業務システム改修のパッケージ/クラウド製品一覧

業務システムに1つ機能を足したいだけなのに、開発会社に個別発注すると見積もりに数十万円と数週間の待ち時間がかかることがあります。こうした小規模な改修は、外部の開発会社に頼らずとも、クラウド型のローコード/ノーコード開発基盤を使えば現場に近い担当者自身が短期間で実現できる場合があります。

本記事では、パッケージ型とクラウド型の違いを整理したうえで、2026年7月時点で現行の公式情報を確認できた、業務システム改修に活用できる主要6製品を紹介します。各製品の提供形態、比較すべき共通軸、課題別の絞り方、料金・契約時の確認点まで解説しますので、社内での改修体制を検討する際の基準としてご活用ください。

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パッケージ型とクラウド型の違い(業務システム改修における位置づけ)

業務システム改修に使うローコード基盤を比較する担当者

パッケージ型は自社環境への導入や自社サーバーでの運用を前提にした形態を指す一方、クラウド型はベンダーが運用するサービスをインターネット経由で利用する形態です。業務システム改修という文脈では、既存システムそのものを入れ替えるパッケージ製品よりも、既存システムに機能を追加・変更するためのクラウド型ローコード/ノーコード開発基盤の方が実務での使われ方に近いため、本記事もこの種類の製品を対象にしています。

自社運用と外部依存の度合いが判断のポイントです

自己ホスト型のオンプレミス構成は、閉域網や独自のセキュリティ基準に対応しやすい反面、サーバー、バックアップ、バージョンアップを自社で担う範囲が大きくなります。クラウド型は、サーバー調達をせずに短期間で利用を始められ、ベンダー側の機能更新も受けられる一方、既存の基幹システムとの連携範囲や、契約終了時のデータ出力方法を事前に確認しておく必要があります。

短納期・低予算という改修の性質にクラウド型が合いやすい理由です

業務システム改修は、2〜4週間程度の短納期・低予算で完結させることが多い取り組みです。導入までに長い準備期間が必要なパッケージ型よりも、アカウントを発行すればすぐに画面や項目を追加できるクラウド型のほうが、改修という取り組みの性質に合致しやすいと言えます。

ローコード/ノーコード基盤が業務システム改修に向いている理由

業務システム改修の対象範囲を整理するチーム

業務システム改修が対象とする典型的な変更は、入力項目・帳票の追加、画面レイアウトの微調整、マスタデータの拡張といった範囲です。この種の変更は、フルスクラッチで一から作り直すよりも、画面やワークフローを視覚的に組み立てられるローコード/ノーコード基盤のほうが、短期間かつ低コストで対応しやすい領域です。

現場担当者が直接改修に関われる範囲が広がります

ローコード/ノーコード基盤の多くは、プログラミングの専門知識がなくても、画面部品を配置しワークフローを設定する形でアプリケーションを構築できます。情報システム部門だけでなく、現場の業務担当者が自ら小さな改修を行えるようになれば、外部の開発会社に発注してから完了するまでの待ち時間を大幅に短縮できます。

基幹連携や大規模な変更には向かない場合もあります

一方で、既存の基幹システムと複雑なAPI連携を行う場合や、大量データの高速処理が必要な場合は、ローコード/ノーコード基盤だけでは対応しきれず、専門的な開発が必要になることがあります。改修の対象がどこまでローコード/ノーコードで完結できる範囲かを見極めることが、製品選定の前提になります。

製品を比較するときの共通軸

業務システム改修向けクラウド製品の比較表

製品紹介ページの機能一覧だけでは、自社の改修ニーズに適合するか判断できません。候補を同じ条件で比べるため、既存システムとの連携方法、課金単位、権限管理、運用の手間という共通の質問に置き換えることが重要です。詳しい発注先や依頼形態の比較は、業務システム改修の選定ポイントで整理しています。

既存システムとの連携方法と権限管理を確認します

既存の業務システムや会計・人事システムとどのように接続できるか、API連携なのかCSV連携なのか、同期の頻度やエラー時の扱いまで確認します。あわせて、現場担当者が作成したアプリケーションを誰が承認し、公開範囲をどう制御するかという権限管理の仕組みも比較のポイントになります。

特に権限管理は、現場主導での改修を許容する範囲を決めるうえで重要な確認事項です。誰でも自由にアプリを公開できる設定のままでは、部門ごとに似たような改修アプリが乱立し、かえって管理が煩雑になることがあります。情報システム部門が承認フローを設定できるか、公開前のレビュー体制を組み込めるかを確認しておくと、内製改修を組織的にコントロールしやすくなります。

課金単位と運用の手間を比較します

ユーザー数課金、アプリ数課金、データ容量課金など、製品によって課金の考え方が異なります。1年後・3年後に想定される利用規模を伝えたうえで見積もりを取得し、運用開始後のアカウント管理や問い合わせ対応にかかる社内工数も含めて比較することが重要です。

