監査やセキュリティ点検の場面でも参照されるため、専門用語に頼りすぎず、非エンジニアの担当者にも読み解ける粒度でまとめられているかを確認する価値があります。
負荷検証・フェイルオーバー試験の実施を支援します
設計書上は問題がなくても、実際に負荷をかけてみると想定と異なる挙動が見つかることは珍しくありません。負荷検証では、想定ピーク時のアクセスを模擬的に発生させ、応答時間やリソース使用率を確認します。フェイルオーバー試験では、意図的にサーバーやネットワーク経路を切り離し、想定した経路へ処理が自動的に切り替わるかを確認します。こうした検証を第三者の視点で設計・実施できることも、インフラコンサルに依頼する価値のひとつです。
導入目的と期待できる効果

インフラコンサルを導入する目的は、単に構築作業を外注することだけではありません。手戻りのリスクを抑え、運用コストを適正化し、将来の拡張にも耐えられる基盤を最初から見据えて設計することにあります。
要件定義段階の手戻りを防ぎ開発フェーズの手戻りコストを避けます
インフラの構築が始まってから非機能要件の見落としに気づくと、設計のやり直しだけでなく、既に投入した構築工数の一部も無駄になります。要件定義段階での修正に比べ、構築段階以降での修正は対応コストが大きく膨らみやすいという経験則は、インフラ領域でも広く共有されています。第三者の視点で要件を整理し、抜け漏れを事前に洗い出すことは、この手戻りリスクを抑えるうえで直接的な効果があります。
オーバースペックを避け中長期のTCOを適正化します
クラウドは物理的なメンテナンスこそ不要になりますが、パッチ適用や監視対応にかかる人件費は残るため、5年程度のTCOで見ると初期の開発費と同等以上になることも珍しくありません。オンプレミス感覚のままクラウド上でも余裕を持たせたスペックを確保すると、従量課金の従量部分が積み上がり、想定以上のランニングコストにつながります。インフラコンサルは、実際の利用パターンに基づいた適正なスペックを見極め、初期費用だけでなく運用フェーズまで含めた総保有コストの観点から設計を提案します。
他のコンサル・支援サービスとの違い

インフラコンサルは、IT戦略コンサル、クラウドコンサル、SIerによる受託開発と役割が重なって見えることがあります。ただし、それぞれが担う工程と専門性の重心は異なります。
IT戦略コンサルとは計画レイヤーと技術レイヤーという違いがあります
IT戦略コンサルは、中期IT計画やIT投資計画、ガバナンス体制の構築といった経営・情シス視点の意思決定を支援します。一方、インフラコンサルは、その計画で示された方向性を、実際にどのサーバー構成・ネットワーク構成で実現するかという技術的な実装計画を担います。中期計画そのものに不安がある場合はIT戦略コンサル、計画は固まっているが技術的な実現方法に不安がある場合はインフラコンサルというように、抱えている課題のレイヤーで使い分けます。
クラウドコンサル・SIerとは対象範囲の広さが異なります
クラウドコンサルは、クラウドへの移行やクラウドネイティブ化そのものに特化した支援であることが一般的です。インフラコンサルは、そのクラウド部分も含みつつ、オンプレミスや両者を組み合わせたハイブリッド構成まで対象に含む、より広い技術範囲を扱います。また、特定パッケージや自社サービスの導入を前提とするSIerの提案とは異なり、複数の選択肢を比較したうえで最適な構成を検討できるかどうかも、依頼先を見極めるポイントになります。自社に合う依頼先を具体的に比較したい場合は、インフラコンサルの選定ポイントで評価軸を解説していますので、あわせてご確認ください。
インフラコンサル導入前に確認しておきたいポイント

インフラコンサルを導入するかどうかは、サーバーの台数や予算だけで決まるものではありません。自社が今どのフェーズでつまずいているのか、どこまでを内製で担い、どこから外部の専門知見を借りるのかを整理することで、依頼範囲や費用感の見通しを立てやすくなります。
自社に不足しているのは設計フェーズか実務フェーズかを見極めます
社内に構築作業を担える人員はいても、非機能要件を数値化して設計に落とし込む経験が乏しい場合は、要件定義・設計フェーズの支援が優先度の高い依頼範囲になります。反対に、設計方針は固まっているが負荷検証やフェイルオーバー試験の実施経験がない場合は、検証・構築フェーズに絞って依頼する選択肢もあります。
オンプレミスとクラウドのどちらを軸にするかを事前にすり合わせます
依頼先によっては、特定のクラウドサービスへの移行提案に偏りやすい事業者も存在します。自社としてオンプレミスを維持する事情があるのか、全面的なクラウド移行を志向しているのか、あるいはハイブリッド構成を前提とするのかを事前に整理し、依頼先の提案がその前提と矛盾していないかを確認することが重要です。
費用感は規模に応じて大きく変わることを前提に見積もりを取ります
検証環境や単一のWebサーバー環境の構築であれば数十万円程度で収まることもある一方、複数拠点を持つ基幹システムのハイブリッド構成や大規模プラットフォームの刷新になると、費用は数百万円から数千万円規模まで大きく変動します。自社の規模感を伝えないまま相場感だけを聞いても実態とかけ離れた見積もりになりやすいため、想定するシステム規模と可用性要件を具体的に提示したうえで見積もりを依頼することが大切です。
まとめ

インフラコンサルは、サーバー・ネットワークからオンプレミスとクラウドを組み合わせた基盤まで、ITインフラそのものの設計・構築・最適化を専門的に支援するコンサルティングです。ヒアリングから要件定義、設計、検証、構築、試験、移行までを一貫して伴走し、手戻りのリスクを抑えながら、中長期の運用コストまで見据えた基盤づくりを支援します。
インフラコンサルは技術レイヤーの意思決定を支える存在です
IT戦略コンサルが描く中期計画や、クラウドコンサルが提案する移行方針を、実際に動く構成として形にするのがインフラコンサルの役割です。計画と実装の間にギャップが生まれないよう、早い段階から技術的な実現可能性を確認しておくことが、プロジェクト全体の手戻りを防ぐことにつながります。
現状のインフラ構成を棚卸しすることから始めます
まずは、現在のサーバー・ネットワーク構成のどこに老朽化やボトルネックがあるのか、可用性要件をどこまで満たせているのかを棚卸ししてください。課題が明確になれば、依頼すべき支援範囲と、社内で対応できる範囲の線引きがしやすくなります。標準的なクラウド構成やパッケージ的な支援では吸収しきれない独自要件が多い場合は、既存システムとの連携を含めたフルスクラッチ開発も選択肢になります。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、インフラ設計の検討段階からの要件整理や、既存システムと連携するインフラ構築を支援しています。
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・インフラコンサルの完全ガイド
株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
