Epicor導入のパッケージ/クラウド製品一覧

Epicor導入を検討していると、Epicor Kinetic自体の情報だけでなく、同じ中堅製造業向けのERPパッケージにはどのような選択肢があるのかも気になってきます。名称や機能一覧だけでは違いが分かりにくく、クラウド対応という響きだけで候補を絞ると、業種テンプレートが自社の生産方式に合わず、結局Excelでの二重管理が残ることもあります。

本記事では、クラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型の違いを整理したうえで、2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた7製品を紹介します。各製品の位置づけ、課題別の絞り方、料金・契約前の確認点、デモやPoCで見るべきポイントまで解説しますので、Epicor導入を含めた比較検討の基準としてご活用ください。

本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・Epicor導入の完全ガイド|特徴・進め方・費用・発注方法まで徹底解説

Epicor導入で比較検討したいパッケージ・クラウド製品の全体像

Epicor導入と合わせて比較検討する製品の全体像を確認する担当者

Epicor Kineticは、SAP S/4HANAのような大企業向けTier1 ERPと、汎用クラウド会計SaaSの中間に位置する中堅製造業向けミッドマーケットERPです。この位置づけを踏まえると、比較検討の対象も自然と絞られてきます。

比較対象は中堅製造業向けのミッドマーケット帯が中心になります

Tier1 ERPは機能が幅広い反面、費用・期間が大きくなりやすく、中堅企業には過剰投資になりがちです。反対に汎用クラウドSaaSは安価で導入も早いものの、部品表(BOM)管理や業種特有の工程管理には対応しきれないことがあります。Epicor導入を軸に比較検討を進める場合、着目すべきはこの中間領域を埋める国内外のパッケージ・クラウド製品です。

本記事で扱う範囲と製品選定の考え方

ここでは、2026年7月時点でWebFetchにより現行の公式ページを直接確認できた製品のみを掲載します。比較サイトの記載のみを根拠にした断定や、公式ページで存在を確認できない製品の掲載は行っていません。掲載順は優劣を示すランキングではなく、自社の生産形態や課題に照らして候補を絞り込むための材料として参照してください。

クラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型の違い

クラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型の違いを比較する担当者

中堅製造業向けERPの提供形態は、ベンダー側の環境を利用するクラウド型、自社サーバーに設置するオンプレミス型、標準機能とアドオン開発を組み合わせるハイブリッド型に大別できます。Epicor Kineticを含め、多くの製品がこれらのいずれか、あるいは複数の形態を選べる構成になっています。

クラウド型は拠点展開のスピードを重視する企業に向いています

クラウド型はサーバー調達をせずに利用を始めやすく、ベンダー側での機能更新を受けられる点が特徴です。複数拠点への展開を予定している企業にとっては、拠点ごとにインフラを構築する手間を省ける点が大きな利点になります。Epicor Kineticはこのクラウド型を前提にした設計が特徴で、業種別テンプレートと組み合わせることで拠点展開のスピードをさらに高めています。

標準機能で満たせない要件はオンプレミス・ハイブリッド型で補います

自社固有のセキュリティ基準や閉域網への対応が必須の場合、あるいは複雑な個別受注生産など標準機能で対応しきれない部分が明確にある場合は、オンプレミス型やハイブリッド型の検討も選択肢になります。過度なカスタマイズは保守コストの増加につながりやすいため、標準機能を基本としながら必要な部分のみを補う考え方が現実的です。

製品を比較するときの共通軸

製品比較の共通軸を整理する会議の様子

製品紹介ページの機能一覧だけでは、自社の生産形態に適合するかを判断できません。候補を同じ条件で比べるため、生産形態への適合度、機能範囲、料金体系、グローバル展開への対応力を共通の質問に置き換えることが重要です。

生産形態への適合度と機能範囲をそろえて比べます

最初に、離散型製造業(組立型)なのかプロセス型製造業(連続生産型)なのか、多階層の部品表管理や個別受注生産(ETO)にどこまで対応できるかを確認します。「業種別テンプレートあり」という説明でも、テンプレートの対象業種が自社と一致するか、対象外の業種でどこまで標準機能を流用できるかで、現場の使い勝手は大きく異なります。

グローバル展開への対応力と料金体系を確認します

海外拠点への展開を予定している場合は、多言語・多通貨・各国税制への対応実績や、標準テンプレートを使った2拠点目以降の展開のしやすさを確認します。料金体系については、ユーザー数課金なのか、機能モジュール単位の課金なのかを整理し、初期費用と月額・年額費用に加えて、教育研修やカスタマイズにかかる社内工数までを含めた総保有コストで比較することが重要です。評価の進め方や検討パターンの詳細は、Epicor導入の選定ポイント・選び方・種類で解説しています。

Epicor導入で候補となる主要製品7選

Epicor導入と合わせて検討する主要製品を一覧で比較する様子

ここでは、2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた7製品を紹介します。掲載順は優劣を示すランキングではありません。製品ごとに得意とする生産形態や提供形態が異なるため、自社の課題と照らして比較することが重要です。

