中期経営計画を練り直そうとしても、事業戦略は経営企画、システム投資はIT部門、組織再編は人事部門とテーマごとに検討が分かれ、いざ実行段階になって計画同士が噛み合わないという壁に突き当たる企業は少なくありません。総合コンサルとは、経営戦略・業務改革・IT/DX導入・組織人事など複数の専門領域を横断し、経営課題をワンストップで支援するコンサルティング形態を指します。
本記事では、総合コンサルの基本的な考え方と特徴、診断から定着化までの仕組み、提供される主要な支援領域、導入目的、費用の考え方、DXコンサルやITコンサルなど専門特化型との違いを順に解説します。総合コンサルという言葉を初めて調べる担当者の方でも、自社の経営課題にどう関わってくるかを具体的にイメージできるよう、実際の進め方に沿って整理します。
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・総合コンサルの完全ガイド
総合コンサルとは何か?全体像と特徴

総合コンサルは、単一のテーマに特化するのではなく、経営戦略の立案から業務改革、IT/DX導入、組織・人事制度の見直しまでを一つのプロジェクト体制で横断的に扱う点が最大の特徴です。個別の課題を局所的に解決するのではなく、経営課題を丸ごと引き受ける「総合病院」に近い立ち位置を取ります。
複数テーマを同時並行で扱うことが専門コンサルとの起点の違いです
DX変革に特化するDXコンサル、情報システムの最適化に特化するITコンサル、業務プロセスの見直しに特化する業務改革コンサルなど、この分野には特定テーマに閉じた専門特化型コンサルが数多く存在します。これらに対して総合コンサルは、事業戦略、業務プロセス、システム構成、組織・人事制度という複数の領域を、部門をまたいで同時並行で扱うことを前提とします。
この構図を理解しておくと、自社が本当に必要としているのが「特定テーマの深い専門知見」なのか、「複数テーマをまたいだ整合性の確保」なのかを見極めやすくなります。特定業務の効率化だけを急ぎたい場合は専門特化型が、経営戦略とシステム投資と組織再編を同時に動かす必要がある場合は総合コンサルが選択肢になるという住み分けです。
経営層との事業共創を前提としたアプローチを取ります
総合コンサルの特徴のもう一つは、現場の業務改善提案にとどまらず、CxOなど経営層と事業そのものを共創するアプローチを重視する点です。全社DX戦略や事業戦略の策定段階から経営層と伴走し、新しい業務フローの設計やシステム構成案、組織・人事制度改定の方向性までを一体で検討します。
ただし、経営層と近い距離で動くことは、現場との距離が開くリスクと表裏一体です。経営企画部門とコンサルタントだけで戦略を練り上げ、現場への説明が実行直前になってしまうと、後の定着化フェーズで強い抵抗を受けることがあります。総合コンサルを活用する側も、経営層との共創と現場の巻き込みを両立させる意識を持つ必要があります。
総合コンサルの仕組みとフェーズ別の進め方

