ERPコンサルの選定ポイント/選び方/種類

ERPコンサルには、パッケージ選定とベンダー比較に特化した会社、導入プロジェクトへ常駐してマネジメントを担う会社、選定から定着化まで一気通貫で伴走する会社があります。知名度や提案書の分かりやすさだけで依頼先を決めると、実際のプロジェクトで必要な体制と合わず、選定後にあらためて別の会社へPMOを依頼し直すことにもなりかねません。選定の出発点は、自社がいまどの工程で誰の支援を必要としているかを明らかにすることです。

本記事では、ERPコンサルの3つの種類、依頼前に自社課題を整理する方法、依頼先を比較する7つの評価軸、独立系・SIer系・会計事務所系ファームの選び分け、RFP作成とコンペ・PoCの進め方を解説します。これから依頼先を探す担当者の方が、比較の観点をそろえ、自社に合う2〜3社まで具体的に絞り込める内容です。

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ERPコンサル依頼前に整理すべき自社の課題

ERPコンサル依頼前の課題診断

最初に行うべきことは、コンサルティング会社の一覧を集めることではなく、パッケージ選定・要件定義・ベンダー交渉・導入プロジェクト管理のどこに不足感やリスクがあるかを特定することです。課題を一文で説明できれば、比較対象に含めるべき会社のタイプと、依頼する必要のない範囲が見えやすくなります。

候補選定に迷っているのか、推進管理に不安があるのかを分けます

複数のERPパッケージ・ベンダーの提案内容を横並びで比較できていない場合は、選定支援そのものが課題です。一方、選定はある程度進んでいるものの、社内に導入プロジェクトを推進できる人材がおらず、ベンダーとのやり取りやスケジュール管理に不安がある場合は、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)機能の不足が課題です。この二つを混同したまま依頼先を探すと、選定支援を得意とする会社にPMO常駐を依頼してしまうなど、期待とのずれが生じやすくなります。

課題の切り分けには、社内の担当者に「いま止まっている作業は何か」を具体的に挙げてもらう方法が有効です。「候補パッケージの機能差が資料だけでは判断できない」であれば選定支援、「ベンダーが決まった後のスケジュールと予算をどう管理すればよいか分からない」であればPMO支援というように、止まっている作業の性質から必要な支援の種類が見えてきます。両方が同時に不足している場合は、後述する伴走フルサポート型を検討する余地があります。

経営層と現場の意見対立を第三者が調整できるかを確認します

経営層がコストと期間の短縮を優先し、現場が現行業務の継続を優先するという対立は、ERP選定プロジェクトでよく見られる構図です。この対立が続くと、パッケージ選定そのものより前に、社内合意形成が停滞します。ERPコンサルに何を期待するかを考えるときは、機能比較の技術力だけでなく、経営層と現場それぞれに説明し、シミュレーションや影響範囲の提示を通じて合意形成を進められる調整力を持っているかどうかも重要な観点になります。

ERPコンサルの3つの種類

ERPコンサルの3つの種類

主な種類は、選定支援特化型、PMO常駐型、選定から定着化までを担う伴走フルサポート型の3つです。実際の会社は複数の特徴を併せ持つため、分類名よりも、自社が最優先する工程をその会社が主戦場としているかを確認します。

選定支援特化型

現状アセスメント、評価基準の確立、RFP作成、ベンダー比較、Fit&Gap分析までを主戦場とするタイプです。選定完了後の導入実装やPMOは、ベンダーやSIerに引き継ぐ前提で契約するケースが多く、比較的短期(4〜7ヶ月程度)で契約が完了する傾向があります。まだどのパッケージにするかが決まっていない企業や、複数ベンダーの提案を客観的に評価したい企業に向いています。

PMO常駐型と伴走フルサポート型

PMO常駐型は、パッケージ選定が済んだあとの導入プロジェクトに常駐し、ベンダーやSIerとの調整、進捗・リスク管理、経営層への報告を担います。すでに選定を終えた企業や、社内にプロジェクトマネジメントの経験者が少ない企業に向いています。伴走フルサポート型は、現状アセスメントからPMO、定着化フォローまでを一社で一貫して担当し、選定と実装の間で情報が途切れる懸念を減らせる点が特徴です。ただし対応範囲が広い分、契約期間も長期化しやすく、費用の見積もり方法をあらかじめ確認しておく必要があります。

依頼先を比較する7つの評価軸

ERPコンサルの7つの評価軸

候補会社は、業種・業務領域の実績、中立性、体制とスキル、コミュニケーション方法、成果物の質、契約形態と費用、稼働後のフォロー範囲という7つの軸で比較します。同じ質問を各社へ提示し、回答の根拠をそろえると、提案書の見た目ではなく実務の適合度で判断できます。