業務システム改修に使える主要クラウド製品6選

業務システム改修の製品選定の失敗を避ける担当者

ここでは、2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた6製品を紹介します。掲載順は優劣を示すランキングではありません。製品ごとに得意領域や料金体系が異なるため、自社が改修したい範囲と照らし合わせて検討してください。

kintone(サイボウズ)

kintoneは、業務アプリを画面上で組み立てながら、入力フォームや一覧表示、承認ワークフローを短期間で追加・変更できるクラウド基盤です。マスタデータの追加や申請フォームの改修など、部門単位の小規模な業務システム改修と相性がよく、既存の業務アプリを社内で少しずつ育てていく運用に向いています。2026年7月時点の公式サイトには、ライトコース月額1,000円/ユーザー、スタンダードコース月額1,800円/ユーザー、ワイドコース月額3,000円/ユーザーという3プランと、初期費用無料・最少10ユーザーからという条件が掲載されていますが、最新の料金や条件は契約前に公式サイトで確認してください。

Microsoft Power Apps

Microsoft Power Appsは、Microsoft 365やDataverseと連携しながら業務アプリを構築・改修できるクラウド基盤です。すでに社内でMicrosoft 365を利用している企業であれば、認証基盤やデータ連携をある程度共通化できる点が、改修時の工数削減につながる可能性があります。2026年7月時点の公式サイトには、非運用環境向けの無料の開発者プランに加え、Power Apps Premiumが1ユーザーあたり月額2,998円、最少2,000シートのエンタープライズプランが1ユーザーあたり月額1,799円といった料金が掲載されていますが、ライセンス体系は複数あるため、自社の利用規模を伝えたうえで最新の適用条件を確認することが必要です。

Google AppSheet

Google AppSheetは、スプレッドシートやGoogle Workspaceのデータを土台に、ノーコードで業務アプリを組み立てられる基盤です。Excelやスプレッドシートで運用してきた簡易的な業務システムを、現場担当者自身の手で少しずつアプリ化・改修していきたい場合の候補になります。2026年7月時点の公式サイトには、Starterプランが1ユーザーあたり月額5ドル、Coreプランが1ユーザーあたり月額10ドル、Enterprise Plusプランが1ユーザーあたり月額20ドルという料金と、テストユーザー10名までの無料トライアルが掲載されていますが、為替や課金体系は変わり得るため、契約前に公式サイトで最新情報を確認してください。

OutSystems

OutSystemsは、クラウド型のOutSystems Developer Cloud(ODC)を中心に提供される、比較的大規模な業務アプリの構築・改修にも対応できるローコード基盤です。既存の基幹システムと連携しながら、複数部門にまたがる業務システムを段階的に改修していきたい企業に向いています。料金はアプリケーション規模、ユーザー数(内部・外部)、24時間365日サポートなどの追加機能に応じた個別見積もり制であることが2026年7月時点の公式サイトに明記されており、開発環境のみで本番利用ができない無料のPersonal Editionも用意されていますが、本番導入の具体的な費用は個別見積もりで確認する必要があります。

Mendix

Mendixは、Mendix Cloudによるパブリッククラウド提供に加えて、プライベートクラウドやオンプレミスにも対応できる柔軟性が特徴のローコード基盤です。将来的にクラウドとオンプレミスを使い分けたい企業や、複数のアプリケーションを一つの契約でまとめて改修していきたい企業に適しています。2026年7月時点の公式サイトには、無料のFreeプランに加え、Basicプランが月額52.50ユーロから、Standardプランが月額918ユーロから2,295ユーロ、Premiumプランは要見積もりという料金体系と、「One App」「Unlimited Apps」の2つの構成オプションが掲載されていますが、最新の料金は公式サイトで確認してください。

Claris FileMaker

Claris FileMakerは、クラウドホスティングのFileMaker Cloudと自己ホスト型のFileMaker Serverの両方を提供するローコード開発プラットフォームです。すでにFileMakerで構築された既存の業務システムを、社内担当者やパートナーが継続的に手直ししていく運用と相性がよく、既存資産を活かした改修を重視する企業に向いています。2026年7月時点の公式サイトには、5〜10ユーザー向けのStarterプラン、5〜99ユーザー向けのMaxプラン、100ユーザー以上は個別見積もりという料金体系が年間契約ベースで掲載されていますが、具体的な金額は購入手続きの中で確認する仕組みになっているため、見積時に最新情報を確認してください。

自社の課題別に候補を絞る方法

業務システム改修に使う製品の料金体系を確認する担当者

6製品を一斉に細部まで比較するより、自社が改修したい対象を先に絞り、必須要件で候補を減らす方が効率的です。既存の業務ツールとの親和性、改修の規模感、将来のスケール範囲によって、適した製品タイプが異なります。