Epicor Kinetic(Epicor Software Corporation)

Epicor導入の中心となる製品です。米国テキサス州オースティンに本社を置き、2026年7月時点の公式サイトでは、製造・流通・小売・建材流通・自動車アフターマーケットの5業種を対象に、150カ国以上・23,000社以上の顧客基盤を持つと確認できます。クラウド対応の「Epicor Industry ERP Cloud」と、AI活用による短期導入を掲げる移行ソリューション「Epicor Ascend」、低コード拡張基盤「Application Studio」、エージェンティックAI「Epicor Prism」を明記しています。料金は公式サイトに掲載がなく、デモ申込みや問い合わせを通じた個別見積もりとなっています。

abas ERP(Forterro傘下 / abas Software)

ドイツ・カールスルーエに本社を置き、45年以上の歴史を持つとされるミッドマーケットERPです。2026年7月時点の公式サイトでは、従業員50〜500人規模の中堅企業を主な対象に、世界4,000社以上で導入実績があり、25以上の機能モジュールで製造管理・購買・販売・在庫・財務会計を統合し、クラウド・オンプレミスいずれの提供形態も選べることが確認できます。Epicor Kineticがクラウド前提の業種テンプレートで標準化を図るのに対し、abas ERPはオンプレミス色を残しつつ個別の生産方式に合わせ込むアプローチを取る点が対照的です。料金は公式サイトに掲載がなく、個別見積もりとなっています。

mcframe(ビジネスエンジニアリング株式会社)

国内の中堅製造業に広く導入されている生産管理・ERPパッケージです。2026年7月時点の公式サイトでは、mcframe 7シリーズ(SCM・PCM・CFP・LiteMES等)に加え、クラウドERP「mcframe X」、IoT・PLM関連シリーズなど複数の製品群で構成されていることが確認できます。食品・医薬・機械・化学など業種別のソリューションを持ち、国内企業ならではのきめ細かな法制度対応やサポート体制を重視する企業にとって比較対象になります。料金は公式サイトに掲載がなく、資料請求・問い合わせを通じた確認が必要です。

Microsoft Dynamics 365 Business Central

クラウド提供が中心のERPで、部品表管理、組立受注(assembly-to-order)、製造オーダー管理といった製造機能を備えています。2026年7月時点の公式サイトには、Essentials(ユーザーあたり月額80米ドル)、Premium(同110米ドル、製造機能の強化を含む)、Team Members(同8米ドル)という料金プランが掲載されており、30日間の無料トライアルも用意されています。Epicor Kineticのような専業のミッドマーケットERPと比較する際は、製造業特化の深さと、Microsoft製品との親和性のどちらを重視するかが論点になります。ただし適用条件や最新価格は契約時に必ず確認してください。

Infor CloudSuite Industrial(SyteLine)

製造業向けにERP・生産管理・サプライチェーン・資産管理・財務プロセスを横断的に扱うクラウドプラットフォームです。2026年7月時点の公式サイトでは、AIエージェントを活用して業務をより自律的に運用する方向性が示されていることを確認できましたが、部品表や個別受注生産への対応の詳細、料金についてはこのページ単独では確認できませんでした。検討する場合は、自社の生産形態への適合度を個別の商談・デモで確認する必要があります。

IFS Cloud(IFS AB)

クラウドベースのAI統合型プラットフォームとして、ERP、Field Service Management、Enterprise Asset Management、Enterprise Service Managementを展開しています。2026年7月時点の公式サイトでは、航空宇宙・防衛、建設・エンジニアリング、エネルギー・公共事業・資源、製造業、サービス業、通信業の6業種を対象としていることが確認できます。設備保守やフィールドサービスまで含めた広い業務範囲を重視する企業にとって比較対象になりますが、料金の記載はなく個別見積もりが必要です。

TPiCS(TPiCS Laboratory, Inc.)

国内の生産管理パッケージとして、個別受注生産への対応に定評があります。2026年7月時点の公式サイトでは、繰返生産・少量多品種生産・カスタム生産(製番管理)・一品受注設計生産といった複数の生産形態に単一パッケージで対応し、導入企業2,132社・クライアント数17,119台(2026年6月30日時点)であることが確認できます。中国・ベトナム・フィリピン・タイなどでの導入実績があり、Epicor Kineticと同様に海外拠点展開を意識する企業にとって比較対象になり得ます。料金は公式サイトに掲載がなく、見積依頼が必要です。

自社の生産形態・課題別に候補を絞る方法

自社の課題からEpicor導入の候補製品を絞るチーム

7製品を一斉に細部まで比較するより、自社の生産形態と最も大きな課題を先に決め、必須要件で候補を減らす方が効率的です。

業種テンプレートへのフィットとクラウド展開スピードを重視する場合

離散型製造業の業種テンプレートに自社の生産方式が近く、複数拠点への迅速な展開を優先するなら、Epicor Kineticを軸に検討します。国内企業ならではのきめ細かなサポートを重視するならmcframeやTPiCSも比較対象にし、個別受注生産や製番管理への対応力を実際の業務データで確認してください。