総合コンサルの支援は、診断・現状分析、戦略立案・To-Beモデル策定、実行計画・要件定義・PoC、実行支援・定着化という順にフェーズが進むことが一般的です。前フェーズの合意事項を次フェーズで覆さないという原則を守れるかどうかが、期間短縮とプロジェクトの安定度を大きく左右します。
診断から戦略立案までは経営・業務・IT・組織を同時に棚卸しします
診断・現状分析のフェーズでは、ステークホルダーへのインタビュー、業務プロセスの可視化、データの棚卸しを経営・業務・IT・組織の4領域を横断して同時に実施します。企業規模や対象範囲によって期間は変わりますが、単一部門の課題調査よりも関係者の数が多くなりやすく、経営層への説明と合意形成に時間を要する点が特徴です。
戦略立案・To-Beモデル策定のフェーズでは、全社戦略や事業戦略の策定、新しい業務フローの設計、システム構成案、組織・人事制度改定の方向性までを一体で検討します。ここで各領域の担当役員が個別に方針を決めてしまうと、後工程で整合が取れなくなるため、部門横断のステアリングコミッティ(運営委員会)を設置し、各フェーズのゲートで前段階の決定事項を凍結する運営が重要になります。
実行支援フェーズでは遅延の典型パターンを事前に把握しておきます
実行計画・要件定義・PoCのフェーズでは、パイロット部門や店舗での先行検証を行い、RFP作成やベンダー選定を経て、実行支援・システム導入・定着化(チェンジマネジメント)へと進みます。全社展開までを含めると、企業規模によっては複数フェーズに分けた段階的なリリースになることも珍しくありません。
納期が遅延する典型的な要因としては、部門間の利害対立が起きた際に経営層が裁定を下さず要件定義が止まる意思決定の遅れ、現場からの追加要望が膨らむスコープクリープ、拠点ごとに持ち方が異なるデータの品質問題、本社企画部門だけで要件を固めて現場に押し付けてしまうチェンジマネジメントの不足が挙げられます。これらはいずれも、総合コンサルが複数部門を横断するがゆえに起きやすい課題であり、各フェーズのゲートでの厳格な合意形成と、初日からの現場キーパーソンの巻き込みが対策として語られます。
総合コンサルが提供する主要な支援領域

総合コンサルが提供する支援は、経営戦略の策定、業務改革(BPR)の推進、PoC・パイロット導入による検証、内製化・組織開発支援という大きく4つの軸に整理できます。自社にとって不足している機能がどこかを把握してから相談すると、提案内容とのミスマッチを避けやすくなります。
PoC・パイロット導入は経営判断の材料集めとして位置づけられます
全社DXや基幹システム刷新のように投資規模が大きいテーマでは、PoC・パイロット導入は単なる機能テストではなく、経営層に本番投資へのGo/No-Goを下させるための客観的な判断材料を集めるフェーズとして位置づけられます。複数部門で同時に始めず、1つの業務・1つのモデル部門に対象を絞り、検証前にデータ棚卸しで実データの品質を確認してから着手する進め方が基本です。
評価は、トップライン向上や工数削減率といった価値レイヤー、利用率や継続率といった運用レイヤー、想定年間効果額が費用を上回るかという経済レイヤーの3層で行われます。撤退基準を検証前に合意しておかないと、結論が先送りされ続ける「PoC死」に陥りやすい点も、この支援領域で押さえておきたい実務上の注意点です。
内製化組織の構築とノウハウ移転も横断ならではの強みです
フルスクラッチ開発や内製化を目指す企業に対しては、開発プロセス・メソドロジーの定着、OJTによる実践的スキル移転、組織・人事制度のアップデートまでを支援します。コンサルタントとクライアント社員の混成チームでプロダクトマネジメントや要件定義、アーキテクチャ設計を直接伝授し、優秀なエンジニアの採用・定着に向けた評価基準や給与テーブルの設計にも踏み込む場合があります。
経営・組織・ITの複数領域を横断できる強みを生かし、パイロット開発の成功体験をもとに主要ロールを段階的にクライアント社員へ委譲し、最終的にコンサルタントがレビュー・後方支援へシフトしていくという進め方が特徴です。組織人事コンサルティングの知見をIT・業務改革の支援と同時に活用できる点は、専門特化型コンサルには真似のしにくい総合コンサルならではの強みといえます。
導入目的と期待できる効果