実績・中立性・体制を確認します

第一に、自社と近い業種・規模・業務領域でのプロジェクト経験があるかを確認します。同じ「ERPコンサル」でも、製造業の生産管理に強い会社と、会計・人事領域に強い会社では、評価できる範囲が異なります。第二に、特定ベンダーとのリセラー契約や提携関係の有無を確認し、完全独立系なのか、一部提携先があるのかを把握します。第三に、実際にプロジェクトへ配置される担当者の経験年数や、複数案件を掛け持ちしていないかといった体制面も確認します。提案時に登場した優秀な担当者が、契約後は別の若手に交代するという事態は珍しくありません。

成果物・費用・フォロー範囲を確認します

第四に、コミュニケーションの頻度や報告形式が自社の意思決定サイクルに合うかを確認します。第五に、RFP・評価表・Fit&Gap一覧といった成果物のサンプルを見せてもらい、根拠が明確に記載されているかを確認します。第六の契約形態と費用では、準委任契約が中心となる相場観として、一般的なコンサルタントで月額150万〜200万円程度、高度な専門知識を持つシニアコンサルタントで月額200万〜300万円以上という水準を踏まえ、稼働率や工数の算定根拠を確認します。第七の稼働後フォロー範囲では、本稼働後のハイパーケア期間から安定期への稼働率逓減がどのように設計されているかを確認します。

比較結果は、各社の説明を鵜呑みにせず、実績の裏付け、体制の実名、成果物サンプル、費用の算定根拠という証拠まで確認したうえで点数化します。証拠が示せない項目は保留にし、印象だけで評価を埋めないことが、契約後の認識違いを防ぐうえで重要です。

独立系・SIer系・会計事務所系ファームの選び分け

独立系・SIer系・会計事務所系ファームの比較

純粋な中立性を重視するなら独立系ファームが第一候補です。導入後のシステム開発まで一体で任せたいならSIer系、会計・税務まわりの整合性を重視するなら会計事務所系が適しています。どのタイプにも一長一短があるため、優劣で選ぶのではなく、自社が何を最優先するかに応じて使い分ける発想が実務的です。

独立系とSIer系の判断基準

独立系ファームは、特定ベンダーの販売やシステム開発を行わないことを前提とするため、比較評価そのものの中立性を重視する企業に向いています。ただし選定後の実装は別会社へ改めて発注する必要があり、選定時の要件や評価根拠を実装担当へ正確に引き継ぐ工程が別途必要になります。SIer系のコンサル部門は、選定から実装までを同じグループ内で一体的に進めやすい一方、自社グループの得意なパッケージや開発体制に寄った提案になっていないかを見極める視点が必要です。提案の背景にある損得構造を理解したうえで話を聞くことが判断の分かれ目になります。

会計事務所系は経理・税務との整合性が強みです

会計事務所や監査法人系のコンサルティング部門は、決算業務や税務、内部統制との整合性を踏まえたERP選定に強みを持つ傾向があります。経理・財務領域の要件が複雑な企業や、上場準備・内部統制対応と並行してERP刷新を進める企業では、システムの機能面だけでなく会計・監査の観点からの助言を受けられる点が利点になります。一方で、生産管理や物流など会計以外の業務領域については、独立系やSIer系のコンサルタントと役割分担する体制を検討したほうがよい場合もあります。

RFP作成とコンペ・PoCの進め方

ERPコンサル選定のRFPとPoC

依頼先を決めるコンペでは、提案書の見栄えではなく、実際の業務課題にどこまで踏み込んだ回答が返ってくるかを見ます。可能であれば、契約前の段階で小規模なトライアル(現状アセスメントの一部だけを依頼するなど)を実施し、実務レベルの相性を確認します。

RFPには現状の課題と求める成果物を具体的に記載します

コンサル会社向けのRFPには、対象範囲(選定支援のみか、PMOまで含むか)、現行システムの概要、業務上の課題、想定スケジュール、経営層が重視する評価基準を記載します。そのうえで、求める成果物(現状分析レポート、評価基準表、RFPドラフト、Fit&Gap一覧、PMO報告書の頻度など)を明示し、各社の提案が同じ土俵で比較できるようにします。要件を「必須」「望ましい」の2段階に分けておくと、対応可否が分かれた際にも判断しやすくなります。

小規模トライアルで実務の相性を確認します

本契約の前に、現状アセスメントの一部や、既存資料をもとにした簡易的な評価基準の設計だけを、有償の小規模トライアルとして依頼できないか相談する方法もあります。トライアルでは、担当コンサルタントが自社の業務説明をどこまで正確に理解し、質問の質がどの程度深いかを見ます。実際にRFI/RFPを通じた提案評価から実機デモによるFit&Gap分析、サンドボックスでのPoCへと進める際に、各段階で何を合格条件とするかをコンサル側が具体的に提示できるかどうかも、実務経験の深さを見極める材料になります。