複雑なBOM対応やMicrosoft製品との親和性を重視する場合

案件ごとに仕様が変わる個別受注生産や、多階層の部品表管理そのものへの適合力を最優先するなら、abas ERPのようにこの領域への対応力を明確に打ち出す製品を比較対象にします。一方、既にMicrosoft 365やAzureを全社的に利用しており、それらとの親和性を重視するならMicrosoft Dynamics 365 Business Centralが候補になります。設備保守やフィールドサービスまで含めた広い業務範囲を重視する場合はIFS Cloudも、グローバルでの自律的な運用支援を重視する場合はInfor CloudSuite Industrialも比較対象に加え、商談を通じて自社の生産形態との適合度を確認してください。

料金・契約前に確認すべきこと

Epicor導入の料金・契約条件を確認する担当者

公開されている料金情報だけで判断すると、ユーザー数の増加やカスタマイズ、サポート費用で想定外の負担が生じることがあります。総保有コストの視点で比較することが欠かせません。

料金が非公開の製品が多いことを前提に進めます

今回確認した7製品のうち、公式サイト上に具体的な料金を確認できたのはMicrosoft Dynamics 365 Business Centralのみで、ユーザーあたり月額80〜110米ドル程度のプランが公式に掲載されていました。Epicor Kinetic、abas ERP、mcframe、Infor CloudSuite Industrial、IFS Cloud、TPiCSについては、いずれも公式サイト上に具体的な金額の記載がなく、個別見積もりとなっています。料金が非公開であること自体は珍しくないため、確認できない金額を比較表へ推測で入れないことが重要です。

契約前には提供形態・保守料率・移行性をあわせて確認します

見積もり取得時には、クラウド・オンプレミスいずれの提供形態か、年間保守料率、バージョンアップ費用の扱い、標準機能で満たせない要件へのアドオン対応費用、そして解約や乗り換え時にデータをどのような形式で取り出せるかを、同じ質問で各社に確認します。5〜10年といった長期利用を見据えると、月額費用の安さだけでなく、将来の総保有コストで比較する視点も欠かせません。

Epicor導入の製品比較で確認しておきたいポイント

Epicor導入の製品比較について確認しておきたいポイントを整理する担当者

候補を絞った後も、デモやPoCに進む前に整理しておきたい論点がいくつかあります。

比較サイトの記載だけで製品の存在・仕様を断定しないようにします

比較サイトやまとめ記事は候補を探す手がかりにはなりますが、掲載時点で提供終了していたり、名称や機能が変わっていたりすることもあります。本記事も含め、契約前には必ず各社の公式サイトで現行の提供状況を確認し、料金や仕様は商談・見積もり時点の最新情報を基準にしてください。

デモは自社の生産形態に沿ったシナリオで実施します

どの製品も、汎用的なデモだけでは自社への適合度が判断しにくいものです。自社の部品表、生産形態、海外拠点への展開といった特有の条件を提示し、標準機能で対応できる範囲とアドオンが必要な範囲を切り分けてもらうことで、契約後のギャップを減らせます。

最終候補は2〜3製品に絞ってPoCへ進めます

7製品すべてを同じ深さで検証する必要はありません。生産形態への適合度と必須要件で明らかに合わない製品を早期に除外し、残った2〜3製品について、実際の業務データを使ったPoCやフィット&ギャップ分析に進むと、比較検討全体の負荷を抑えられます。

まとめ

Epicor導入の製品比較の要点をまとめる担当者

Epicor導入で比較検討したい製品は、クラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型という提供形態の違いを踏まえたうえで、生産形態への適合度、機能範囲、グローバル展開への対応力、料金体系という共通軸で比較することが重要です。今回紹介した7製品にも、業種テンプレートによる標準化、複雑なBOM対応力、Microsoft製品との親和性、グローバル展開実績など、異なる特徴があります。

自社の生産形態を起点に2〜3製品へ絞り込みます

離散型製造業の業種テンプレートへの適合を重視するか、複雑なBOM対応を重視するか、拠点展開のスピードを重視するかを整理したうえで、必須要件を満たさない製品を除外します。公式サイトで確認できる情報と、商談・デモで確認すべき情報を切り分けておくと、比較検討の精度が高まります。

最後は実データを使ったPoCで最終判断します

資料上の機能数やブランドの知名度ではなく、自社の生産形態に合った運用ができるかどうかが重要です。標準機能で対応しきれない独自要件が多い場合、既製パッケージやクラウド製品だけでは対応が難しいこともあります。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、製品比較で明らかになった不足機能の整理や、既存システムとの連携を含む個別開発を支援しています。

▼全体ガイドの記事
・Epicor導入の完全ガイド|特徴・進め方・費用・発注方法まで徹底解説

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

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