総合コンサルを活用する目的は、単一部門の業務効率化だけではありません。経営戦略・業務改革・IT/DX・組織人事という複数のテーマを同じタイムラインで整合させ、部門ごとにバラバラに動いていた計画を一つの経営課題として実行できる状態を作ることにあります。
部門ごとの個別最適を防ぎ整合の取れた実行計画を作ります
経営企画部門が事業戦略を、情報システム部門がシステム投資計画を、人事部門が組織再編案をそれぞれ個別に検討していると、いざ実行段階で「新しい業務フローに合わせてシステムを刷新したのに、組織体制が旧来のままで運用が回らない」といった齟齬が表面化しがちです。総合コンサルは、これらのテーマを一つのプロジェクト体制の中で同時に検討することで、計画同士の整合を保ちやすくします。
ただし、整合を取る役割をコンサルタントに委ねきってしまうと、自社側に意思決定の経緯が残らず、次の中期経営計画の際にまた一から総合コンサルへ依頼することになりかねません。ステアリングコミッティへの参加や意思決定ログの記録を通じて、自社が判断の経緯を追える状態を保つことが、投資対効果を高めるうえで重要です。
大型投資の意思決定を客観的な材料で後押しします
数億円規模になりうる全社DXや基幹システム刷新では、経営層が独断で投資を決めるのではなく、PoCで得られた価値・運用・経済という3レイヤーの数値をもとに、客観的な根拠を持って稟議を通したいというニーズがあります。総合コンサルは、こうした意思決定を後押しする材料集めの伴走者としての役割も担います。
加えて、優秀なIT人材の採用・定着が難しい企業にとっては、ノウハウ移転を伴う内製化支援を通じて、コンサルタントへの依存を段階的に減らしていくことも導入目的の一つになります。単発のプロジェクト成果だけでなく、自社の実行力そのものを底上げできるかどうかという視点で目的を整理すると、費用対効果を判断しやすくなります。
費用構造とコストの考え方

総合コンサルの費用は、常駐型・タイムチャージ型、月額顧問料(リテイナー)型、成果報酬(レベニューシェア)型という契約形態によって性質が大きく異なります。どの形態を選ぶかは、コミットメントの深さと、アサインされる人材の職位によって左右されます。
契約形態によってコミットメントの深さが変わります
常駐型・タイムチャージ型は、定着化支援やPMOとして稼働割合に応じ準委任契約で精算する形態で、コンサルタントの役職によって単価が数倍異なるとされます。月額顧問料型は、月1〜2回の会議参加やアドバイザリー業務を中心とする形態で、経営層と事業を共同創造するフルコミット型になるほど単価は高くなる傾向があるといわれます。これらはあくまで一般的な相場観であり、実際の費用は対象業務の範囲やアサイン人材によって変動するため、個別に見積もりを取得することが前提になります。
成果報酬(レベニューシェア)型は、固定報酬を低く抑え、コスト削減額や売上増加分の一定割合を支払うモデルです。顧客とコンサルの利害を完全に一致させる狙いから、一部のファームでは新株予約権を組み合わせた提案が行われることもあります。ただし対応できるテーマが限られる場合もあるため、自社が依頼したいテーマがこの契約形態に馴染むかどうかを確認する必要があります。
コストを抑える方法もあわせて把握しておきます
費用を抑える方法としては、ファーム保有の診断ツールやテンプレート、教育コンテンツをパッケージ・サブスクとして活用しゼロから作らせない方法、専門スキルを持つフリーランスのネットワークをハブ活用して固定費や中間マージンを圧縮する方法、自社担当者への早期スキルトランスファーによって自社で巻き取れる作業をコンサルのスコープから外す方法が挙げられます。
いずれの方法も、コンサルタントに任せきりにしないという姿勢が前提になります。特に自社主導への早期切り替えは、内製化のスピードと保守・運用コストの両方に影響するため、契約前にどのフェーズからどの作業を自社へ引き継ぐかを合意しておくと、想定外の費用膨張を防ぎやすくなります。
DXコンサル・ITコンサルなど専門特化型との違い