トライアルを設定できない小規模な依頼の場合は、代わりに過去の類似案件について、匿名化した範囲で構わないので現状分析レポートや評価基準表の実物(またはそれに近いサンプル)を見せてもらう方法もあります。テンプレートの穴埋めのような画一的な資料しか出せない会社と、案件ごとに評価軸そのものを設計し直している会社とでは、その後のプロジェクトで得られる助言の深さに差が出やすくなります。

ERPコンサル選定の失敗を避ける方法

ERPコンサル選定の失敗回避

よくある失敗は、提案書の内容と実際に配置される担当者のスキルを確認しないまま契約し、プロジェクト開始後に力量不足が発覚することです。依頼目的と社内の責任者を明確にし、経営層・現場・情報システム部門それぞれの視点を選定プロセスに反映します。

提案書の見栄えと知名度だけで決めないようにします

大手コンサルティングファームの名前があるからといって、自社の業種・規模に合った実績を持つとは限りません。反対に、規模が小さいファームでも、特定業界のERP選定に特化した実績があれば、自社課題への理解が早く、無駄な工程を減らせることがあります。評価点を単純に合計するのではなく、必須要件(実績・中立性・体制)を満たさない会社は除外し、残った候補を費用とフォロー体制で比べます。具体的な依頼先候補を確認したい場合は、ERPコンサルのパッケージ・クラウド製品一覧を参照すると、実在するサービス提供事業者を比較しやすくなります。

社内の役割分担と責任範囲も明確にします

ERPコンサルは意思決定の材料を整理し推進を支援する立場であり、最終的な選定判断や社内調整の責任まで肩代わりしてくれるわけではありません。経営層への説明責任者、現場からのヒアリング窓口、ベンダーとの最終交渉者を社内であらかじめ決めておかないと、コンサルの提案がまとまっても社内の意思決定が進まないという事態になります。また、削減できる期間やコストの見込みはコンサル側の一般値をそのまま信じず、自社の現状アセスメント結果に基づいて具体的に算出してもらうことが重要です。

契約範囲を最初から選定からPMOまで一括で決め切ろうとすることも失敗の原因になります。まずは現状アセスメントと評価基準の確立までを契約し、その成果物の質を見たうえでPMOフェーズの継続依頼を判断する段階的な契約方法も検討できます。フェーズを分けて契約すれば、途中でコンサル会社の力量に疑問を感じた場合にも、大きな損失を出さずに軌道修正しやすくなります。

ERPコンサル導入前に確認しておきたいポイント

ERPコンサル導入前の確認ポイント

候補を絞った後も、契約範囲や費用の考え方、成果物の質まで確認することで、契約後に「思っていた支援と違った」という事態を避けられます。

中堅・中小企業でも依頼価値はあります

企業規模の大小よりも、社内にパッケージ比較やプロジェクト推進の経験者がいるかどうかで判断します。経験者が少ない場合、選定を誤ると数年単位の投資が無駄になりかねないため、規模が小さくてもスポットでの選定支援を依頼する価値はあります。一方、すでに導入するパッケージが確定し、実装ノウハウだけが必要な場合は、そのパッケージに強いベンダーやSIerへ直接相談するほうが適切なこともあります。

SIer系でも中立性は個別に確認します

SIer系だからといって必ずしも自社グループ製品へ誘導するとは限りませんが、提案の背景に何らかの利害関係がないかを確認する姿勢は必要です。提案の根拠となったデータや比較基準を開示してもらい、他の独立系ファームの評価と突き合わせることで、偏りの有無を判断しやすくなります。

トライアルでは質問の深さと成果物の具体性を見ます

小規模なトライアルを依頼できる場合は、担当コンサルタントが自社の業務説明をどれだけ正確に理解し、表面的でない質問を返してくるかを確認します。成果物についても、一般論に終始せず、自社の現状に即した具体的な記載になっているかを見ることが、契約後のミスマッチを防ぐポイントです。

まとめ

ERPコンサルの選び方まとめ

ERPコンサルの選定では、選定支援そのものが課題なのか、導入プロジェクトの推進管理が課題なのかを特定し、選定支援特化型、PMO常駐型、伴走フルサポート型から方向性を選びます。その後、実績・中立性・体制、成果物の質、契約形態と費用、稼働後のフォロー範囲という7つの評価軸で候補を比較し、可能であれば小規模なトライアルで実務レベルの相性まで確認することが重要です。

独立系・SIer系・会計事務所系の選択は、知名度ではなく、中立性をどこまで重視するか、実装まで一体で任せたいか、会計・税務との整合性が課題かによって判断します。既存の依頼先だけでは自社独自の業務要件や、選定後の基幹システムとの深い連携に対応しきれない場合、個別の要件整理や開発を組み合わせる方法も選択肢になります。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、ERPコンサル選定前の要件整理や、選定後の基幹システムと既存システムをつなぐ連携、独自業務に合わせた個別開発まで支援しています。

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株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

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