部門単位の小規模改修を積み重ねたい場合

申請フォームやマスタデータの追加など、部門単位の改修を素早く積み重ねたい場合は、kintoneやGoogle AppSheetのように、現場担当者でも扱いやすいノーコード寄りの製品から検討します。すでにMicrosoft 365を利用している企業であれば、Power Appsとの親和性も比較材料になります。

大規模な基幹連携や既存資産の継続活用が課題の場合

複数部門にまたがる大きめの業務システムを段階的に改修していきたい場合は、OutSystemsやMendixのように、基幹連携やオンプレミスへの拡張性を備えた製品を候補にします。すでにFileMakerで構築された既存資産を活かしたい場合は、Claris FileMakerを中心に、既存アプリの改修範囲を確認します。

料金・契約前に確認すべきこと

業務システム改修のPoCを実施するチーム

公開されている月額料金だけで安価な製品を選ぶと、利用者数の増加や連携範囲の拡大で想定外の費用が生じることがあります。月額費用だけでなく、導入時の設定、教育、日常運用、将来の解約・データ移行まで含めた総保有コストで比較することが重要です。

将来の利用規模を伝えたうえで見積もりを取ります

ユーザー数課金の製品では、現在の利用人数だけでなく、1年後・3年後に想定される利用部門の広がりを伝えて見積もりを取得します。最低利用期間や、追加ユーザーを増やす際の単価が変わる境界も確認し、小さく始めた後に想定より高額になるケースを避けます。

試算の際は、実際に改修アプリを利用する人数だけでなく、閲覧のみのユーザーや承認だけを行うユーザーも課金対象に含まれるかを確認してください。製品によっては編集権限を持つユーザーのみ課金対象とする一方、閲覧・承認のみのユーザーは別料金体系となる場合があり、想定より対象人数が多くなることがあります。

データの持ち出しと解約条件を契約前に確認します

ローコード/ノーコード基盤に業務データを蓄積していくと、将来の乗り換えが難しくなることがあります。契約前に、作成したアプリやデータをどの形式でエクスポートできるか、解約時にどこまでデータを引き出せるかを確認しておくと、特定の基盤に過度に依存するリスクを抑えられます。

あわせて、業務アプリの設計内容(画面構成やワークフローの定義)自体を別形式で書き出せるかどうかも確認しておくと安心です。データだけでなく、改修を重ねてきたアプリの構造そのものが特定の基盤に閉じ込められてしまうと、将来別の基盤へ移行する際の作り直しコストが大きくなります。

業務システム改修の製品選定で押さえておきたいポイント

業務システム改修製品比較のまとめ

候補を絞った後は、製品数の多さやおすすめ順位だけでなく、実際に改修したい業務と製品の相性を確認する必要があります。ここでは選定時に判断が分かれやすいポイントを整理します。

オンプレミス運用が必須な場合の考え方です

閉域網での運用が必須な場合でも、Mendixのようにプライベートクラウドやオンプレミス構成に対応できる製品や、Claris FileMakerのように自己ホスト型のサーバー構成を選べる製品があります。自社のセキュリティ基準と対応可能な構成を照らし合わせて選定してください。

おすすめ製品は改修の対象範囲によって変わります

全企業に共通する1位の製品はなく、部門単位の小規模改修か、複数部門にまたがる大きめの改修かによって適した製品が変わります。まず改修したい対象範囲を明確にし、同じ改修シナリオを使って2〜3製品を試すことをおすすめします。

ローコード基盤だけで対応できない場合の対処法です

基幹システムとの複雑な連携や大量データ処理が絡む改修は、ローコード/ノーコード基盤だけでは対応しきれないことがあります。その場合は、標準機能で完結する部分と専門的な開発が必要な部分を切り分け、後者だけを開発会社に個別発注する組み合わせ方も検討してください。

まとめ

業務システム改修の製品選定方針をまとめるチーム

業務システム改修に活用できるクラウド製品は、部門単位の小規模改修を素早く積み重ねたい企業に向くkintoneやGoogle AppSheet、Microsoft 365との親和性を重視する企業に向くPower Apps、大規模な基幹連携や既存資産の継続活用を重視する企業に向くOutSystems・Mendix・Claris FileMakerまで、それぞれ異なる特徴を持っています。

まずは自社が改修したい対象範囲と、既存システムとの連携の複雑さを整理したうえで、2〜3製品に絞って実際の改修シナリオを試すことが重要です。ローコード/ノーコード基盤だけでは対応しきれない複雑な連携や大規模な変更が見つかった場合、既製ツールに固執せず、個別開発やハイブリッド構成も選択肢になります。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、ローコード/ノーコード基盤では対応しきれない業務要件の整理や、既存システムとの連携を含む改修・構築を支援しています。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。

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