総合コンサルと専門特化型コンサルは、どちらが優れているという関係ではなく、担う役割が異なります。自社の課題がどちらに当てはまるかを見極めることが、無駄な発注を避ける第一歩です。
DXコンサルは単一テーマの一気通貫、総合コンサルは複数テーマの横断です
DXコンサルは、診断から戦略立案、実行計画、実行支援までを、DX・デジタル変革という単一テーマの中で一気通貫に進めることに強みがあります。これに対して総合コンサルは、DX・IT導入だけでなく、経営戦略、業務改革(BPR)、組織・人事制度改定まで、複数のテーマ・部門を横断して同時並行で扱う点が最大の違いです。
DX投資の是非そのものよりも、事業ポートフォリオの見直しや組織再編まで含めて検討したい場合は総合コンサルが、すでに事業戦略の方向性は固まっており、DX戦略の立案から実行までを深く伴走してほしい場合はDXコンサルが向いているという住み分けになります。
ITコンサルは情報システムの最適化に軸足があります
ITコンサルは、既存の情報システムやITインフラそのものの効率化・最適化という技術視点の課題解決に軸足を置きます。ネットワークやクラウド基盤の刷新、システム統廃合など、技術的な実行力が問われるテーマで力を発揮します。総合コンサルもIT/DX導入を支援領域に含みますが、それ単体ではなく、経営戦略や組織・人事制度の見直しとセットで検討する点が異なります。
実務上は、システムの技術的な刷新それ自体が目的であればITコンサルを、システム刷新をきっかけに事業モデルや組織体制まで見直したいのであれば総合コンサルを、というように目的の広さで選び分けるとミスマッチを防ぎやすくなります。具体的な選定の進め方は、総合コンサルの選定ポイント・選び方・種類で解説しています。
総合コンサル活用前に確認しておきたいポイント

総合コンサルを活用するかどうかは、経営課題の複雑さだけで決まるものではありません。社内の体制、意思決定の速度、現場を巻き込む準備まで含めて整理することで、活用後の期待外れや現場の反発を防げます。
経営層が意思決定に関与できる体制かを確認します
総合コンサルは経営層との事業共創を前提とするため、CxOがステアリングコミッティに継続的に関与し、部門間対立が起きた際に裁定を下せる体制があるかどうかが成否を左右します。経営層の関与が形式的なものにとどまると、要件定義が停滞し、当初想定していた期間・費用から大きく乖離するリスクが高まります。
どこまでを依頼しどこから自社が担うかを線引きします
複数領域を横断できることは強みですが、すべてを丸投げしてしまうと、費用が膨らむだけでなく、自社にノウハウが残らないという課題も生じます。診断・戦略立案はコンサルタントと共同で、実行フェーズの一部は自社主導でというように、フェーズごとの役割分担をあらかじめ決めておくことが重要です。
現場キーパーソンを初日から巻き込む準備をします
経営層との共創が重視される総合コンサルだからこそ、現場が置き去りにされやすいという裏返しのリスクがあります。診断・PoCの初日から現場キーパーソンを巻き込み、当事者意識を持ってもらう体制を組めるかどうかを、契約前に自社側で検討しておくことが定着化の成否を分けます。
まとめ

総合コンサルは、経営戦略・業務改革・IT/DX導入・組織人事といった複数の専門領域を横断し、診断から戦略立案、PoC、実行支援・定着化まで一つのプロジェクト体制で伴走するコンサルティング形態です。DXコンサルやITコンサルなど専門特化型が単一テーマの一気通貫を得意とするのに対し、総合コンサルは部門をまたいだ整合性の確保と、経営層との事業共創に強みがあります。
複数テーマの整合と現場の巻き込みを両立させることが鍵です
常駐型・リテイナー型・成果報酬型という費用構造の違いを理解し、経営層の意思決定体制と現場の巻き込み方をあらかじめ整理しておくことが、総合コンサルを活用するうえでの土台になります。丸投げにせず、フェーズごとに自社が担う範囲を線引きすることで、内製化に向けたノウハウ移転も進めやすくなります。
現状の課題を可視化することから始めます
まずは、自社の経営課題が単一テーマで完結するのか、複数部門を横断する整合性の確保が必要なのかを整理してください。全社DXや基幹システム刷新をきっかけに独自の内製化組織を築きたい場合、既製の支援メニューだけでは業務要件を吸収しきれないこともあります。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、総合コンサルによる戦略立案・PoCの成果を踏まえたシステム構築や、既存システムとの連携を含む開発支援を行っています。
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・総合コンサルの完全ガイド
株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
